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第283話 最強の聖獣


 雷が落ちた衝撃破でアークトゥルスとクランが爆発して起きた黒い砂煙が散る。


 私とミツキは未だに身体が動かなくて退避もできないんだけど、その必要は無さそうだ。


 視界が開くとショナの持つ雷の剣が今までとは比べ物にならない程の輝きを放っているのが見えた。


 怪鳥に化けたアステリズムの脳天に雷を叩き落した。


 ドォォオオンッ!!


 と大きな音が響いた後に耳がキーンッとして一瞬だけ周りの音が一斉聞こえなくなる。

 

 これが真名を解放したショナの剣の力なのね!


「あの剣……まさか!!」

「ミツキ、ショナの剣を知っているの?」

「まあね。でも私が知っている奴なら……多分まだ全力じゃないわね」

「え……?」

「完全に真名を教えてもらっていない感じかしら、そういう子はアマノにもたくさん居るわ」


 あの威力の雷を落としてまだ余力があるというの……?


 もしかしてあの剣は私の炎帝刀アマテラスや神秘剣ツクヨミに並ぶ逸品なんじゃ……。

 

 真名が明かされた時が楽しみだけど、私がようやく剣士として強くなれたのにまたショナに離されてしまった。

 

 というかこれ以上先があるのなら剣士として勝てない気がするんだけど……。


 そんな剣を目の当たりにしたミツキは確信する。

 

「おわりね。あの剣をまともに食らって生きていられる生物は居ないでしょ」

「私もそう思うけど、なんか嫌な魔力を感じる」

「はぁ?逆張り?今時流行らないわよ!!私の考えを否定したいなら、適当な事を言わないでよ!」

「そういうわけじゃないんだけど……」


 ミツキはまだ後ろでガミガミ言っているのでとりあえず無視することにした。

 

 それにしてもこの感じに私は見に覚えがある……勝ちを確信したけど、予想外の事が起きる。

 

 これはアークトゥルスの時と同じ……?まさかあの時見たいな道連れをするつもりなんじゃ!!


 それに気づいてたところで、それを叫んで伝える程の体力も残っていない。

 

 雷はアステリズムに直撃して、香ばしい香りが漂う。


 怪鳥に化けたアステリズムが雷で焼かれたせいだろう。

 

 確かにあんな攻撃を食らったら生命の維持は難しい。ルミナ一体化した時の私でも死ぬだろう……だけど……。


 アステリズムの魔力が一時的に消えたのに再び心臓が動い出すかのように鼓動を始めてるを感じる。アステリズムの魔力に禍々しい嫌な魔力が流れて混ざり込んでいく。


 やばい!!

 早く知らせないといけないのに声が出ない!!


 3人は勝ったと油断しているはず、早く警告しないといけない。

 

 しかしそう思って3人の方を見てみると……一切油断している様子は無かった。

 

 むしろ倒してぐったりしているアステリズムから距離を取って警戒しているよだった。


 そしてその時――焦げて動くはずもないアステリズムの身体が徐々に動き始める。


「アレ……ワタシ……マダ……」


 まだアステリズムの自我が残っているのか言葉を発している。


「オマエラ……!!ゼッタイ 二 コロス!!」


 恐ろしい言葉を口にしているがその足と羽は一切動くことがない。

 

 そのことにアステリズムは違和感を感じているようで……。


「アレ ウゴカナイ……ウウゥ……」


 アステリズムは地面を這うようにして前進してしていく。

 

 しかしその速度は遅くて、全くと言っていいほど脅威にはならない。


 それどころかアークトゥルスの時とは違って苦しんでいるようにも見える。


「ニゲルナ コムスメ ドモ!!」

「逃げないよ……というかこれで終わらせるわ。雷鳴剣……」

「ウゥ……!!ヤメロ、クルナ!!タスケテ……ムーンサマ!!」


 哀れな叫び声をあげるが、ショナの雷を受けてさらに身体が朽ちて行く。

 

 ……アステリズムの声は届かなかった。


 かに思ったその時、掠れた声を全力で上げながら叫ぶ!!

 

「イヤ……トドイタ!!」

 

 アステリズムの身体が光り輝く。


 これはクランと似たような……やっぱり爆発の魔法!!


 私の予想は残念な事に当たってしまう。

 

 あの規模と同じ爆発なら少し離れている私達の所にも爆発が届いてしまう。

 

 さっきのは湖の水とクランが居てくれたから何とかなったんだけど、そんな壁になったり衝撃を緩和してくれるものは無い。


 私は頭を巡らせた。


 この状況からどうやって脱するのか、しかし、身体も動かず、魔力も無い。

 

 声だってほとんど出ない。


 もう無理だ……そう思った時、タイヨウのある言葉を思い出す。


『可愛い声で叫べ』


 大きな声は出ないし、助けなんて来てもこの状況だとその人も巻き添えになってしまう。

 

 けれどもうそれしかない!!


 私は近くに居るミツキにしか聞こえないであろう小さな声で、全力で叫ぶ!!!!


「助け……て!!」


 何も聞こえないであろう小さな声、ミツキも諦めて目を閉じてその時を待っている。

 

 3人は爆発を止めるために攻撃を加えようとしているが間に合わない。


 そしてアステリズムの身体の輝きが頂点に達した時だった!!


 空が急に真っ暗になった。


 強い光を放つアステリズムのせいではない、本当に空に何かいる。

 

 何者かが空を隠して影を作っていた。

 

 神様かと見間違えるほど、神々しく美しい……だけどその姿を見ると神様ではないのが分かる。


 その空に浮かんでいたものは……今までの聖獣を遥かに凌ぐ、超巨大なカラスだった!!

 

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