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第257話 平穏な旅路


 神様との対話を終えて真っ暗な夜の平原で目を覚ます。

 

 魔法を使い魂に触れる事で聖獣の力を蘇らせたわけだけど、それによって取り込んだ聖獣の神様に私の過去やこの世界で悪い女神が何をしようとしているのか……狙いは私という事を教えられた。


 後80年は魔王教団に関わるなと言われたけれど……。


「そんなこと知った事じゃないよね」

「既に奴らはこの世界を荒らしている……俺達はもうこの世界の住人だ。絶対に魔王教団を倒すさ!!」


 サツキの意思もまた私と同じ、もう仲間を巻き込みたくないとか手を借りないとかそんな考えは持たない。

 

 この世界の危機なら全員で戦う……それも私達だけじゃない。使える戦力は全て投下して、魔王教団を倒す!!


 そのためにはハーベストだけじゃなくて本当に全ての戦力が必要になる。


「アマノへ行こう!!」

「戦力を増やす……か。それには確かにアマノを味方に付けるべきだが……そううまくいくかどうか、サジタリオン様……いやサジタリオンのこともあるからな」


 私とサツキはそんな話合いをしながら、帰路に付く。

 

 ユウリとマツバは魔法を感知できるので少し遠く離れた場所で魂に触れる魔法を使った。

 

 明日皆と相談することを決めてそれぞれ睡眠を取るために別々の部屋へ戻る。

 

 サツキ達の意向で泊まるのは女子がショナの家で男子はギルドで身体を休めるという。


 ギルドは24時間使えて、受付の人も変わったりしているらしい……夜のギルドというまた違った顔があるとか。

 

 果たしてそんな所で眠れるのだろうか。

 

 多分ギルドのテーブルに蹲って寝るんだろうけど、一緒に寝るのは嫌みたいだから仕方ない。


 サツキには一緒に寝る?と聞いたら顔を赤くしてやめておく言われた。


 別に傷ついていないけど、なんかモヤモヤする。

 

 そんなことを考えながらも眠りに付いた。


 翌朝、目が覚めてすぐにギルドへ向かい、昨日の夜に考えて居た事を皆に話す。

 

 変な疑いは持たれたくないので前の世界の事だけは隠した。


「アマノ……協力してくれるかなぁ?」


 ショナは小さくそう呟いた。


 周りには聞こえない程小さな声だったんだけど、それを聞いていたのかギルドマスタージャスミンと副ギルドマスターリリィが私達に近づいてくる。

 

 どうやら先程の話を盗み聞きしていたみたい。


「アマノへ協力を申し出るのなら、手を貸すぞ」

「本当ですかマスタージャスミンさん!?」

「ふむ、その代わりと言ってはなんだけど」

「私達にできる事でしたら何なりと」


 ショナは何も気にせずあっさりとそう応えるが、あまり難しいお題を与えられても困るが……仕方がない。

 

 魔物退治だろうが、害獣駆除だろうがなんでもやってやる!!


 そんなことを考えて居るとジャスミンの目線はサツキとマツバへ向く。


「昨日の夜は……良かったぞ」

「……」

「だからまた頼……」

「待ってくれルーク!話を聞いてほしい!!!!」


 えっと……なにかあったのかなぁ……?

 

 サツキはジャスミンが言い終える前に私に対して訂正するようにそんなことを言う。

 

 さてさて……どうしてそんなことを言いだすのかと疑問視しているとその解答をジャスミンから告げられる。


「そんな怖い顔するんだなルーク……」


 どうやら怖い顔をしていたみたい。

 

 自分では分からないので何とも言えないんだけど、うん……それを聞いて嫌悪を感じた事は否定しない。

 

 というか何、昨日一体ここで何があったの!?


 夜のギルドは昼とは違う顔を見せるという。まさか……そういうこと……?


「夢を見せられただけだ!!」

「夢のような時間だったのね……」

「違うってばッ!!夢そのものを見せられたの!!」

「どういう意味?」


 話によるとジャスミンはサキュバスで人の夢に潜り込んで……ちょっとアレなモノを見せるという。

 

 アレとはジャスミンが淫魔のサキュバスなので察して欲しい所なんだけど……。

 

 そう言う夢を見せる事で男性を興奮させて、その精気を奪う。


 奪い過ぎなければ害は無くて、むしろ健康にいいとか。

 

 確かにサツキとマツバの顔色はとっても良くなっていた……まるで溜まっていた何かを放出したような……。


「安心しろ。まだ身体に手は出していない」

「出さないでくださいマスタージャスミン……後二度とやめてください」

「別に良いがそれならお前が満足させて上げるんだな」

「なっ……!?」

「それが守れるのならタダでお前達のお願いを聞こう」

「……それは保証できませんが、タダでお願いします」

「まだまだ子供だな……からかうのはこれくらいでいいか。手紙を書くからそれをダリアの街の花園のギルドマスターに渡せ」

「ギルドマスターが仲介役を担ってくれるんですか?」

「この国ではギルドは王宮と同等に近い力を持っているのは知っているだろう?ギルドマスターは皇帝とも仲良しだからな」


 このハーベストでは何故か王室と同じ力を持っているギルドという団体。

 

 それでも国同士の仲介までできるなんて知らなかった。

 

 後はアマノが手伝ってくれるかどうか。

 

 魔王教団を相手に戦力を貸してほしい……多分それだけじゃ無理だよね。何か献上でもして取り付くしかない。

 

 けれど、アマノは魔導騎士(エーテルナイト)の国。


 ルエリアでは神と恐れられているから多分、お金とかも大分渡している。

 

 強い人たちに敵対せず、力を借りるには簡単な方法だからね。多分私達が献上できるものではアマノの王を納得させられない。

 

 どうしようか考えているとそこでマツバが提案する。


「それなら、アマノを襲っている魔王教団を叩くのはどうだ?」

「確か今内乱中なんだっけ」

「それの加勢をして恩を売り、手を貸してもらうとか!」


 その意見を聞いてこの場にいた全員が頷く。

 

 というかもうその手しかない。

 

 話を聞いていたジャスミンはさっそく手紙を書いてくれて、ジャスミンの花のハンコを押してくれた。


 これがあればダリアのギルドマスターも話を聞いてくれるはずだ。


「よしじゃあ……またダリアへ行こうか!!」

「……それはいいだがルーク」

「どうしたのサツキ?反対とか?」

「いや……ダリアへどうやって戻るんだよ」

「あ……」


 サジタリオンの便利な馬の魔法は無いわけだし、王都は結構遠い。

 

 私たちはジャスミンに馬と馬車を借り、1週間かけてダリアへ移動するのだった……。


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