表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
245/380

第246話 これからのこと

 

「どうしたの改まって……というか人間に戻ったんだ!よかったぁ~!」

「残念ながらあんまりよくないかな」

「そういえばルミナがいないね?」


 ショナが気になることを直球で聞いてくるので話の進みが早くて助かる。

 

 山での出来事を私の知っている範囲で話す。ルミナを失った悲しみは意外にもチームスイレン内で肥大化していく。

 

 特にショナは絶望の表情を浮かべていた。


「そんな……スイレン唯一の癒しだったのに……」

「そんなに私たち酷い……?てかあれ?ユウリのお腹は?」

「……スイレンの二大癒しだったのに!!」


 ユウリは魔法を使い過ぎていたのか痩せて細身の美しい身体になっていた。

 

 二大癒しってもしかしてルミナとユウリのお腹の事だろうか……。確かにもうルミナはここに居ない。


 だけど取り返す……あの力に頼るんじゃなくて純粋に私はルミナが大切だから……どんなに酷いことを言われても否定されてもあの子が本心でそれを望んでいない限り私は諦めない。

 

 ルミナを失ったことで力に余裕が無くなったのに何故か自分の心は晴れやかだった。


 大切な友達の存在……それがいかに自分にとって重要なモノなのか実感したせいだろうか。

 

 私はこの世界の住人として生きるためにやるべきことをしたい!!


 そのためには世界を滅ぼしかねない女神の光臨だけは防がないといけない。


「ルエリアへ戻ろう」

「学校始まるし、それは良いんだけど……普通に始まるのかな?」

「……魔王教団のこと?」

「だってあいつらずっと妨害してくるから……まあ学校の生徒だから戻らないといけないんだけどね」


 魔王教団が居ようが居まいが関係ない。

 

 ここでのやるべきことは終えたし、捕まえた魔王教団はアマノ軍に渡した。


 この人たちのことは全然知らないけど、ルーフェが呼んだ信用できる人達らしいので後は任せて大丈夫だろう。

 

 しかし、ルーフェは来てくれたアマノ軍を見て首を傾げた。


「ミツキちゃんアマノ軍の人数少なくないかい?このボクが呼んだのにこれっぽっちなんて」

「え、あっ……すみません、今現在アマノでは内乱が起きていまして……兵をあまりこちらへ割けなかったんです」

「え……初耳だよ?そんなこと」

「つい、3日ほど前に始まったので……相手は魔王教団、それも教祖ムーンが攻めてきています」

「それは大変じゃないか!!アカツキよりも遥かに強いし……大丈夫なのかい?」

「はい……教祖を相手にするのは無謀ですが、向こうもそこまで人数を集められていないので……ただ、油断はできないと言うことで当主タイヨウ様が私達をここへ」

「そういうことだったんだね」


 もう少し人数をこちらに割くことができたり、もっと強い人を呼べたらまた違った結果になっていた。

 

 そうならないために魔王教団がアマノへ戦争を起こしたのならどうしようもないけどね。


 まさかここまで計算していたなんてムーンという人は未来でも見えるのだろうか。

 

 というかタイヨウ……どこかで聞いたことのある名前な気がする。

 

 その内乱も3日続いているということはそれほど重要じゃなくて、この日のために計画されたものの可能性が高い。ルミナという聖獣をどうしても手に入れたいそんな意図を感じずにはいられない。

 

 あの子は他の聖獣とはなにか違う……。


 教祖ムーンが狙うほど聖獣ルミナ……あの子は一体なんなんだろう?


「そういえばルークちゃんが気絶している間、ルミナと戦ったんだけど……君と同じ"不死鳥の炎"を使っていたよ」

「あの魔法を……?そうか魔力を奪ったから」

「後おそらくだけど、カプリコーンとアポカリプスはアカツキによって消された」

「消され……?!」


 気絶していたのでまったく知らない事実を聞かされる。

 

 確かあの場にはサツキもいたはず、彼に目を向けるとその視線に気づいてうなずいて応える。

 

 カ、カプリコーンが消された……それはつまりもう二度と会えないということ、アリスはこの結果をどう受け止めるのか。


 いやそもそも彼女も捕まって今はどこにいるのかさえわからない。

 

 しかしわざわざ自分達の戦力を減らすなんて一体何を考えているんだろう。


 そんなことを考えているとまるで見計らったカのようなタイミングでサツキが応える。

 

「あのときアカツキは言っていた。弱いものにその力を与えることはできない。アポカリプス、カプリコーンお前達の魔力はムーン様へ捧げる」


 アカツキは魔力を奪うために二人の命を奪った。

 

 片足を失ったルーフェと力不足のサツキをまるでいないものとしてそんな行為を行っていたのね。


 確かにあのときのルミナは同化しているときと同じくらいの力を秘めていた。

 

 アカツキに苦戦していたルーフェのところへそんなものが追加されれば負けて当然だ。


「というか世界最強の魔導士が勝てない相手ってどういうこと……」

「それに関しては言い訳になるんだけど、ボクとアカツキはとてつもなく魔法の相性が悪くてね」

「相性の悪さなんて古今東西全ての魔法を使えるルーフェ師匠なら埋められるんじゃ……」

「……女の子には秘密があるんだよ」

「そんな歳じゃないでしょ」

「言うようになったねルークちゃん。まあいいやそれじゃあダリアへ戻ろうか」


 試練の結果はダリアの街へ着いてから伝えるという。

 

 結果が結果なだけにどうなるか目に見えているんだけど……。


 そこへミツキがサツキの方に近づいて甘い声で問いかける。

 

「え、サツキもう行っちゃうの?」

「ミツキ……俺は皆とルークと一緒にやらないといけないことがあるから」

「うぅ……わかったけど、これだけは言わせて」

「なんだよ」

「負けないから!!」

「ああ!魔王教団との戦争に勝てよ!!」

「そっちじゃ……サツキ……のバカあああああああああああぁぁぁぁ!!!!」

「えぇ……」


 二人は別れの挨拶をする。

 

 なんだか噛み合っていない気もするけどそこはどうでもいい。

 

 アマノの事はその国の人に任せて私達は早くダリアへ帰らないと!!


 アカツキは確か不穏なことを言っていた。

 

 紅蓮に何かあったかもしれないし……きっとまだこの戦いは終わっていないんだ!!!!

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ