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第313話 ネプチューンの最期の一手


 これで三度目だろうか……魔王教団のレオが私達の前に立ち塞がる。

 

 最初に会った時と2回目はイキイキしていて正直鬱陶しい感じだった。


 しかし今は無言……あの時の私たちを舐めている態度を一切感じさせないほど静か、というか全く別人みたい。


 様子がおかしい……。

 

 そんなことを考えていた次の瞬間――突然、視界が歪んで息が出来なくなった。

 

 本当に突然、なんの前触れもないそれに脳が必至で付いてこうとする。

 

 それでも何が起きたのか分からない……!!


 だけどこのままじゃまずいのは分かりきっているのでどうにかしてもがく……が、腕と足が何かに拘束されていて動かない。

 

 それでもそこから脱出するために力いっぱい身体を動かす。


 私がどんな状態になっているのか分かっているであろうフーリア達は何故か私に向かって跳びかかってきた。


 しかしそれをショナが止める。


「みんな待って!私が雷で……」

「そんなことしたらルークが怪我するわ!!」

「雷の怪我くらいで済むならいいよ!それくらい分かるでしょ!!」

「くっ……分かった……でもショナ気を付けてね」

「分かってる……ほんの少しだけ制御したぁ〜雷鳴剣ライコウ!!」


 ショナが緩く叫ぶと雷が私に振り注いで襲ってきた。

 

 事前に攻撃が飛んでくると分かっていたので歯を食いしばりながら魔力を纏い、その雷に耐えた。


 解いていた魔力も使って雷に耐えたんだけど……やはりショナの攻撃だけあって相当身体に来る。


 雷がまるで私の身体を内部から破壊しようとしているかのように響いて動きを鈍くする。


 これが手加減って……この子の雷を今まで受けてきた敵の気持ちがようやくわかった。

 

 身体中が悲鳴を上げるのが分かるけど、その直後に私はようやく身体が自由に動かせて息もできるようになった。


「うっ……はぁはぁ……一体なに!?」

「ご、ごめんルーク!!でもネプチューンがルークに巻き付いてたから……」

「え……」


 喉を抑えながら咳をして、まだ中に溜っている水を吐き出す。


 ショナの言葉を聞いて頭を上げるとそこには水の身体を持ったネプチューンが不安定な形でそこに立っていた。

 

 人の身体をキープしているみたいだけどS字に曲がっていて、あまり形を上手く保てていないみたい。


 水になっているネプチューンが私に巻き付いていたのならあの息が出来なかったのは水の中に入れられていたから。

 

 ショナはその水を剥がすために雷を使ってネプチューンを攻撃した。


 身体が水なので雷くらいしか通る攻撃は無い。


 ショナは苦渋の判断の末、私を雷に巻き込むことで水から解放してくれた。


「そういうことね……ありがとうショナ」

「個人的には申し訳ない気持ちでいっぱいだからねっ!」

「いいよ……フーリアと組んでアーミア倒した時に私達に不満があるのは聞いてたし……その分だと思えば」

「聞こえてたんだ……恥ずかしいけど、そういうことならいっか!!」

「……うん」


 ショナはまんざらでもない様子だった。

 

 つまり少なくとも私に雷撃を食らわせたいと思うくらいには不満が溜まっていたという事だ。


 いつも怒っているフーリアでも私に痛みを与えるような事はしてこなかった。


 もしかしたら私達の中で一番怒らせると怖いのはショナなのかもしれない。


 今後はもう少しショナの言う事を聞こう……それに他に気になる事がある。

 

「それよりもどうしてネプチューンが動けるの?てかなんでまたこの魔王教団の人がいるの!?」


 ショナはそれだけで頭がパニックになっているのか、今の状況を整理するだけで手一杯だった。

 

 先ほどまで少し怖かったけどいつものショナに戻ってくれて少し安心する。


 そこへネプチューンがレオの近くにまで寄って体制を整えながら応える。


「これはレオだけど、もう既にレオの魂は無い」

「どういうこと……」

「ムーン様の魔法で死んだレオの身体に他の魂を混ぜた。魔王教団のお薬は知ってるでしょ?アレを作っているのはムーン様だから、こんなこともできるの」


 ムーンの他者へ他の人格を下す魔法の薬はどうやら動かなくなった身体にも有効みたい。

 

 それを使ってレオの身体を動かしているのね……。


 でも少し違和感を覚えるのが、私は彼を殺してはいないということ。


 研究所の時もハーベストの雪山の近くの大きなクレーターのある場所で戦った時も普通に帰した。

 

 雪山近くで戦った時はネプチューンがいたはず。

 

 その後どうなったのか知らないけど、もしかして殺されたの……?


 そんな私の疑問に気づいていたのか、ネプチューンは不敵な笑みを浮かべて応える。


「ムーン様の指示の下あの男は殺された」

「なっ……どうして」

「役に立たなかったから……二度もあなた達に敗れたのよ?生きていても無駄じゃない」

「でも結局その身体を使ってるじゃない!!」

「ムーン様の魔法で操られた方が強いからね……でも私はこれで二度目なんだよね」

「……え?」


 そういえばネプチューンとは二度目の戦いだ。

 

 一度目は向こうが見逃してくれたモノの、目的は私達が持って行ってしまった。


 つまりこれで失敗すれば……。

 

「ということで……あの方に殺されるくらいなら……レオ!こっちへ来なさい!!」


 ネプチューンはレオを自分の側に連れて来ると急にその身体にまとわりついた。


 身体が水で出来ているから身体に纏わりつくことができるんだけど、身体が徐々にレオに吸収されている。

 

 そしてネプチューンとレオの身体と魔力が1つになった。


 ネプチューンはレオの身体を乗っ取ってしまう……しかも魔力や剣をレオが持ったまま。


「水と炎……この力があればまだあの方にも求めてもらえるわ!!」

 

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