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第332話 水の再会


 時はルークが消えた瞬間まで遡る。


 突然居なくなったルークを探すようにフーリアやショナ達が名前を呼ぶが、どこにも彼女の姿は無かった。


「一体どこに言ったのよ!!」

「もしかしたら魔王教団に連れ去れたとか……?」

「ぐぐぐ……魔王教団絶対に許さない!!私の風で全て吹き飛ばしてやる!!」


 フーリアはエステリアの街を吹き飛ばそうと神秘剣を構えます。


 今のフーリアではそれほどの風は起こせませんが、命と引き換えにならそれも可能。


 ルークが攫われたと思い込んでいるので気が気ではないフーリアならそれくらいやってしまいそうな勢いでした。


 そしてフーリアなら自分の命を引き換えにしてでもエステリアの街を吹き飛ばそうという確固たる意志を感じ取ったショナは腕を絡めて拘束する。


 後少しでフーリアの命ごと、エステリアの街が吹き飛んでいましたが、ショナのおかげでそれを阻止することが出来ました。

 

 しかしフーリアは怒りに身を任せている状態で気を抜いたら、恐ろしい結末を迎えるでしょう。

 

「それはダメだってばッ!!というかそんなことが出来たとしてルークも吹き飛ばされるよ!」

「ルークならその程度でビクリともしないわ」

「さすがに無理だと思うよ?!それよりここはタイヨウ様の判断を仰ごうよー!!」


 いつも作戦を立ててくれるルークがどこかへ行ってしまいましたが、それよりも頼りになるタイヨウが残っていました。


 タイヨウは急に消えたルークの居た場所をじっと見つめています。


 魔力の残滓を追う事でどこへ行ってしまったのか、確認しています。


 しかしタイヨウでもそれを追う事が出来ませんでした。


 それほどまでに完成された転移魔法……それだけでムーンが絡んでいると確信する。


「まあどちらにしろエステリアへ進軍するんだ……油断した馬鹿を助けるついでに魔王教団を滅ぼすぞ!!」


 フーリアのように無差別に何もかも吹き飛ばすような荒々しい考えは無いモノの、かつての友が攫われてタイヨウもまた静かに怒りを覚えていた。


 ショナは怒りに燃える2人の背中を呆れています。

 

 そんなひと悶着があり、タイヨウ軍はエステリアの街まで駆け足で進んで行ってしまいました。


 後ろの沼地にルークが飛ばされたことも知らずに……。


 沼地にクレーターが出来ていて、その中にルークとダインスレイブが居るせいでここからでは見えませんでした。

 

 エステリアと沼地は近くにあるので、ルークが後で追ってくるとしてもそこまで時間は掛かりませんが……。


 作戦にはルークが必須なので現状では立てた作戦を実行するのが不可能になってしまった。

 

 エステリアの街に帰ってきてしまったショナ達は大きな城壁を眺めて呟く。


「ようやく帰ってきたね」

「そんなマイホームに帰ってきたみたいな。可愛らしいものじゃないけど」

「分かってる!感傷に浸るのは後!!早くルークを助けないと!!!!」


 感傷に浸る暇も無く、ショナ達がエステリアの街に入ろうとした時、大きな門がバタンッ!!と物音を立てて開く。


 中からじゃないと開かない巨大な扉が勢いよく開いたことで中の風が勢いよく外に流れてくる。


 その場に居た全員が手で視界を覆う。


 砂埃と風が舞うエステリアの入り口付近、そこには何度も見たであろう魔王教団の怪しいフードを被った者達が姿を現す。


 そしてその後ろには操られているエステリアの街の住民たちまで……。


 タカが一般人が魔法や剣の鍛錬を積んだフーリア達に適うはずもありません。


 しかし一般の人たちは薬によって強制的に魔導騎士(エーテルナイト)と同じ力を得ています。


 待ち伏せされていましたが、タイヨウはそれも想定済み、即時臨戦態勢を取り、攻撃を仕掛ける。


 そしてそれに連なるようにフーリア達も続く。

 

 突撃して来た一般人の剣を受け止めたショナが反撃しようとした時に、すぐさま魔法を使われて吹き飛ばされる。


 怪我はないものの、魔法と剣を扱える存在を何人も相手にしなければいけない。

 

 魔法と剣の鍛錬を積んでいなくても魔導騎士(エーテルナイト)のアドバンテージである魔法と剣を使える体質を持っているというのはそれだけでこの世界では脅威になる存在でした。


 それが入り口だけで1000名以上……。


 おそらくエステリアの街の中にもさらに溢れかえっている事でしょう。


「最悪の状況だな」

「タイヨウ様!私達がここを食い止めますから、ルークを助けてください!!」

「お前達が行かなくていいのか?」

「助けたいですが……私達ではここを突破するのに時間が掛かります。でもタイヨウ様なら!!」

「仲間としては少々物足りない判断だが、英断とも言えるか。おそらくムーンとかち合う事になるだろうから、早くお前達も来い。あの子一人ならまだどうとでもなるかもしれないが……果たして。魔導王が復活していたら、さすがの俺でも手に負えん!!」

「当たり前です!!むしろタイヨウ様は時間稼ぎでいいですから、ルークは私達で助けます!!」

「そういうことか……一国の王をそんなことに使いやがって……」


 悪態を付きながらタイヨウは1人エステリアの街に入っていく。


 しかしそれに納得していない女の子がいました。


 フーリアです。


「なんであんなの行かせるの?」

「1番時間稼ぎできそうだから!それよりフーリアあいつ強そうだから手伝って」

「ぐぬぬぬ……」


 フーリアはタイヨウを追うのを辞めて目の前に現れた小柄の魔王教団に目をつけた。


 剣を振り下ろすと風が起こり、相手の素顔が見える。


「さて、この私の邪魔をするのは一体……アンタ…………ッ!?どうしてあなたがここにいるの!!」


 フーリアが驚くのも無理がありません、もうどこかで死んでいると思っていた女の子が自分の前に立ちはだかっていたからです。

 

 現れたのは水の魔導士アリスだった。


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