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第319話 希望の再会


 命の危険というのは意外にも予想外な所からその魔の手が伸びてくる場合がある。


 この世の終わりだと見間違えてしまうほど、ギルドマスターの運転は荒々しかった。

 

  舗装されていない道を猛スピードで走っている。いくら風魔法で車体を浮かせていてもたまに凹凸のある道に引っかかる。

 

 その時は車体が揺れてしまい、少しの吐き気を覚えてしまう。


「うっ……」

「うぅ……そういえばルークは乗り物だめなんだっけ?」

「こ、これはそういうやつじゃなくて……」

「確かに……みんな同じだもんね……うげっ」


 激しい乗り物に揺られているせいで気持ちが悪い……こういう時は山とか遠いところを見るといいんだっけ、私は気分が悪いながらも首を窓の方へ向ける。

 

 その窓の外の光景を見て、一瞬だけ吐き気が消えた。

 

 遠くを見て吐き気が消えるというプラシーボ効果……というよりはそこがハーベストの中央都市だったからだ。


 あまり時間はかからずに都市まで来られている……夜にはルエリアに着きそうだ。

 

 そんなことを考えていると不意にルエリアのギルドマスターのことを思い出す。

 

 そういえばあの人は魔法で癒したけど、ここにいるはず……私の魔法は既に完成されていたはずだけど完全に薬の影響を中和できたのか分からなかったから見ておきたい。


 この速度なら少しくらい時間を使っても変わらないだろう。


「あの……うぅ……1回下ろして貰ってもいいですか?」

「あら?このルーク=マギシュリー様の子孫であるキキョウ=マギシュリーの運転に付いてこられていないの?」

「それもありますが……寄りたいところがあります。後なんか性格変わってて怖い……うぅ……」

「仕方ないわね……」


 まるで性格が変わったキキョウに何とかお願いして中央都市に止まってもらった。


 車の運転を終えるとギルドマスターは大人しい大人な女性に戻っていた。

 

 たまに車に乗ると性格が変わるみたいなことを聞くけど、本当にそういう人はいるんだ。


 私達は車をそそくさと下りて、ギルドへ向かう。


 ハーベストの中央都市はいつもと余り変わりないんだけど、どこか空気が重い。


 一応戦争中だからだろうか、よく見てみると人気も少ないように思える。


 どうやらこの街からも相当数の戦える人たちが向かったみたい。

 

 いくら戦争中でも2国が組んでいるのに大してルエリアは一部の魔王教団が支配している戦力しかない。


 戦力の差は明らかだろう……負けるビジョンは想像できない。


 というのに私は嫌な胸騒ぎを感じていた。


 その違和感を少しでも晴らすために打つ手を増やしておきたかった。


 ギルドに入って私たちが連れてきたルエリアのギルドマスター達の様子を見に行く。


 クレスト王子以外の5人は以外にもギルドのカフェでのんびりしていた。


 後は魔法の影響を受けていないのか気になるところだ……。


 ギルマス達は私たちに気づくと駆け寄ってくる。


「おう!お前たち無事だったか!」

「ギルマスですよね?」

「あぁ、君の魔法で元に戻った。ありがとうルーク」

「い、いえ」


 突然感謝されるとは思わず少し照れくさい気持ちになる。


 ギルマス、ルーン、アナ、フレイヤ、受付嬢の5人は元に戻っているみたい。


 だけど1人足りない……。


「クレスト王子は?」

「あの人は戦争に参加してしまった」

「なっ……!!どうしてそんな……」

「ルエリアの王子としてやるべきことをする為に……と」


 驚いたけど、そうなるとクレストも元に戻ったと考えて良さそうね。

 

 あの薬の影響を完全に消すには、邪魔な魂を燃やすイメージを持つと上手くいくことがわかった。


 私の魔法「不死鳥の炎」は癒しの効力を想像した通りに活かすことが出来るみたい。


 何度も神様と会うことで炎の性質が分かった。


 私も聖獣の力を取り入れることで徐々に強くなっていっているみたい。


 おそらくこの魔法は戦争でも役に立つよね。


 魔王教団には人格を支配する薬があるから、それを唯一中和できるこの魔法があればより有利に戦える。


「戦争か……私も行こう」

「ギルマスも……?身体の方は大丈夫なんですか?」

「まあ……大丈夫だ。それよりこれが最後の戦いであればルエリアの冒険者ギルドマスターとして戦いたい……君にもお礼をしたいしね」

「ギルマスが来てくれるのならとても助かります」


 私がこの中央都市に寄ったのはこれが理由だ。

 

 戦力を増やすため……ギルマスの実力の程は分からないけど、それなりに強いはず……小学生くらいの子供だけど……。


 魔力は強大だ!


「それなら私も行こう」

「フレイヤも?!」

「ああ、戦いになるのなら……クレストのこともあるし」

「助かるわ……だけどアナとルーンと受付嬢は置いていくわ」


 2人は悩んでいる様子だったのでここで釘を刺しておく、アナは強いけどこの戦いには付いて来られないだろう。


 ルーンに関してはまだ幼い子供……。

 

 戦力は欲しいけど、やっぱり強い人でなければ足でまといになる。


 残念だけどこの2人は実力不足だと言わざるを得ない……しかしそこへ一人の少女が立ち上がる。


「お姉……ルーク様……私を連れて行って……」

「ルーン……?どうしてあなたが?」


 意外な人物の申し出に驚いてしまった。

 

 この子ではアナ達以上に足でまといだ……前の戦いでそれはよく分かっている。連れていくのはちょっと……。


 そんなことを考えていると彼女の強い瞳を見せられて気圧されてしまう。


 彼女にも何か覚悟があるらしい。

 


 

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