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第339話 最期の決意


 ヘラクレスの身体は剣と同化すると同時に肥大化して、学校の高さを超え、身体は鎧のように鋼の皮膚に変わる。


 さらに4本の腕が生えて、一角獣のような大きな角が額から伸びている。

 

 禍々しい魔力と鋼の身体に黒いオーラを纏い、もはや人間ではなくなっていました。


「どうやったらそんな気味の悪い姿になれるのよ……」

「俺の剣は聖剣や魔剣ではなく、アーティファクト……しかし魔王教団の技術を使った特別性なんだよォ!!」

「人の力で作ったモノってことね。聖剣のような神様の力で作られていない分、不完全でそんな不気味で気味の悪い姿になるのも頷けるわね」

「何とでもいうがいい。この力でお前達は死ぬのだからな!!」


 巨大で禍々しい身体を手に入れたヘラクレスは暴れ回る。


 学校に侵入させないため、ここで見張っているのにも関わらず校門を破壊し、大地を破る。


 足を動かすだけで地面は抉れ、大地に眠る魔力がヘラクレスの中に流れていきます。


 修行を経て、周りの魔力を使う事が出来るようになったユウリですが、ヘラクレスはその魔力を徐々に奪ってることに気づいた。


「これ、早めにケリを付けないとまずいかも!」

「どういうこと?多分魔力だよね……アイツに吸収されてる?」

「うん、魔力が常にヘラクレスの身体に流れてるせいで周りの魔力を使えなくなってる……魔導士は無意識に魔力を回復するんだけど、それには周りの魔力を徐々に体の中に取り込む必要があるの。つまり、こいつの近くにいると魔力が回復しなくなる」

「げっ……それじゃあユウリやばいじゃない!?」

「元々魔力は私の中に溜めてあるけど……それが尽きたら魔体症の影響を受けちゃうかも」

「……分かった。じゃあ剣士3人でアイツを倒そう!!マツバとユウリはサポートで行くよ!!」


 ショナはユウリに無茶をさせまいと進んで前へ出た。


 目の前の学校よりも大きな化け物に本当は恐れ、恐怖の感情を抱いているのにもかかわらず。


 彼女が誰よりも先に前へ出るのには理由があったそれは――このチームのリーダーだから。

 

「珍しくリーダーらしい事を言ってるけど、皆がピンチになったら私は命を使ってでも魔法を使うから……そこんとこ忘れないで!!」


 ユウリは自分のために仲間が死んでしまう事を恐れていました。


 自分が思うように動けない事で仲間を危険に晒す可能性が高くなる。

 

 満足に魔法を使えない以上、この強敵を相手に勝利を捥ぎ取ることが難しいと考えています。


 魔力を常に供給され続けて、身体も鋼の如く頑丈……おそらく一筋縄ではいかないでしょう。

 

 それだけ今のヘラクレスは圧巻な存在感を放っていました。


 ショナの言う通り3人は一斉にヘラクレスへと斬りかかります。


 しかしあまりの巨体とその鋼の皮膚に傷を付ける事すらできません。


 ショナ達はその異様な硬さに不安と不気味な気配を感じ取りました。


 このままでは攻撃が通らない……さらにヘラクレスはその鋼の身体を利用して体当たりをしてきます。


 魔力と鋼の鎧のパワーはすさまじく、生身の身体でこの攻撃を受けてしまったら確実に押しつぶされて死ぬ。


 幸いなのが巨体の鋼の鎧のおかげであまり速く動けないこと。

 

 もはや修行で剣の鍛錬を積んだ3人を追える存在は少ないはずです。


 それでも当たれば即死の攻撃を常に避け続けるのはまだ経験の浅い少年少女には負担が大きかった。


 避け続けられる確信はあれど、そのプレッシャーが焦りを産む。


 それは特に足元を掬う要因の1つになります。


 するとその時、スルッ――と足を踏み外してしまう。

 

「やばっ!?」


 足を滑らせたショナは地面に激突する。

 

 ショナが焦りの声を上げますが、時すでに遅く、このままではヘラクレスの巨体に轢かれてしまう。


 まるで少女に荷物を沢山詰んだトラックが突っ込んで行くくらい絶望的な状況……しかしあまりの巨体なので横へ移動して逃げる事もできない。


 このままでは巨大なトラックと同等以上の怪物に轢かれてしまう。そんな状況でサツキ、フーリア、マツバの3人がヘラクレスの攻撃を正面で受け止めました。


 3人の強力な剣とそれを操る腕、これまでの修行の成果がそれを可能にしましたが、あまり長くは続かないでしょう。


 それだけ、ヘラクレスの突進の威力が半端ではありませんでした。


「皆!!」

「早く起きて手伝ってショナ!!」

「う、うん!!雷鳴剣ッ!!」


 4人で巨大な鋼の身体を抑えますが、それでもビクりともしません。


 既に攻撃を受け止めている状況なので回避することは不可能。


 このまま押し切るか押し切られるかの2択しかありません。


 早くもピンチを迎えたフーリア達は必死で脱出を試みていますが、上手くいかない。


 剣を自由に動かせることが出来れば、もう少し方法はありましたが、既に今は剣と鋼の身体が触れ合った状態なのでここから突破するのことは不可能でした。


 そんな状況を見かねた魔法を使えばすぐに魔力が枯渇してしまうユウリが痺れを切らす。


 彼女は目を閉じ、そして決心したように叫ぶ。


 このままでは皆が押しつぶされて死ぬ……そんな最悪な光景を想像してしまい我慢できなかった。


 ユウリは元々溜めてあった魔力を全て使い、さらにそれでも足りないと判断して最悪な選択をしてしまいます。


 ユウリの身体から光の粒が溢れ出る……。

 

「私の命を使ってそいつを消し飛ばす!」

 

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