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第272話 眷属


 聖獣に認めてもらうために何か方法は無いのかとタイヨウに再び謁見の機会を貰う。

 

 快く承諾してくれたんだけど、忙しいという事で今日はもう無理らしい。

 

 なので明日まで時間を潰すためにアマノの国を見て周る事にした。

 

 魔法が電気の代わりになっていて、街の街灯はずっとつけっぱなしにもできるという。

 

 半永久的なエネルギーである魔力は魔導士なら誰でも操ることができるが魔導士が魔力供給をする必要がある。

 

 アマノは広いけど、それでも1人の魔導士で街中の街灯は全て賄えるという。


「ねえねえミツキちゃん!そんな大魔導士ばかりいるの?」

「ううん、実は仲良くなったショナちゃんにだけ教えるけど、少ない魔力を増やす魔法道具を使っているのよっ!」

「魔力を増やす!?それがあれば誰でもこの街の魔力を補えるの?すごーい!!」

「ふふ、ショナさんあなたは分かっていますね。あの女狐とは大違い」


 意外にもショナとミツキは仲良くなっていた。

 

 炎帝剣を使って少しだけ意識を失っている間に意気投合したみたい。


 できればその子とは仲良くしてほしくないんだけど……。

 

 それにしてもやっぱり街の中は現代風でビルこそないものの、家などはコンクリートの頑丈なものばかり。

 

 この世界から見た異世界の空間がそこには広がっている。

 

 フーリア達は初めて見るそれに子供のようにはしゃいでいた。


 ただやっぱり街の外は信号機のない道路になっていて、遠くには魔物が何匹も居るのが見える。

 

 それでも遠くの魔物達が襲ってこないのはこの街には大魔導士や剣豪が多いからだろう。


 魔導騎士(エーテルナイト)は転生者かその子孫であり、その中の転生者は別格に強くてそういう人達が多く居るからこそ魔物も近づかないんだろう。


「ちなみに魔物はルエリアやハーベストに居る者とは比べ物にならない程強いわよ!」

「どうして……?」

「北の山脈が近いからだったかな?タイヨウ様の話では雪山にはアマノの初代王である焔王の宝剣が眠っていてそれを守護する巨大狼と聖獣がいるのよ」


 北の山脈に居る宝剣を守護する巨大狼……。


 多分私達を助けてくれたナラクだよね。

 

 宝剣ということはやっぱりこの炎帝剣がそうなのだろうか。


 そういえばあの狼は今何をしているのかな。守護する宝剣が炎帝剣ならもう守るものは何もない。

 

 自由のはずだからどこかを走り回っているのか、はたまた魔王教団と戦っているのか。それとも別の目的があるのか。


 もっとたくさん話を聞きたかったんだけど、何も教えてくれなかったんだよね。

 

 私が過去を知る事をまるで怖がっているような感じだった。


 怖いけど気になる……次会った時は無理やりにでも聞いてやる。


 この日は現代風の街を楽しみながら、出てくる料理もこの世界ではレベルが高すぎて良く分からなかった。

 

 前世の記憶があるので物凄くこれが美味しいのは分かる。


 ただルーク=バレンタインの舌には合わない。

 

 それでも沢山食べていれば慣れて前世の時の様にジャンクフードが好きになってしまうかもしれないけど。


 ちなみに比較的、大食いのショナとユウリは美味しそうに食べていた。


 私の中で聖獣に断られたのに案外楽しい午後を過ごした。

 

 宿は一番良い所に泊めてもらう事になっていたのでありがたくそこで夜を明かす。


 朝になると私は早速タイヨウの下へ向かう。

 

 朝早くなら時間があるという事でこの時間を逃すとまた明日まで待たないといけない。


 人が多くても話がごちゃごちゃになるので私を含めた3人でタイヨウの部屋へ向かうわけなんだけど、残りの二人はサツキとフーリアが立候補した。


 本当はルーフェが付いて来てくれる予定だったんだけど、2人の強い押しに負けて今回は引いてしまった。

 

 できればルーフェが居てくれた方が説明とか説得とかしてくれるだろうし居て欲しかったんだけど……。


 フーリアは一緒に付いてきたサツキを睨みつけていた。

 

「どうしてストーカーまでいるのよ!」

「もうストーカーじゃない!というかストーカーじゃない!!」

「2人とも、これから王様に会うんだから静かにしてよ……」


 こっちは王様との話し合いで緊張しているというのに……。

 

 2人はいつも通り喧嘩をしていて、でも逆にその光景を見て安心する。

 

 そしてついにタイヨウの準備が出来たみたいで部屋に入らせてもらった。


 寝起きなのか頭をポリポリと掻いてあくびまでしている。

 

 私はそんなタイヨウに昨日あったことを伝えた。


 すると眠そうなその顔は何故か笑顔に変わる。


「アハハハハッ!お前、聖獣に見捨てられたのかよ~!!」

「……」

「おっとすまない……。魔力が俺の知るルークだからこそ、昔の様に接してしまう」

「はぁ……」


 この世界の前世の記憶は0なのでそんなことを言われても知らない……。

 

 どうすれば私は強くなれるのか、この炎帝剣にどうやって認めてもらえるのか聞いてみる。


 するとタイヨウの表情が強張った。


「まあ楽に力は得られないよな。だが心当たりがある……ちょうどあの方も帰ってくるし、聞いてみるか?」

「あの方……?」


 アマノという大国の王様があの方と慕う人物は一体誰なのか。

 

 そんなことを考えて居たその時、タイヨウの部屋の窓から目も開けられない程の暴風が入ってきた。


 バサバサとまるで鳥が羽ばたく音が聞こえる。


 敵襲!?


 そう思って構えていた次の瞬間、タイヨウは私達に座るように指示してきた。


「これはあの方の眷属……一体何が……」

 

 ……それは漆黒の神秘的なカラスでくちばしに手紙を咥えていた。

 

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