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第266話 聖獣を求める意味

 

 聖獣の話をタイヨウから聞くことができた。

 

 しかし、状況はあまりいいものではなくて残り2匹は既に魔王教団が保有しているらしい。

 

「それってルークを取られたら終わりってことですか?」

「まあな。だが、逆にこっちが聖獣を手に入れたら、俺を転生させた女神を召喚できる」

 

 聖獣が居ればこの世界に女神が光臨できるからそれを使って悪い女神を召喚しようとしているのなら、逆に良い女神を召喚もできる。


 今まで考えたことが無かったけど、私が話していた神様達を召喚すれば、世界の魔力がいずれ無くなるという話の解決にもなるんじゃないかな。


 ナラクに貰った固有魔法は魂を砕いたり干渉する魔法でこれを応用してあの薬は作られていると言っていた。

 

 今わかっているのは不死鳥の「治癒の炎」顎鰐の「身体強化」リリィータートルの「白百合の盾」サンの魔法はまだ使ったことが無いけど命を消費する危ない魔法。

 

 そしてナラクの魂干渉魔法。


 そのどれもが他の魔法を寄せ付けないほどに強力であり、他にもまだ5つある。

 

 確かにそこまで魔法を手に入れられればなんでもできそうね。


 魂干渉と治癒と身体強化で人を蘇生できる気がする。

 

 絶対にやらないけど、それだけの力を今の私は秘めているってことは……。


「つーことでお前はマジで敵に渡るなよ?」

「……そうなりますよね……善処します」

「善処じゃなくて絶対な!ほんとに世界終わるからな?」

「はい……」


 これでも前世の記憶をほとんど失っているので、ただのか弱い少女なんだけど……凄い重荷をこの小さな背中に背負わされている気がする。

 

「これからアマノの守護聖獣に会わせるが時間はあるな?」

「あります」

「敬語なのはキモイが、まあ記憶ないもんなぁ~。まあ毎度のことか……」


 何だ嵩みそうな表情を浮かべながらそんなことを呟いていた。


 前世の記憶のない親友との再会……。それを何度も繰り返しているタイヨウの精神力は異常だろう。


 それでもタイヨウは一瞬寂しそうな表情をしていたものの、すぐに元に戻った。

 

「あー確か冒険者チームスイレンだったな……のリーダーショナちゃん」


 タイヨウはこのチームのリーダーであるショナに確認を取る。

 

 王様の命令なので逆らえるはずもないんだけど、ショナは凄く緊張している様子だ。


 後ショナは権力者が苦手だ。過去に酷い事をされてその傷がまだ完全には癒えていない。


 そのため、いつも元気なのに尻込みしていた。


 するとそこへ以外にもフーリアが肩を押す。


「変なおじさんが言ってたでしょ、ショナはいつも通りでいいよ」

「フーリア……」

「何かあれば私達が居るし、まあ何とかなるんじゃない?」

「う、うん……そうだよね!!!!」


 そんなフーリアの言葉でいつものショナに戻った。

 

 まさかあのフーリアに激励を貰えるなんて……正直ショナが凄く羨ましい。


 ショナはいつも通りの元気な返事をタイヨウへ返した。

 

 その一方できっちりと自分の意見も伝える。


「でも私達も一緒でお願いします!」

「聖獣は今や国……いや世界の財産なんだがな」

「私達からしたらルークの方が……なにものにも変えられない財産です」

「……ほぅ」

 

 急に何とも恥ずかしい事を言われてちょっとドキドキしてしまった。

 

 一番背が小さくて小柄なのにとっても頼もしく見える。


 心も女の子ならこれで惚れていた可能性すらあるくらい今のショナはかっこよかった。


「あはははっ!今度も良い仲間を連れて来たなルークよ」

「え……まあ正直何よりも大切な仲間達です」

「それは俺もそうだったんだぜ?まあ今のお前と俺が一緒に旅したルークは同じだが違うもんな」


 タイヨウはまたどこか寂し気な表情でこちらを見つめてくる。

 

 それは女性に対しての視線ではなく、まるで死んだ戦友が目の前に現れたかのような儚い複雑な表情。

 

 口調からして何回もこんな経験があったんだろう。


 涙の感動の再会にならない事を分かっているみたいな。

 

 凄く悲しい人だ。


 もしかしたらこの人に対して私はフーリア達のような感情を持っていたのかもしれないね。


「それでは仲間と共に聖獣に会いに行けルーク」

「分かりました……けど、どこへ向かえば……」

「ここ首都近くに巨大な湖があってその中央に大きな山があるから……」

「そこへ行けばいいんですね」

「あ、ああ……後もう一匹は出計らっているから帰ってきたら会わせよう。お前の事を心配していたぞ」

「と言われても忘れているので……」

「全く寂しい事を言うよな……そいつはお前と最初の旅をしたパートナーだったのに」


 そんなことを言われても忘れているのだから仕方ない。

 

 ひとまず私達は一匹の聖獣に会うため、首都を出て近くにある湖へ向かう。

 

 タイヨウもまだ話したいことがあったみたいだけど、忙しい合間を縫って時間を作ってくれたのでまた余裕のある時に呼ぶと言われた。


 私の性別は女でまだ16の年端もいかないんだけど……向こうもそんな風に見ていないんだろう。

 

 記憶には無いけど、ずっと会えなくて寂しかっただろうし、その時は過去のルークの話を聞くことにしよう。


 城を出るとここまで案内してくれたおじいさんもそれに合わせて私達から離れていく。

 

 どうやらまた戦場に戻るみたい……。


「それではルーク様、頑張っての力を取り戻してください」

「戦場へ向かわれるんですね……気を付けてください」

「当然です。あなたに救われた命なのだから」

「え……それはどういう……」

「それでは!いずれいい年齢になったら孫を紹介しますねー!」

「それは要らない……」


 愉快なおじさんはまた戦場へと駆けて行った。

 

 なんというか本当に不思議で面白いおじさんだったわね。

 

 しかしおじさんが去ってすぐ後に背後から足音が近づいてくるのが分かって振り返る。


「あなた達は……」


 そこに居たのはミツキとルイだった。

 

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