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第307話 師匠対決


 タイヨウ達の軍が進行を始めてから約半日程でルエリアのエステリアの街の近くにある沼地まで進んでいた。

 

 ここまで何事も無く、あっさり国の重要な首都まで進行出来た事にタイヨウは少し拍子抜けしています。


「あっさり()れちまったな……」

「何か問題でもあるんですか?」

「大問題だ……国境で迎え撃つもりだったからな。もし万が一ハーベストや他の国に設置した転移魔法陣で逃げられた時にすぐに追えなくなる」

「逃げられてからではどちらにしても間に合わないのでは……?」

「アマノの近くに飛ばれたらな。ハーベストならギリギリ皇帝くらいは救えるだろう……。勝てる確率が減るのは避けたかった」


 タイヨウは既に逃げられたことを考えて居る。

 

 それは自分の実の娘だからこそ、それくらいの芸当をやってのけると確信していた。


 もちろん逃がすつもりはない、転移という圧倒的な移動手段がある以上、ピンチで逃げる可能性は高いと考えているだけ。


 魔王教団の支部は名前を変えて、この世界の至る所にあると考えられている。

 

 一度逃げられたら追うのはほぼ不可能でタイヨウは守れるものを優先するためにできれば国境付近で戦いたかったという。


 アマノの国はムーンに襲われたとしても自分が帰るくらいの時間は稼げると確信を持っている。

 

「これもあいつの想定通りの可能性がある」

「そんな、いくらムーンと言えど。こんな早いタイミングでアマノとハーベストの連合軍が襲ってくるとは思いませんよ」

「そのために超スピードでここまできた……車の力を使ってまでな」


 この世界ではオーバーテクノロジーである車をタイヨウは外国へ移動するために使ったことがなかった。

 

 それだけムーンに対しての警戒をしている。


 タイヨウは数千年近く生きて来てようやく終わるかもしれないこの戦いに全てを賭けていた。

 

 最初は何も無い更地から自分達の世界で亡くなった人達と共に作り上げた。


 彼は1人でここまで世界の行く末を見てきました。何度も姿を変える親友に度々出会いながら……。

 

 その日が徐々に近づいているからこそ、タイヨウはこの戦いで負けるわけにはいかなかった。


「アイツとの約束を果たすために……エステリアへ行くぞ!!」


 ムーンが居るかもしれないルエリアの首都エステリアへ軍を進めたその時だった。

 

 ドカーンッ!!

 

 沼地の方から大きな音が響き渡る。

 

 それを聞いたタイヨウは一度エステリアへ出撃することを辞めて、沼地へ向かい始めます。


「妙な爆発音です。あんなあからさまな罠にかかる必要はありませんよ」

「確かに……本来あんな場所で音がする場所へ行ったところでなんの意味もない。だが、そうだからこそ……引っ掛かりを覚えてしまう」

「まさか行くのですか?」

「おそらくエステリアへ進軍すればここを通ることになる。どの道、安全確保の必要はあるだろう?」

「そ、そうですね……」


 クレストはその言葉に同意していますが、 あまり乗り気ではありませんでした。


 理由は嫌なことを思い出すから、この沼地は自分のミスで王子の裏切りを見きれなかった。

 

 その結果、ルエリアは魔王教団に乗っ取られてしまったのだから。


 ルエリアの国民達は魔王教団にある薬を飲まされて戦わされています。

 

 人格をどこの馬の骨とも知らない者に乗っ取られてしまう恐ろしい薬。


 そしてこの沼地はそんな薬の被験者たちが集まるおぞましい所だった。


「これは……!!」


 何と沼地では恐ろしい事が起きていました。

 

 薬の影響で半狂乱になった一般市民から貴族まで関係なく大暴しています。


 どうやら薬にうまくなじめなかった人達が暴走しているみたいです。


 そんな深刻な状況を眺めていた時だった。


「あなたは、タイヨウ王ではありませんか」

「誰だお前……」


 沼地の中から左右で髪の色が違う顔の整った青年が話しかけてきました。

 

 どこか不思議な雰囲気を纏った男性はタイヨウに名乗るように促されると笑みを零しながら応える。

 

「ダインスレイブ……ルークの師匠です」

「師だと?こんな禍々しい魔力を持ったものがアイツの師なわけがないだろう」

「……ふふ」


 不敵に笑いながらタイヨウを見つめるダインスレイブ。


 その目は敵対心こそ感じるものの、殺気や嫌悪感などは覚えない。


 穏やかな表情ですが、その声色は低くて不気味なモノ。

 

 その不振な行動に警戒心をマックスにしていると、タイヨウの背後から巨大な魔力の塊がそのダインスレイブに向かっていきました。


 ダインスレイブはその魔力の塊がぶつかる寸前に魔法を使って弾く。


 目も開けていられないほどの眩い光が放たれるとその魔力の塊が姿を表す。


「やぁやぁ……君がルークちゃんの()師匠さんですか~」

「……ほぅ、あなたは世界最強の魔道士ルーフェ殿ではありませんか……どうして僕を知っているのかな?」

「弟子に聞いたんだ……あー、ルークって言うんだけど」

「おやおや、私の弟子と同じ名前だ」

「ルークはこの世に一人しかいない。どうせ分かっているんだろうこのクソ野郎」

「あはっ……!酷いなぁ……あの子の師匠が僕と……私だけなのに!!」


 遂にダインスレイブとルーフェが出会ってしまった。

 

 お互いのルークの師匠である者同士の負けられない戦いが始まる。

 

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