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第301話 水の幹部


 私とサツキで魔王教団の幹部ネプチューンを相手にする。

 

 フロストの相手はフーリアとショナの2人ですることになり、ユウリとマツバでもう一人の謎の男を相手にしている。


 氷の洞窟の中だから暴れたりすると崩壊する可能性があるが、ネプチューンはそんなこと関係ないと言わんばかりに猛攻撃を仕掛けてきた。

 

 サツキとは違って水を手足のように操る事で自在にどこからでも攻撃してくるので一瞬の気も抜けない状況が続く。


 水を鞭のように操る魔法を使うのでリーチに制限が無く、こんな狭い場所だと避けるのは困難……。

 

 他の2人はあまり派手に動き回っていないのに対して、ネプチューンは何も気にせず暴れ回る。


 元々の能力が高いから大暴れされると手に負えない……しかしそれは向こうの仲間である隣で戦っているフロストも同じ。

 

 フロストは自分に飛んでくる水しぶきを鬱陶しそうにしていた。

 

「ネプチューン!こんな寒い所で水の魔法なんて使わないで!」

「貴様も同じように戦えばいい」

「こんな雪山の中で暴れたら氷に埋もれて死ぬ。それにこの私ですらここは何故か寒さを感じる程だ」

「ほう……古の氷の剣士でもここは寒いのか」

「ふん……だから何?ここは異常よ」

「確かにな……ここまで暴れても崩壊しないのもな」


 言われてみれば多少広い空洞ではあるものの、ネプチューンは大暴れで氷の壁を削り、天井を水で割いた。

 

 しかし、氷が崩れるどころか崩落する気配すらない。むしろ良く最初は天井を壊して下りてきたものだ。


 寒さ体制の服を着ている他の子達でも寒さを感じる程の異常な気候。

 

 ここにはまだ他に何かあるのかもしれない。


「というか……山蜥蜴も戦ってほしいんだけど!!」

「そ、それが……聖獣様が手を出すなと……」

「なっ……どうして……」

「力を見せてみろだそうです」

「また!?」


 聖獣はそういうのばかりね。

 

 固有魔法は能力不足のまま使うと死に至るような危険なモノが多い。だから無暗に渡したくないのかもね。


 たまに何故か一般人でも使える人が居るのはどういうことなのか……ハマルの事を見つめながらそんなことを考えてしまう。

 

 ……今はそんなことどうでもいい、目の前の敵を何とかしないと!!


 でも相手は水の鞭を周囲に纏っているので近づくことができない。触れれば水の打撃が襲ってくる。

 

 試しに炎の魔法で水を蒸発させられないか見てみたけど、私炎が消えるだけだ。

 

 炎の魔法をぶつけるが水との相性の悪さとこの気候が足を引っ張っているみたい。


「くっ……」

「どうやらこの寒さのおかげで炎の温度に私の水が耐えられるみたいね」


 こんな所で力を示さなきゃいけないなんて……ここの聖獣は一体なんの固有魔法を持っているんだろう。

 

 私達の話も聞こうとしてくれないし、この戦いが終わったら文句を言ってやる。

 

 と、そんなことを考えて隙を見せてしまった。

 

 相手は魔王教団の幹部、その一瞬の隙に私の方へ距離を詰めていた。

 

 紺色の長い髪が目と鼻の先まで迫っている。


 「やばっ!?」


 気づいた時には遅くて水の刃をまともに食らってしまう。


 痛い……だけど、何か変だ。


「ん?」


 その妙な違和感は攻撃を仕掛けてきたネプチューンも憶えたみたい。

 

 それの正体はすぐに分かる。


 腕を思いっきり水の刃で斬られたのに怪我をしていなかった。


 浅く斬られて出血を覚悟するような一撃だったのにダメージが無かったからね。


 そういえばこの巫女服はこの世界でも最強レベルの防具なんだっけ。

 

 過度な攻撃を受けても破ける事すらなさそうだ。


「厄介な服ね……袖で手首まで隠れているから腕を狙うのは大変そうだけど……」


 ネプチューンは私の足へ視線を落とす。

 

 あの巫女さん達が着せたこの巫女服はしただけミニスカートだ。何故か裾が長くない物を着せられてしまったが、まさかここでそれがアダになるなんて……。


「やっぱり可愛いだけでモノを選んじゃダメか……」

「お前のセンスか?ふふふ、可愛いな」

「なっ!?」


 これは私のセンスではない……はず。

 

 焔王が前の私としたらまあその通りなのかもしれないけど……なんだかちょっと恥ずかしくなってきた。

 

 実際私もこの服は嫌いじゃない。


 動きやすいし可愛いからもう少し場所を選んで着られるのなら文句は無かった。

 

 しかし最大の防具故に普段着必須だ。


 さらにさっきの攻撃を耐えたので防御力も申し分ない事が分かったので今後はこれを着て行くのが一番いいはず。


「可愛くて強い防具……それに似合ってるなんて羨ましいわね」

「急に何?」

「若い子のそういうの大好きだよ。ふふ、守られていない足を切り落として不格好にしてあげるわぁ!!」

「……そういう性格なんだ」


 仕事ができそうな優秀な人という印象だったんだけど、やっぱり頭のおかしい教団に入っているだけあって狂っているみたい。

 

 だけど、それが一番いい私の捕まえ方だろう。


 もうひとつ守られていない部位は頭だけど、そこを狙ってしまうと殺してしまう。

 

 捕まえて聖獣の力を吐き出させたいのなら足を切り落として移動を困難にする……合理的だけど、まず発想できてもしない。


 こういう人たちに倫理観をもとめるだけ無駄か。


「そんなことさせない!!」

「おっと……君は私とおなじ水使いか」

「ルークに手出させない」

「うふふ、ませたガキ共が……私があなた達の時代はそんなことできなかったのに。羨ましい……羨ましくて殺してしまいそう!!!!」

「ようやく本気でやってくれるみたいだな」

「ふふ、あなたもまだ本気じゃなかったと?」

「最強の剣士である紅蓮様の一番弟子の名にかけてお前を倒す!!」

 

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