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第338話 ヘラクレスの苦痛


 ルークを救うため、フーリア達は宛てもなく手当たり次第、街を駆け巡る。


 そこでどこか気味の悪い魔力を感じるエステリア学校までやってきました。


 しかしフーリア達は知らない……そこにルークが居ない事を……。


 それでも学校にルークが囚われているかもしれない、そんな淡い期待を抱きながら学校の内部へ侵入しなければいけなかった。


 そんな矢先、学校の校門を守るように一人の男が立っていた。


 名前はジーク=バレンタイン……今はヘラクレスと名乗っている男。


 ルークと同じ赤い髪、バレンタインは魔法使いの家系ですが、彼は筋肉質の身体を持った剣士。

 

 バレンタイン血を薄くも引いている者。


 元々ルークとは親戚の関係だったジークがここでフーリア達を待ち構えていた。


「やっぱりアンタは敵だったわけね」

「ほうホワイト家の世間知らずで我儘な貴様は俺が魔王教団に入っていると分かっていたのか?」

「子供の頃、会ったことがあるでしょ?その時アンタの目がルークを恨んでいるように見えてたのよ」

「……あんな奴のためにそこまで見ていたのか」

「あんなって……上辺だけだったのは分かってるけど、あの子の叔父でしょ?」


 フーリアは怒りをヘラクレスに向ける。


 大切なルークがあんな奴と言われたこと、そして何よりあの頃からルークを狙っていた――そんなことを思い出す。

 

 魔物の大群がホワイト領に押し寄せてきたせいでフーリアは両親を失いましたが、唯一それでヘラクレスから距離を取ることが出来たのは幸運でした。

 

 本来、その程度ではここまでの怒りを露わにすることのない。そんなフーリアが今回だけは口を挟む。


 せめてルークの助けになって欲しかったという想いもどこかにあったのかもしれない。


 そんな叶わない願いを抱いていますが、それをヘラクレスはあっさり拒絶する。


「アイツは俺から全てを奪った……そこから俺は心の底から笑う事が出来なくなった。恨む方がごく自然というものだろう?」

「確か昔聞いた気がする。バレンタインの魔法が使えないからバレンタインと認められなかったんだっけ」

「そうだ。アイツは知らないだろうが、俺はそれで苦しい想いをした。バレンタインなのに固有魔法を使えず、父や周りからは期待されなかった」

「でも親戚でしょ……?」

「……真実を知らないというのは愚かなモノだ。まあそれも貴族社会によくあること、あのままの時間が進んでいたら貴様が経験していたかもしれない闇だ」

「何の……話?」

 

 ヘラクレスは過去に存在自体を拒絶されるほどの苦しみを味わって来た。


 それは魔導士の名門バレンタインの血を引いている子供でありながらその魔法を行使できなかったから。


 一方でルークが簡単に固有魔法を使った事で、バレンタインの時期当主が確定した。


 その瞬間、ヘラクレスはルークに対する憎悪と激しい恨みを潜ませているとそこへ魔王教団が現れたという。


「アイツらの手を借りて、魔物を放たせ愚かな選択をしたあの男を殺そうとしたが死んだのは……」

「ルークの母上……そう、アレはアンタが真の黒幕だったわけね」

「俺がそう頼み込んだのだからな、しかしおかげでバレンタインの家に入れなくなった。だがまあ確かにその通りだな!俺が殺した!アッハッハッハ!!!!」

「……」

「そして!!ムーンに頼み俺を苦しめたあの男に魔王教団のクズ女を用意させた。ルークが苦しんでいると報告を聞くたびに俺は……喜び、笑う事が出来たんだ……!!」


 ヘラクレスの行動理念は自信を不幸にしたルークに対しての復讐だった。


 彼女が横でバレンタインの魔法を見せびらかせる度に不安と嫉妬に駆られていた。


 さらにそれに追い打ちを掛けたのが元々彼女がバレンタインではないとヘラクレス自信分かっていたこと。


「俺がガキの頃、突然……雪山から帰ってきたら子供が出来たと持ってきた。だからアイツがバレンタインの血を引いていない事くらい分かっている」

「雪山に入っている期間なんて2日に満たないはず……まあ子供なんてできないわよね」

 

 そんな不満と絶望がヘラクレスを魔王教団へ誘っていた。


 その結果ルークを守る側ではなく、敵として立ち塞がる……が、この場にはルークが居なかった。


 ヘラクレスはその様子に怒りを露わにする。


 ルークを出せと懇願するが、当然フーリア達はルークが攫われたものと考えて、どこに居るのか聞き出す。


 お互いに噛み合わない主張が飛び交う。


 フーリア達はルークがここに囚われていると思っていたから駆けつけたこと。そしてヘラクレスはそんなことは知らないと正直に答えている。


 しかし本当か嘘かフーリア達には知る由もない。


 結局のところ、嘘を付いているかどうかに関係なく、ヘラクレスを倒して学校に侵入しなければならない。


 ヘラクレスがここを死守している理由がムーンの護衛ならどちらにしても倒さなければいけない相手なのだから。


 双方が臨戦態勢に入り、5対1の人数差で戦う。


 当然5人居る方が有利になる。


 それを埋めるべくヘラクレスは魔導騎士(エーテルナイト)の最終手段である剣と同化する。


 最初から全力の戦いが幕を開けた!!

 

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