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第315話 4つの聖剣


 炎と水の魔導騎士(エーテルナイト)になったネプチューンは想像以上に強くて、私一人では歯が立たなかった。

 

 だけど、私には大切な仲間がいる。


 私の後ろから突然雷が轟いて、ネプチューンを攻撃した。

 

 ネプチューンはショナの雷の一撃を軽く受け止める。

 

 一人の時よりも圧倒的に強くなっているからショナの攻撃でもビクともしない。

 

 水は雷に弱いけど、雷の一撃を受けてももはや水の身体だけじゃなく、炎も使えるので苦手な属性ではなくなっていた。


 雷は炎の剣で受け止めれば水の身体に電撃が流れる事もない。

 

「もうその攻撃は効かないぞ!!」

「雷を防ぐ炎……それならこの攻撃はどうだ?!」


 ショナに続いてサツキが水の剣で攻撃を仕掛ける。

 

 ネプチューンに水は効かない……もはや避ける必要も無いのか手を前に差し出す。


 サツキの剣を素手で受け止めるつもりだ!!

 

 しかし剣を手で受け止めようとしたその時――ザシュッ……。

 

「がああああああああああああっ⁉」


 受け止めたはずの剣はネプチューンの左腕を落としていた。

 

 ネプチューン……いや、正確にはレオの左腕が宙を舞うが、そこから血は流れていない。


 水を使ってレオの身体を動かしているせいか。


 合体したというよりは水の身体を使って、レオの身体を操っているみたい。

 

 血が出ていないのは不気味だけどそれよりも、無くなった腕は水を使って代用していた。


 水で腕の形を作り、失った腕の代わりにする……これじゃあいくら斬っても中の水が溢れてくるだけだ。


「くっ……そうか、今は私の腕は人間のモノ……電撃は効かないが物理攻撃は効いてしまうか」

「……このまま雷を通す水の身体に戻してやるよ!!」


 動揺しているネプチューンに間髪入れずサツキは攻撃を加えようとする……。

 

 しかし相手は魔王教団の幹部、ほんの少しの動揺で失敗はしない。


 サツキの水の剣を水の手で受け止めた。


 そして残っている右手でレオの炎の剣を振るう。


 水は水で腕で受け止めて、攻撃は炎の剣を使う。理解していても頭の中で瞬時に判断して実行するのは経験が必要だ。

 

 炎の剣はサツキの首筋を狙って向かって行く。このままではサツキの首が飛んでしまうという瞬間。


 ドゴーンッ!!


 次は雷が水となった左腕に降り注ぐ。

 

「うががががががががっ!?」

「水になら雷が通るんだよね!!」

「小娘……‼︎」

 

 先ほどサツキがダメージを与えられなかった水の腕をショナが雷の剣で捉えた。

 

 人の身体を使って魔力を流すことでショナの雷撃は簡単に受け止められるけど、水の身体はそうはいかない。


 むき出しの水の身体にはショナの雷撃で、レオの肉体にはサツキが攻撃を仕掛ける事で優位に戦いを持って行くことができる。


「こんの……!!雷の小娘がぁっ!!」

「……風の小娘も居るけど、ショナばかり気にしていて良いの?」


 ザザザ――ッ


 今度はフーリアの風の剣がネプチューンの右足を根元から斬り落とした。

 

 先ほどと同じく血は出ない。そして足も水で代用して戦いを続行してくる。


 だけどこれでショナの攻撃を当てられる場所が増えた。

 

 ネプチューンも二度も激痛を与えられて怒りを露わにする。

 

 今まで余裕があった表情はどこかへ消えていた。


「貴様らァ!!」

「おわあっ!?水と炎が混ざって凄いことになってるよー!?」


 追い詰められてようやく焦りというものを見せた。どうやら追い詰めすぎたみたい。

 

 このままだとこの辺り一帯が炎の海に沈む。


 ネプチューンの炎はどういう原理か分からないけど水の上に炎の柱が立っていて異質だった。

 

 炎と水は相性最悪で同時に発動すれば大概は相殺し合う。


 それが完璧にお互いの力を邪魔せずに女神魔法として完成していた。

 

 追い詰められたが故の最後の足掻き……逆に考えればこれ以上の手は無いはず。


 これをどうにかして凌ぐことが出来れば私たちの勝ち!!


「行くよみんな、ありったけの攻撃をあの炎と水の渦にぶつけるよ!!」

「よしきた!珍しいルークの協力要請……みんないっくよー!!」

「……そんなに頼っていないわけじゃないと思うのだけれど……」


 ショナからしたらもう少し頼れということなんだろうか。

 

 優しいしその考えは嬉しいけど、何かを訴えられている感じで気まずい。


 今後の戦いを考えると乗り気にはなれないけど、もう少し相談の量を増やした方が良さそうね。


 そんなことを考えながらも私は取っておきの攻撃の準備を終えていた。

 

 相手がいつあの炎と水の渦を撃ってくるか分からないから無詠唱の女神剣を使う。


 詠唱がない分、弱くなってしまうんだけど状況を考えてこれがベストだろう。


 それに私だけの力じゃないんだ……今は皆を頼らせてもらおう。

 

「小娘共が……死ねぇぇぇぇぇえぇぇぇぇええええ!!」


 ネプチューンはほかの荒々しい人格にでも乗り移られたのかと疑ってしまうほど、荒れていた。

 

 姿は完全にレオであり、性格も彼によっているように見える。


 これで決めて、ネプチューンもレオも楽にしてあげるべきだ。

 

 何となく彼らは苦しそうにしている……私にはそう見えていたから……。


「女神剣……焔十字斬と爆裂属性付与!!」

「俺も女神剣で……ちょうど足元には水があるからな!!奥義、海割り!」

「ストーカーになんか負けるかぁぁぁぁぁぁあぁああああ!!」

「みんなで戦えて嬉しい!ユウリとマツバも入ればもっと良かったけど……轟け雷鳴剣!!私の身体を限界までリミットを外して!!はああああああああああああっ!!」


 四人それぞれの最高攻撃剣術でネプチューンの炎と水の渦を包み込んだ。

 

 彼女から放たれた攻撃は確かに強力だったけど、私たちの合わせ技にはなす術もなく、散った。


 今までにない全力……毎回見逃していたけど、今回は絶対に倒すという意志を貫いた渾身の一撃は、ネプチューンの姿形も残さなかった。


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