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第254話 死星との決闘


 聖獣の力を使ったマレフィックの最大限の一撃を放たれてしまいもう駄目だと思ったその時――マレフィックの放った渾身の一撃はどこからともなく現れた謎の巨大狼によって防がれる。

 

 その狼は4階立ての家に相当するサイズであり、それを見て私は確信した。


 この狼は聖獣だと……!!


 ルミナ、顎鰐、リリィータートル、サン……そしてようやく5匹目の聖獣!!


 しかも話に聞いていた狼。生まれた時の私をバレンタインへ持って行くように父上達に託した聖獣だ。

 

 おそらく私の出生を知る唯一の存在……。

 

 ようやく会えたこの聖獣にはたくさん聞きたいことがある!!

 

「ルークよ……今のうちに顎鰐に触れよ」

「あ、あなたは……?」

「良いから早くせんかッ!!」

「はいぃ……!?」


 ……驚きつつも言われた通り顎鰐に近づく、と言っても鰐の身体の部分しか無くて、さらに放置されていたのか腐っていてグロい……。

 

 触りたくないけど、触れとこんな大きな狼に指示されて逆らえる人は居ない……仕方なくワニの身体に触ろうとする。

 

 当然それの邪魔をマレフィックがしてくるけど、狼の聖獣が阻止する。

 

 巨大な身体なのに誰よりも何もよりも速いその足でマレフィックの邪魔をしている。


 そして私が顎鰐に触れるとその身体は私の中へ流れてくる。


 リリィータートルの時と同じだ。

 

 というか……今更ながら私の中に入ってきた聖獣の力は今の所全て、私の中にあるみたい。

 

 ルミナに取られているけど、魔法は使える。

 

 でもルミナと違って身体を頑丈にしてくれたり、獣のような鋭い嗅覚を手にするわけじゃない。

 

 聖獣を取り入れて何を得たのか……それは固有魔法!!


 今回、顎鰐を取り入れた事で新たな魔法を手に入れた。


「強化魔法……アギト!!」


 仲間全員の魔法、剣を強化する特殊な魔法を使う。必要ないかもしれないけどついでに狼もね。


「……お前、我にもその力を……?」

「助けてくれたのなら仲間ってことだよね?」

「この聖獣に力を与えるとは……良いだろう。あの小僧を倒すぞ我が主よ」

 

 リリィータートルやサンはすぐに強力してくれなかった事を考えるとこの狼は物分かりが良い。

 

 サンと言えば、あの子の固有魔法も手に入れたんだけど、なかなか使用には勇気のいる魔法みたいで万が一の切り札として置いておくべきだろう。


「狼さんはサジタリオンをお願い!」

「6人でマレフィックをやるつもりか……良いだろう」


 聖獣はその提案に素直に乗ってくれた。


「ちっなんだ急に……この狼は……。しかし、6対1……その程度の数で俺が不利だと思うなよッ!!」


 邪神剣を掲げると漆黒の魔力が青い空を黒く染め始める。

 

 夜を作り出した……!?


「闇は俺のテリトリーだ……!!」


 次の瞬間、マレフィックの姿が見えなくなった。

 

 先ほども異空間を呼び出す魔法を使っていた……これはその空間の中かもしれない。

 

 同じく暗すぎて味方がどうなっているのかも見えなくて、暗がりの中で叫び声が聞こえる。


「ぐあああああああっ!?」

「うあっ!?」


 マツバとショナの声。

 

 地面を蹴る音と剣を振る音だけが聞こえる。

 

 全く姿が見えない状況……空を照らすには膨大な魔力を使う。

 

 今からそれをして視界を開けるか……?


 いや、顎鰐の魔法を初めて使ってまだ慣れていない。

 

 魔法の同時発動をするにはあまり難しい魔法を使うべきじゃない。


 そんなことを考えて居ると――


「もうっ!鬱陶しいなぁ!!」


 ショナが攻撃を受けながらもそんなことを叫ぶと空に雷が落ちる。

 

 地面から空へ伸びる雷の一瞬の光でマレフィックの姿が見えた!!


「女神剣……抜刀っ!!」


 炎の輝きでさらに夜を照らし、マレフィックを捉えた。

 

 胴体を狙った抜刀で手ごたえがあったんだけど、一瞬だけ漆黒の剣でガードして致命傷を避けられた。


 それでも脇腹から深く傷を負って血が噴き出している。

 

 しかし倒せていない……この抜刀で決めるつもりだったので大振りになってしまい、そこへマレフィックが漆黒の剣を振り下ろしてくる。

 

 だけどそれはもちろん予想していた。


 この攻撃を耐えられるか避けられた時、その先は仲間に頼る!!


「行くぞユウリ!」

「やるんだね……マツバ……!」

「魔法融合……」


「「ユグドラシル!!」」

 

 ユウリとマツバの魔法融合でマレフィックの足元だけに凄まじい揺れを起こし、そこから植物がニョロニョロと出てくる。

 

 触手の様にマレフィックの身体に絡みつくがそれを全て斬り伏せる。

 

 触手から解放されたときにはマレフィックは空中に身体を放り出された。


「しまった!貴様らの狙いは………………!!」

 

 そこへ私とフーリアとショナとサツキで同時に斬りかかる!!


「神秘剣一風(ひとかぜ)!!」

「聖剣ライコウ!!」

「水神刀海割り!!」


 三人の攻撃に私も続く。

 

「女神剣焔薙(ほむらぎ)り白の型ッ!!」


 それぞれが最高の剣術を放ち、マレフィックを斬り伏せた。


「ぐああああああああああああああああああっ!?」


 マレフィックの断末魔が暗がりの空に響き渡る。

 

 すると次の瞬間、暗がりの空は晴れて青い大空が顔を出す。


 その空を見上げると次の瞬間、皆の顔をじっくり見るために視線を落とす。

 

 そこには疲れ果てて息を切らしている仲間達の笑顔が映っていた。


 私達は魔王教団の幹部の1人を倒した!!


 強敵だと思っていたマレフィックを相手に誰一人欠けることなく、俊足の一刀で勝利する。


「俺が負けただと……?」


 そんな状況に納得いっていないのかマレフィックは地面に仰向けになりながらそんなことを呟く。

 

 正直まだ生きているだけで恐ろしいほどの耐久力を持っているけれど、もう身体は動かないみたい。

 

 私の不意打ちで脇腹を斬られて最後の一斉攻撃で倒れた。


 これで動ける方が可笑しいからね。

 

「色々と聞きたいことがあるの。サジタリオンも狼さんに捕らえられてるし、話してもらうよっ!」

「……まさかこの俺が負けるとはな」

「何その清々しい顔……怖いんですけど」

「クックック……俺は嬉しいんだよ。ようやくムーン様の下へ還れることが」

「え……って貴方一体何を!?」


 マレフィックは最後の力を振り絞って漆黒の剣を手に取り、それを自分の心臓に刺した。

 

 私達は命を取ることまでは考えていなかった。


 魔法封じの鎖で拘束して漆黒の剣を没収すればいいだけだったから……。


 すると漆黒の剣はマレフィックの身体を飲み込み、青い空に放たれる。


 そしてその剣はルエリアの方へ飛んで行ってしまった……。


「むっ……サジタリオンはどこへ行った……?」


 その剣の行方が気になってサジタリオンから視線を外していた隙に彼はどこかへ逃げてしまったみたい。

 

 分かっていたけど、まだ倒したのか幹部の1人……まだ敵は残っている。

 

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