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第318話 緊急事態


 雪山を下りて街に戻ると門の前でギルドマスターキキョウが心配していたのか待ってくれていた。


「あれから半日……戻ってくるのが早かったな」

「キキョウさん!大変な事になってしまって……!!」

「あら?……あまり時間は経っていないけど……またループして戻ってきたわけじゃないの?」

「あ、あの雪山で……このままだと魔導王が……後、怪我人!!」

「ちょっ……そんな名前をここで出さないのっ!ギルドで話を聞くから、その子はギルドの医務室へ!」


 早くルエリアへ向かわなければいけないけど、まずは協力してもらうために説明しないと……。

 

 ハマルの事は後回しだ。


 もし協力してもらえるのならルエリアへの移動の手伝いをしてもらえるかもしれない。


 ギルドの奥の部屋に通されて、そこで雪山であったことを話す。


 話を聞いたギルドマスターは魔法使いの帽子を床に落として、綺麗な黒い髪をわしゃわしゃとかき乱す。

 

 頭を抱えてどうしようか悩んでいるみたい。


「それは……やばいわね。あああああっ!!その話だとほとんどの聖獣が取られてしまったのね……ホントに世界が終わるかも……」

「そんなにまずいですかね……?まだ聖獣の力は1つ残っていますし……」

「アマノ様ね……しかし、ムーンはタイヨウの子供よ?アマノとも関わりがあったはず……もしあの方の羽や魔力を採取していたら……」

「え……それでも復活するんですか!?」

「可能性はあるわ……あぁ……雪山を守るように言われてきたのにご先祖様に申し訳が立たないわ!!」


 ご先祖様に頼まれて雪山を守って来ていたってどういうことだろう。

 

 そういえば今更だけど、花園の支部のギルドマスターなのに亜人では無くて人間族なんだよね。

 

 聞いた話では花園のギルドマスターは全員亜人のはず。


 その応えは隠すことなく教えてくれた。

 

「ここはアマノの国にある唯一の支部で亜人がほとんど居ない国だから」

「そういう事なんですね……ちなみにご先祖様って?」


 そんなことを聞いている場合じゃないのは分かっている。

 

 しかし、なんとなくそのご先祖様というのは気になった。


「私のご先祖様は冒険家ルーク様よ!」

「ル、ルーク!?」

「あ、そういえば君もそんな名前ね?よくありそうな名前なのに初めて会った気がするわ……もしかしたらあなたはご先祖様の生まれ変わりなのかもね……なんて!」

「あ、あはは……さすがに無いと思います。多分……」


 それが自分だと言っても信じて貰えないだろう。

 

 私はその事は黙っておいた……説明するのも時間が掛かりそうだし、記憶も無いので意味が無いと判断したから。


 それにしても普通の人間だった理由がまさかそんなことだったなんてね。

 

 雪山を守っているはずなのに開拓のために冒険者を送っていたというのは少し妙な気もするけど……。


 おそらく街の発展のために必要だったんだろう。


 世代は何代も交代しているからあの雪山のことを詳しく知らなかったのかもしれない。


 雪山の聖獣を守るのなら冒険者や私達を送り込むべきじゃないからね。

 

「守護することしか教えられなかったから……まさかそんな重要なことが隠されていたなんて」

「ということで奪われた聖獣を追いたいのですが……」

「ルエリアでしたね……魔導車に魔力は貯めてありますから直ぐに出られますよ!」

「おお!!それじゃあ直ぐに向かいましょう……しかしどれ位で着くか」


 もう既に手遅れ化もしれない。

 

 だから時間が無い……一分一秒でも無駄にできない状況下の中、キキョウは不敵な笑みを浮かべた。


「ふふ、一瞬……」

「え……?」

「私が運転するのでほぼ一瞬で着きますよ」


 車の運転に自信があるみたい。

 

 凄く自信満々な笑みをこちらへ向けて居た。


 ここにギルドマスターがいて良かったと安堵しつつも私たちは直ぐに車に乗り込んだ。

 

 アマノの北の街からルエリアへ馬車で移動するには2週間ほどかかる。


 いくら三国が近くにあると言っても馬車のような乗り物ではあまりに遅い。だけど車なら変わってくる。


 問題があるとすれば道が整備されていないので思うように走れるかどうかだけど……。


「風魔法で車輪を浮かせるので」

「……前世の最新の技術のよりも過ごそうですね」

「そうでしょう?魔法使いなんだし、空は飛ばないとねっ!」

「せめて箒で飛んでください……車はイメージがちょっと……」


 その移動に使う車なんだけど大人数が乗れない小さなものだった。

 

 これでは6人も乗れない……そう思っていたんだけど、これもまた魔法が掛けられていて小さな車の中に10人は入るようになっている。


 空間の魔法を付与された鞄などを参考にして作られたという。


「なんか……前世よりも遥かに高度な技術な気がする……」

「そうでしょう!前の世界に戻るなんて勿体ないわよ」

「……なんでフーリアが自慢げなの?」


 別に前の世界に戻ろうとか考えていない。

 

 そもそも姿形が違うので戻ったところで困るだけだろう。


 それに私は今のこの世界が気に入っている。


 このたった5人の友達と一緒に居たいから……そのためにも魔導王復活だけは阻止しなければいけない。


 私達は最後の戦いの舞台になるかもしれないルエリアへ急ぐのだった。


 ギルドマスターの超ハイスピードの運転によって……。


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