表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
258/380

第259話 告白


 ルエリアからハーベストへ、そこからさらに国を跨いでアマノへ……3つの国を渡り遂に来た!!

 

 サツキ曰く、アマノは日本のような国みたいで私が元居た時代よりは技術が衰えているらしいけど、転生者の知恵を使って文明の水準は上がっているという。

 

 しかしサツキもあまり詳しくは知らないみたい。


 日本から転生して16年、生まれこそアマノだったんだけど、革新派の魔導騎士(エーテルナイト)を止めるために早くから腕を磨いていた。

 

 そしてその腕を買われてマツバと共にサジタリオンの先導でルエリアへやってきた。


 私は引きこもっていたので知らなかったんだけど、子供の頃からずっとルエリアに拠点を置いていたみたい。


 理由はサジタリオンの叔父であり暗殺された校長先生の手伝いをしていたという。ルエリアで暴走していた革新派を灘めたりしていたみたい。

 

 だから私たちの世代ではあまり魔導騎士(エーテルナイト)が目立たなかった。

 

 サツキの話だと最初の頃は革新派が大暴していたみたいなんだけど、他の保守派の手伝いもあり、何とか少し前のような状況を作り出したという。


「しかし今思うと俺たちに恐れて身を潜めたと言うよりは魔王教団と結託して準備を整えていたということなんだろう」

「サジタリオンも裏切ったからね……」

「あの人はそんなんじゃない……!!」

「――っ!ごめん、サツキ」

「あ、いやすまないルーク……あの人のことは尊敬していたんだ、だけどそんなことで怒鳴って八つ当たりみたいだよな。俺は最低だ」

「そんなことは……私こそ裏切り者とか言っちゃったし……私もあの人の優しさは嘘じゃないと思う」

「サジタリオン……は転生者じゃないから、薬を飲まされていたかもしれないし」

「そ、そうだね」


 今まで私達に良くしてくれたサジタリオンが完全に悪い人だとは思えない。

 

 人格が変わる薬を飲んでいる可能性が高い……そんな淡い期待を持つ。


 しかし一方で元から魔導騎士(エーテルナイト)の人が魔導騎士(エーテルナイト)になるための薬を飲む必要が無い。

 

 そんな考えもまた頭を巡ってしまう。


 サツキとそんな話をしていた時、黙って聞いていたショナが口を出す。


「2人の話を聞いてて気になったんだけど、転生者ってなに?」

「え……あっ!?」


 この子達にその辺のことを何も教えていないことを思い出す。すっかり失念していた……。

 

 ここで私が転生者だと知って、みんなはどんな気持ちになるだろうか。


 サツキとおそらくマツバとルーフェは転生者の子だからおそらく気にしない。

 

 問題はやっぱりスイレンの三人だ。


 私が転生者で実は前は男だったとか聞いて軽蔑されたりするだろうか。

 

 下手したら二度と話を聞いてくれなくなるんじゃ……。


 そんな不安を抱えているとサツキが背中を押してくれる。


「これは俺の主観だし、確証は無いが大丈夫だろ」

「他人事だと思って……」

「そうでもない、みんなを見ていればそう考えるのも必然だと思うぞ」


 元々は女の子だというサツキ。

 

 その元女の勘みたいなものがここで発揮してくれているのだろうか……しかしずっと隠すのは正直辛かったのも事実。


 だってこの子達……私にくっついてくるし、お風呂だって覗いてくる。

 

 裸だって何度も見てしまい、罪悪感がずっとあった。

 

 ここでネタばらしをするのは残酷かもしれないけど、ずっと隠しておくのは今後のことを考えて可哀想だ。


 話をスムーズにする必要もあるので私はこのタイミングしかないと判断し全てを話した。

 

 私は今まで隠していた前世というワードを用いて知っている限り全てを話す。


 それを聞いたショナとユウリは驚いて口を開けて、フーリアは阿鼻叫喚していた。


「はああああああああああああああ!?ルーク男だったの!?」

「転生前は!今は違うのと、あんまり前世のこと思い出せないんだよね」


 記憶に関しては前に神様に会った時かな。


 私が何度もこの世界で転生しているのを聞いたのでそのせいでごちゃごちゃになっているという。

 

 転生はあっても記憶の維持は本来できないのにそれを900年も続けていたのでそりゃおかしい事になるよね。


「ご、ごめん……今まで隠してて」


 申し訳ない気持ちでいっぱいになり、深く頭を下げた。

 

 これが今できる私の精一杯の謝罪。


 少しの間だけ沈黙の時間が流れるとそれをショナが破る。


「まあ……あんまり気にしてないかな」

「……そうなの?」

「む、胸を押し当ててたのを思い出すと少し恥ずかしいけど、ルークがそういうことするの見た事なかったし。そういう目で見てないのは今までの行動で分かるよ」

「ショナ……!!」


 女の子に転生してそれを故意に悪用しなくて良かった!!

 

 合法だからって胸を揉んだり、変なことしなかったおかげで嫌われることはなくなった。


 何度がドキドキしたことはあったけど我慢して良かった。

 

 ユウリに関しては最初驚いていたものの過去の出来事を思い出して、あまり関係ないという結論に至ったみたい。

 

 というか案外どうでも良さそうだ。


 一番気になるのはフーリア。


 怒っているかと思ったら何やら考え事をしているみたい。

 

 黙っていたから罰とか言われるのかな。それとも最悪絶交とか……?


 フーリアの回答に不安を感じながら待っていると一人ぶつぶつと呟き始める。


「男……?それなら、付きあ……いやでも体は女の子……いやそれはそれであり……」


 なんだか不穏なことを考えているみたいだけど、あまり嫌がっている様子は無い。

 

 そこへ黙って話を聞いていたルーフェが遂に口を開いた。


「元男だろうが、関係ないよルークちゃんには女の子らしいそれが付いてるんだから!!逆にこれで女の子の良さを教えられるチャンスが!!」

「ルーフェ先生は黙ってください」

「ボクにだけ厳しいね?!」


 それからは今までに知った話の情報を今回のもの照らし合わせて伝えた。

 

 転生者、その言葉を使うだけで話はスムーズに進み昨日のサツキと一緒に神様と話した内容も伝える。


 意外なことにずっと不安で心配していたことをみんなに打ち明けたことでどこか今まで以上に打ち解けた気がした。


 本心やあまり言えないことでも気になっているのなら信じて伝えることも大事ということが分かる良い期待だったのかもね。

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ