第242話 魔法を使う剣士
ルーフェがアカツキと戦っている間、私達はアポカリプスと戦う事になった。
そこで魔王教団に操られているヒュアと再会する。
何とか彼を倒すことに成功した。今は地面にぐったりとしていて意識を失っている。
後はいつも一緒に居るアリスはどこに居るんだろう……隠れている可能性を頭から外さないようにしないと。
そんなことを考えているとアポカリプスは先回りして来た。
「お前の疑問は分かるぞルーク=バレンタイン」
「……何を?」
「アクアドルが今どこに居るのか気になっているんだろう?アクアドルは今、我々の手にある……今頃は薬漬けにされている事だろうな。クックック……」
「最低……ッ!!」
剣と魔法を使えるようになる特殊な薬の事を言ってるんだろう。
魔導騎士の薬……!!
「そう、あの子はまだ抵抗しているが時期に我らの仲間になる」
「どうしてそんなことを……元々仲間じゃないの?」
「仲間さ……ただまだ仲間じゃない。我ら魔王教団の仲間はこの世界の原初……全ての人類が魔法と剣を使えるそんな存在だけだ」
「それ前も言ってたっけ?どうしてそんなことにこだわるの……?」
「そんなこと……?魔導騎士と同等の力を持つ貴様が言うな」
「……私の事を知っているの?」
「貴様は謎が多すぎる……どこから来たのか、どうしてここまで我らの邪魔をするのか……何よりもどうしてあの方がお前なんかを……」
「あの方……?」
まだ何か魔王教団は私の知らない事があるんだろうか。
ちょうどいいそれも含めてこの戦いで終わらせてやる!!
そんなことを考えながら魔法を放とうとした次の瞬間、私よりも早くサツキがアポカリプスへ斬りかかりに行った。
水の微振動させながら刀に纏い、それを振り下ろす。アポカリプスはそれを避けたが、さっきまでそこに居た場所は刀によって真っ二つになっていた。
恐ろしいほどの殺傷力を持った刀……サツキはそれをさらに極めていて、少ない振動と少しの力加減でそれを可能にしている。
スタミナを使わず、持続的に触れたら真っ二つの刀を軽々しく振るうその姿は敵に回したくない。そう思わせるほどに頼もしかった。
しかし、アポカリプスも負けていない。白い光の魔法を放ち、サツキの刀を包み込んだ。
「おわっ……なんだこれ!?」
「不意打ちとはなかなか……だがそれよりもその刀は相当厄介だから封じさせてもらった」
「光の封印魔法!?こんな魔法もあるのかよ!!」
刀は光に包まれてしまい、刃が覆われる事で斬る事ができなくなる。
多分思いっきりぶつけられても骨折するのがやっと……それだけでも十分だと思われるが相手はアポカリプス。
殺す気で行かないと勝てない。
するとサツキもこのままでは倒せないと思ったのか私の方へ近づいてきた。
「サツキ!どうしたの急に……?」
「これで倒せたら君を戦わせずに済んだんだけど……」
「私を戦わせたくなかったの?」
「ああ……大切な子を戦闘に参加させたくなかった」
「友達だからってそんな必要ない……!次は2人で行くよ!」
「……分かった。2人でやろう……だけど何か感じたらすぐに逃げてくれ」
「どういう意味?」
「嫌な感じがする……何か分からないけど気持ちの悪い作為のようなモノ……」
言っている意味がよく分からないけれど、ずっとアポカリプスには気を付けている。それを怠るつもりは一切ない。
最初から全力でこいつを倒す!!
身体の中の魔力を限界まで上げる……するとその瞬間、その限界の先の扉が開くような感覚が私の中に流れる。
身体に巡る魔力の勢いが突然増した……?
「ルーク……尻尾が……!!」
尻尾の数が8つになってしまった。
妖狐族への変化が刻一刻と近づいている……早く終わらせて聖獣を探さないと戻れなくなっちゃう!
早くケリを付ける!!
距離を離すと光速の光魔法を使われるから近距離で戦う。この身体なら付いていけるはず……。
「それに頼りすぎだな」
「え……?」
「貫け!白き光よ!!」
突然何を言い出すのかと思ったら、その直後に魔法で不意打ちを食らってしまう。
縦一直線に伸びり光のレーザービーム……私は身体を捻って無理やり避けた。
スカートを少し掠った……。
「うぐっ!?」
身体にダメージが……?身体のどこも当たっていないはずなのに!!
だけど身体から凄い激痛が伝わる……どこからその痛みが来ているのか身体に神経を向けて伝って行くとそれは……。
私の尻尾だった。
今さっき生えてきた尻尾の中央に風穴が空いている。
大した傷じゃない……けれど身体の一部が貫通するような酷い痛みに襲われる。頼りすぎとはこれの事か。
だけどこれくらいなら!!
「狐火!!」
「痛みに耐えたか」
私の魔法は当然の如く避けられてしまう。けれどそんなのはお見通し!
私は超高速で移動しながらアポカリプスの懐に入る。油断はしない……手加減もしない。それなら私のやるべき最善の戦いをする!!
「久しぶりに使うよ……炎帝剣!!」
剣を取り出して、横薙ぎに思いっきり振り切る。
アポカリプスは光の魔法を展開して私の炎の刃を食い止める。
「さすが……魔導騎士か」
「違うってば!!」
力を最大限まで引き出して込めるが、これ以上動かない。
私一人の手では攻撃が届かないけれど、まだ私には仲間が居る!!
さらにアポカリプスの背後へサツキが周ると光を纏った刀をそのまま縦に振り下ろす。
当然質量を持った光の塊なので斬る事は出来ない。アポカリプスはその攻撃を手で受け止めようとしている。
自分の魔法を纏わせた刀なら簡単に止められる。
そう言う算段……。
しかし次の瞬間――サツキの刀の刃にアポカリプスの左目が潰された。
左目を強く押さえつけながらアポカリプスは叫ぶ。
「があああああああっ!?お前何を……?」
「忘れたか?魔導騎士はルークだけじゃない」
「魔法を使ったのか……?刃を光で包んだがそのさらに上に水を重ねたか」
「さすがに分かるんだな……一瞬だったんだが……」
サツキは普段から刀を使っていたんだけど、ここに来て魔法を使う。
私とサツキは一切手を抜かずにこのアポカリプスを倒すんだ!!




