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第243話 不意打ち


 サツキと協力してアポカリプスと対峙するがこれだけ力を付けても勝てるビジョンが見えない……まさかそれほどの相手だななんて思っていなかった。


 油断したら倒されるのはこっち。

 

 サツキの不意打ちで左目を潰したけそこまで決定打にはならない。


「お前達のようなガキの面倒を見るつもりはない!!」


 アポカリプスは白い光の魔法を身体全体に纏う。あまりの輝きに目を開けていられない!!


 目隠しとは卑怯な……だけど相手の魔力は追える。


 こんなので倒されるほど弱くないから!

 

 そんな事を考えていた次の瞬間、左腕が微かに何かに擦れてビリビリとした痛みが走る。

 

「うっ……」

「ルーク!!」

「大丈夫っ!」

 

 多分ビーム系の魔法なんだろうけど、全く気配を感じない。

 

 さらに光の輝きで目を開けられなくて攻撃の軌道が読めない。


 ビリビリッ――

 

「うぐっ……!?」

 

 アポカリプスは連続で私にだけ光の魔法を撃ってくる。

 

 しかも致命傷じゃなくて掠れる程度に……服をギリギリ破くほどの威力で攻撃してくる。

 

 これは痛め付けられている……?まさか舐められているの?


「ガキの裸なんぞ見たくもないが、こっちにもやりたいことがあるんだ」

「やりたいこと……?さっきからお前ルークばかり狙ってるだろ!!」

「まだ目が慣れていないはずなのによくわかるな?」

「彼女はずっと悲鳴を上げている……目を閉じていても分かるだろうが!!」

「だが、お前は何もできない……サツキ。君ではこの子を守れない。さぁてもっとショーを楽しむか?」

「お前ぇ!!」


 サツキが怒ってくれているのはとっても嬉しいけれど、何も手出しできない状況でこのままじゃいずれ私が血を流して死ぬ。

 

 身体は頑丈とは言え、傷を付けられれば血が出る。

 

 だけど私だってこのまま手をこまねているわけじゃない。


 馬鹿みたいに話してくれたおかげで相手の位置の大体は分かっている。せっかく便利な細かい音を逃さない妖狐の耳を使う。

 

 意識を集中させて、その位置の方へ炎を放つ!!


「ぐあああああああっ!?」

「ん?あれ……サツキ!?」

「この炎ルークか……?」

「ご、ごめん!!まさかそこに居るなんて……」

「いや、俺も頭に血が上っていた……つい見えないまま斬りかかってた……冷静に――ッ!?ああああああっ!?」

「サツキ!?」


 サツキの突然声は突然かき消された。何が起こっているのか分からないけど、アポカリプスの攻撃を受けているのかもしれない。

 

 あの光、音が一斉無い。

 

 おそらく私が魔法で反撃したんだけど、その先に怒りに身を任せて目を閉じたまま突っ込んで行ったサツキにぶつかった。

 

 味方に当たるのならそれはそれでよし!!


不死鳥の炎(フェニックスフレア)!!」

「……この炎は」


 そういえば前に見せたんだっけ。

 

 この炎は初見だと仲間に撃って、動揺を誘えるんだけど、今回はそれも無意味……一度見せているからね。

 

 それでもアポカリプスは私の炎を避けないといけない。

 

 結果、サツキは解放されてさらに治癒の炎で傷を回復。アポカリプスは少しだけ距離をっとった。


「ふん、厄介な魔法だ」

「ん、目が……ようやく慣れてきた」

「だが光魔法で俺の姿が見えづらいのは変わらないだろう?」


 そんな言葉をまるで一刀両断するかのようにサツキが光に包まれた刀で斬りかかる。

 

 当然、刃は光に覆われていて切れ味なんて一切ない。

 

 それでも力業でアポカリプスの腕にねじ込む、ゴキッと鈍い音が響く。

 

 アポカリプスもまた光を腕に纏うことで鎧のように頑丈なんだけど、それでも骨にダメージが入るほど力を込めている。


 サツキの意地だ!!!!

 これはチャンスかもしれない!!

 

「こいつ、見かけによらず馬鹿力か!」

「それじゃあついでに私のパワーと比べてみてよ!!」


 張り合う訳じゃないんだけど、私はサツキよりも強い力で炎帝剣を振るう。

 

 炎を炎帝剣に纏わせて動けないアポカリプスへ全力で放つ。

 

 もう片方の腕で私の剣を押さえているけれど、やはり――


 グギギィ――


 ちょっとグロテスクな音が響く。

 

 少しやり過ぎている気もするが、相手は私達を殺そうとしていた。


 手加減をするつもりは一切ない!!


 でも私はこいつを殺さない……殺さずに無力化してやる!!


「炎帝剣!!」

「水神剣!!」


 私とサツキはお互いに比べ合うようにお互いの今できる全力でアポカリプスへ攻撃を仕掛ける!!


炎薙斬(ほむらなぎ)り!!」

水零斬(すいれいぎ)り!!」


 私の荒々しい炎を纏った剣がアポカリプスの左腕を斬り落とし、サツキのしなやかで美しい水の剣が光を割いて、右腕を落とす。

 

 魔法を使うには手を翳したり、魔法陣を書く必要がある。これでもうアポカリプスは魔法を使えない。


 そして殺さないと宣言した通り、アポカリプスの斬れた腕の断面を瞬時に炎で止血された。

 

 これにより血を出しすぎて死ぬなんてことはない。


「お前らぁ!!よくもやってくれたな!!!!」

「観念して、そうしたら治癒の魔法で戻せるから」

「さすが……あの人と同じ炎を使えるだけある……まさかそこまでの技術を身に付けているとは」


 一瞬だけ急に荒々しくなったと思ったらまた普通のアポカリプスに戻る。

 

 やっぱりこいつもあの人格を取り入れる薬を飲んでいるせいで不安定なんだ。とっとと魔王教団を潰してこういう人たちを増やさないようにしないと。


「貴様の炎は荒々しくすさまじいパワーだった……同時に止血までするとは、そして男の斬った後は何故か血が一滴も流れない……どういう原理か知らないがすさまじい技術の応酬だな」

「なんだよ……腕斬られてそれを評価するのか?斬られるソムリエかなにかかよ?」

「腕斬られソムリエ……それもまたいいかもしれないが、そういう趣味があるわけじゃない」

「あ?」

「わからないか……どうして俺がお前らの攻撃を受け止めたと思う?どうせお前らは俺を殺さない……特に異世界から来た奴らほど、その世界の倫理観からか人を殺せない」

 

「「――ッ!!」」


 こいつ……私達が転生者だって知っていたのか!!

 

 まだ誰にもスイレンの皆にも話したことのない事実をどうして……いやそれよりもこいつはまるでわざと腕を斬られたみたいな事を……。


 するとその瞬間……後ろから嫌な気配を感じる!!


 ……早く振り替えってそれを止めないと、とっさに振り替える!!


 が、時すでに遅く……最初の攻撃で吹き飛ばされていたカプリコーンが私の背中を手を広げて押し返して来た。


「聖獣はいただく」


 そんな言葉の後にまるで力が抜けるような感覚に陥る。

 

 ルミナが……奪われる……ッ!!


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