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第280話 残りの星


 高度な付与魔法インフェルノは炎を爆裂魔法へ変換できる。


 聖獣クランはドロドロに溶けたアークトゥルを受け止めた。

 

 溶岩のようにドロドロに溶けているせいで高温の身体になっている。


 どうやって生きているんだろう。


 私とミツキは炎や熱さへの耐性はあるけど、溶岩に埋もれてしまえば息が出来なくて窒息死する。

 

 しかも最悪な事に女神剣を使い過ぎてもう動けそうになった。


 クランが受け止めてくれなければどうなっていた事か……先ほども言った通り、アークトゥルスは溶岩のようにドロドロなので触れるだけで大やけどを負う。


 クランはそれを利用して身体にアークトゥルスの溶岩と化した物を纏う事で発火する。

 

 このままでは私達どころかクランまで死んでしまう。


 そこでクランは私がさっき使った魔法「インフェルノ」を火だるまと化した自信の身体に付与してしまった。

 

 炎に爆発属性を付与する魔法を自分に掛ける。

 

 それはつまり……自分を爆弾代わりにしてアークトゥルスを道連れにしようとしている!!

 

「何してるのクランッ!!!!」

「こいつはムーンの魔法に当てられて身体がその魔力に覆われている……これはオデが爆破させる!!」

「そんな……どうして……!!」

「聖獣は死んでもルーク様に力を渡せる……後は頼んだ!!」


 クランはそう言うとドロドロに溶けたアークトゥルスと一緒に湖の中へ飛び込んだ!!


 ドカーンッ!!


 と大きな爆発音が響いた後に耳がキィィーンッと一瞬音が聞こえなくなる。


 湖の水は爆発で干上がってしまい、底が丸見えになる。


 しかしそこにクランとアークトゥルスの姿は無かった。


 本当に消滅してしまった……。


 私達を守るためにクランは自爆してしまった。

 

 あんなに私の事を認めないと言っていたのに、それに最初は全然強そうに見えないとか……失礼な事を思っていた。


 なのに私達でも砕けなかったアークトゥルスの身体を跡形も無く消し去った。

 

「全部跡形も無く爆発した……?聖獣様の魔力は想像以上だった……」

「ミツキ、大丈夫?」

「アンタに心配される筋合いは無いわ。魔力切れで動けないけど、この程度の熱なら余裕だし!」

「そう」


 クランのおかげで私もミツキも無事に済んだ。

 

 フーリアは熱にやられて、遠くに離れているけど無事みたい。


 私もミツキもこれ以上動けそうにない。


 早く終わらせてショナ達の手伝いに行きたかったんだけど、予想以上に力を使い過ぎてもうヘトヘトで動けない。

 

 爆炎で黒い煙が舞っているせいでフーリアがどこに居るか分からない。

 

「フーリア!聞こえるー?」

「ええ!生きてるんでしょうね?」

「私もミツキも無事だよー!」

「そこの女はどうでもいいけど、ルークが無事で良かったわ」


 その言葉を聞いて納得が行かないのか、ミツキは私の事を睨みつけてくる。


 その言葉を放ったのはフーリアなんだけどなぁ。


 理不尽な所もフーリアに似ているんだからこの子は……。


「何笑ってんのよきもっ」

「っ……それより、ミツキはもう動けない?」

「見ての通りよ分かるでしょ?」


 そんな当たり前のように言われてしまうけど、一応確認は必要だと思った。

 

 フーリアみたいな性格だから、ここで動けないと決めつけると無理でも立ち上がってショナ達の助けに行きそうだったからね。


 私も今は無理だ。


「こっちは大丈夫だから、ショナを助けてあげてー!!」

「はぁ!?大丈夫なんでしょ?」

「魔力使い過ぎて動けないから、お願い!!」

「お願い……?後で何か見返りでもくれるのよね?」

「え……まあ私にできる事なら何でも……」

「言ったわね!?よし、あの魔導騎士(エーテルナイト)の女……ぶっ倒してやる!!」

「えぇ……」


 なんで急にやる気になったのか分からないけど、とりあえず任せる事にしよう。

 

 後でとんでもない事を要求されないと良いんだけど、そんな不安を抱きながら私は魔力を回復させるために目を閉じる。


 この辺りはクランの爆発によって高温に包まれている。

 

 並大抵の生物では近づけないので少しの間なら眠っていても大丈夫だろう。


 そう思って目を閉じた時、クランの声が頭の中で響く。


「オデ、消滅したんじゃなくてルーク様に流れただけだぞ?」

「……そう」


 急に私達を庇って死んだと思っていたクランの声が頭の中で響いて軽いパニックになった。

 

 でも声を上げる体力も無いので、ミツキは何も不審に思っていない。


「ルーク様!オデの神様に会ってケロ!」

「いや……まずは魔力を回復させてからでいい?」

「あい!だけど、回復には時間が掛かるぞ?あの子達は大丈夫なのか?」

「大丈夫よ」

「え?」

「私がずっと一緒に居たいと思った子達だもん。その力は良く知ってる」

「……分かった。それじゃあオデの魔法も使えるようにしておく」


 使えるようにと言われてもさっき使ったんだけど……。


 そう思ってクランから魔法を受け取る。


 その魔法の概要は爆発属性の付与だけでなく、上手く使えば炎以外のモノに爆破を付与できることが分かった。


 炎、水、風、土、氷、聖、闇……それらの属性意外のモノを付与する特殊な魔法見たい。


「白百合の盾」の時もそうだけど、見ただけで使うのと力を受け取って使うのとでは違うのかもしれない。

 

 これでようやく私は5つ目の固有魔法を手に入れた……残り4つ、それを手に入れるにはまず目の前の敵を皆に任せないといけない。

 

 どうか皆が無事にアステリズムを倒せますように……。

 

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