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第33話 計画

 

 街の外は意外に静かだった。

 

 怪しい宗教団体が街の外に居る可能性が高いからてっきり騒がしいモノだと思っていた。

 

 これなら普通に依頼をこなすくらいできるんじゃないか……?

 

「むしろ静かすぎて怖いくらい……ルーク油断しないようにね」


 どうやらそう思ったのは私だけのようだ。静かだからこそ逆に不気味……か。

 

「なんで私……?フーリアから見て私はそこまで頼りないかなぁ」

「そうじゃなくて……」

「ん?」


 フーリアは私の耳元まで口を近づけてくる。


「ギルマスの話だと奇妙な魔力に侵食されたのは魔導士ばかりって言ってたでしょ」

「ついさっきの話だね」

「そう、あなたは一応魔導士でもあるんだから気を付けないと色々バレるでしょ」

「確かに……」


 先ほどギルマスからは吸血魔法で男の記憶を辿って分かったことを教えてもらった。

 

 その内容はこうだ。

 1つは魔導士の魔力を侵食して動けなくすることができるそんな魔力を手に入れたという事。

 倒した奴は下っ端みたいでどうやってそんなものを手に入れたのか分からないけど、裏で誰かが意図を引いている可能性が高いという。

 

 ギルマスは何か心当たりがあるみたいだったけど確信が無いみたいで名指しすることはなかった。

 

 2つ目はゴーレムを使った怪しい魔力を散布する方法。

 これは生物だけに有害でゴーレムのような無機物には効果が無いので、ゴーレムを使っているみたい。

 

 ここにはあの女性冒険者が触れただけで意識を失い続ける原因となったゴーレムの残骸が残っているはずだ。

 それを持って帰るのが今回の目的。

 記憶を辿ったギルマスはゴーレムに何か秘密があると確信しているらしい。

 

 そして三つ目の秘密が……。


「ホワイト家の宝剣……」

「まさかアレが狙われるなんてね……でもアレを手に入れるのは私だから!!」

 

 魔力の浸食とフーリアのお家の宝剣と何が関係しているのか知らないけど、ホワイトの宝剣が狙われているのなら……フーリアもターゲットになる可能性が高い。

 フーリアの事、気に掛けておかないと!!

 

 そしてそんな話をしている中、ショナは私達の話を盗み聞きしようともせず、唖然としていた。何時も聞き耳を立てて話題に入ってくるショナにしては珍しい。

 と言うかこれは警戒かな。ショナから緊張の色が見て取れる。まあ突然街の外に出るなんて不安なんだろう。

 

 とか考えていた時、ショナは小声で何かを呟いているのが分かった。私はその声を盗み聞いた。


「ど、どうしてユウリは居ないのよ……!!うぅ……一人は不安だよぉ……」

「……」


 ショナとユウリは大親友で1年以上前からずっと一緒に居ると聞いたことがある。

 ユウリが近くに居なくて不安なのかな……?ショナの意外な弱点を見つけた。

 普段明るく元気な彼女は心なしか怯えている。あまりこういうことを言うべきじゃないんだろうけど……少し新鮮で面白い。

 

 目的地であるゴーレムの残骸のある場所に着いた。

 そのはずなんだけど……。


「無くなっている……」

「やはり一足遅かったか……」


 ギルマスはある程度予想していたのかあまり驚かない。

 内心はゴーレムの残骸が残っていたらと考えているだろうけど、無い物は仕方ない。このまま帰るかと思ったその時――


「ぐああああああああああああっ!!」

「なんだお前!!」

 

 後ろで見張りをしている冒険者の叫び声が聞こえる。


「来たか……」


 まだこの近くに潜伏していると読んでいたのだろう。これも記憶を視たからこそできる芸当か!!

 

 そんなことを考えているとギルマスは私達3人を庇うように声のする方へ移動した。


「君達は下がっていなさい」

「あ、あの……今更ですが私達が来た理由は?」

「あの怪しい男の記憶からある想定をした。それは……魔王教団の狙いが君達4人の内誰かかもしれないということをね」

「フーリアですか?でもどうしてこんな……」

「囮だ。冒険者なのだから国ためにその身を捧げてくれ」

「ちょ……それは……」

「と言うのは半分冗談でお前達の事は守るから後ろにいなさい」


 ということは囮と言うのは本当らしい。

 

 このギルマス……新人をそんな風に使うなんて!!未だに名前も知らないし……信用するんじゃなかった!!


「魔導士はなるべく後衛にして剣士で畳みかけろ!」


 ギルマスのその命令をギルドメンバー達に伝える。雄たけびを上げながら襲って来ている何者かに向かって行く剣士の冒険者達。中には斧、弓のアーティファクトを携えた人まで幅広く前線へ向かう。

 

 魔導士は魔力の浸食を恐れて後衛にしたようだ。

 あの時の怪しい男は確かに強いだろう。その確信はあったけど、この人数を相手にはさすがに歯が立たないはず。

 

 しかし、ここでギルマスの想定外の事が起きる。それは――


「上か!?」


 ゴーレムの残骸のあった場所の木の上から人の気配を感じたギルマスはナイフを投げつける。木々は揺れて何か落ちてくる。


「お前は!!」

「よう嬢ちゃん、ここで張っていればいずれ来ると思ってたぜ」


 まさか私達がここへ来ることはむしろ向こうの計画だった!?

 

 やっぱり即席で思い立ったみたいな計画じゃダメだった。他にも周りの木々の上には何人もの敵が張っている。

 しかし、そんな中でもギルマスは冷静だった。これすらも予想していたかのような立ち居振舞い……?


「お前達の狙いはフーリアか?」

「さぁね……これから死ぬ奴らに教えてやる義理は()ぇ!!」

「驕るなよ若造がァ!!」


 怪しい男と見た目は小さな幼女のギルマスが対峙する。

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