表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
286/380

第287話 神と人


 アマノの神社に女神が降臨したという話を聞いて急いで駆けつけるとそこには――愛の女神様が降臨していた。


 顎鰐の時とリリィータートルの力を吸収した時のみ出てきた以来だろうか。

 

 まさか遂に現実世界でお目に掛かれる日が来るなんて思わなかった。

 

 邪神が蘇るというのは気になるけど、どうやって神様を召喚したのかそれが一番気になってそれどころじゃない。


 私は当然のように疑問をぶつけた。

 

「それよりもどうやって……ここに?」

「それに付いては俺が説明しよう」

「タイヨウさん……?」

「ふむ、俺は何度もお前と再会を果たしていた。もちろん今のお前では無いんだが……その中でよく話題に上がったのが聖獣に出会う事で神様と会話できるという話だな」


 今までの私が聖獣を集めていたのならそういう事があってもおかしくない。

 

 その話を聞いて神様を呼ぶ方法を探していて遂にそれが叶った……。

 

 一体何百年という時間を費やしたのか分からないけど、そんな事まで可能にするなんて、タイヨウの異常なまでの行動力には恐怖すら覚える。


「鍵は転生者だった」

「へぇ……だからサツキ達を?」

「ああ、ミツキも転生者だが、魔力量が少なかったのと前世はすぐに亡くなったらしいから記憶もなくて、難しいと判断した」

「ミツキが駆けつけてくれたのはそのおかげですか」

「おかげというのは彼女に申し訳ないが……しかしどうやら手助けに行くようにしたのは正解だったみたいだな」

「悔しいですが、彼女が居なければ私はここに居なかったかもしれません」

「どうだろうな……やばかったらあの方が助けてくれるだろうし……」

「あ!そういえば聖獣アマノに会いましたよ」

「そりゃよかった。あの方が一番お前に会いたがっていたからな」


 案外仲良しなんだろうか……親しそうな優しい表情でそんなことを呟く。

 

 実際会ってみると恐ろしい程の愛情を感じた。


 そんなことを考えていると愛の女神様はソワソワした様子で訴える。

 

「さて、そろそろお話をしてもよろしいですか?あまり時間が無くて」

「す、すみません。邪神の話ですね」

「そう、今のあなたの聖獣であるルミナさん。あの子が邪神……あなた達に分かりやすく言うのなら魔導王復活をほぼ確実なものにしました」

「ルミナ……?どうしてあの子が?」


 確かに聖獣ルミナなら私をこの世界に転生させた悪い女神の復活に必要かもしれない。

 

 だけど、9体居る聖獣の1体にすぎない。


 魔王教団の手元にはもう一体聖獣が居たとしても、まだ二体だけでは到底力は足りないはず……。

 

「いいえ、顎鰐とリリィータートルそしてサンの魔力は回収されています」

「え……」

「あなたと混ざり合っている間に魔力を奪っていたみたいです」


 そのためにずっと私は妖狐にされていたわけか。


 だけどそれはあの子の力に頼りすぎた結果。


 私が未熟故にルミナに騙されているとも知らずにそんなことになっていたなんて思わなかった。


 ルミナで4体分の聖獣の力があるとして、確かもう一匹は向こうの手に渡っているらしいから合計で5体が向こうの手にある。

 

 後はナラクとクラン、アマノ……そしてまだ誰も見つけていない聖獣のみか。


「あれ?」

「気づきましたね?あなたが捕まればナラクとクランの力を得ることになるの」

「それは結構まずいですね……」

「なので出来ればこれ以上、魔王教団に関わらないようにして――」

「それは無理です!」


 私達は既に魔王教団と戦う事を決めている。

 

 あんな連中はずっと放置してもロクなことが無い、それに万が一人質を取られるものなら隠れていても意味がない。


 今回は助かったけど、もしアナがそんなことに使われていたらと思うとゾッとする。

 

 それにやっぱりルミナとはちゃんとお話がしたい。

 

 本当にあの子は私達を裏切ったのかあるいは何か事情があったのか……少なくとも私はあの子と過ごした日々が嘘だとは思えない。


 それを確認するまでは魔王教団に関わらないというのは無理だ。


「やはり、そういう選択肢をされるのですね」


 愛の女神様は分かっていたのか、苦笑いを浮かべていた。

 

「ダ、ダメでしょうか?」

「あなたの一生を耐えれば、あの邪神がこの世界の神になる事を防げますが……仕方がないですね」

「そういえばあの女神はどうして私を狙っているのですか?」

「あら?ご存じないのですか?確か、おそらく恋ですよ」

「はい……?」


 突然そんなことを言われてもピンとこないというか、どうしてそんな話になるんだろう。

 

 疑問に思っていてもその先の事は愛の女神でも分からないという。


 それではどうして恋だと確信を持って言えるのか。

 

 それはこれを伝えている目の前に居るのが愛の女神だから、恋愛なら何でもわかるという。


「あの邪神の愛が900年間も続いているのです」

「……さすがに重すぎますね……そこまでしてどうして私を?」

「さぁ?前世に何かしたんじゃないですか?タイヨウさんは何か知らないのですか?」


 タイヨウなら何か知っているかもしれない。

 

 そう考えた愛の女神様は問いかけるが、何も分からないという。


「だが1つ、もしかしたらってのがあるな」

「ほう?」

「最初のルークが書いた手記があるはず……まあどこにあるか分からないんだけど」

「それを探せばあるいは……」

「アイツを転生させた女神と最初は良く話していたらしいから何か接点、あるいは弱点でも知ってるかもな」

「できれば降臨させてほしくないのですが、万が一のためにそれも探してください」


 最初の私が書いた手記……それがあればあの女神とも戦えるかもしれない。

 

 もちろん復活させないのが一番良いんだけど、既に向こうには5体分の聖獣がある。


 復活する可能性を考えてそれを見つけるべきだ。

 

 本探しはこの国の人達に任せて、私達はどうしよう。


 悩んでいると愛の女神様が導いてくれる。

 

「それなら雪山へ向かってください。おそらくそこに最後の聖獣が居ますからね」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ