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第241話 裏切りの想い


 建物の前に居た魔王教団を倒して中に侵入するとそこにはまたしても敵がうじゃじゃと出てきた。

 

 どうやら私達をこれ以上は通したくないみたい。しかも敵の実力は先程戦った人達と同じくらい……それが20人程度居る。


 とてもじゃないけれど、私とサツキだけでは無理なので遂にルーフェも戦いに参加する。


 というかルーフェだけで大体の敵は片付けることができた。

 

 大地へ魔力を注いで、身体に宿る魔力は半分以下になっていたけど、その大地の魔力を使って魔法を繰り出す。

 

 ルーフェ自信の魔力が減っていても魔法を扱うことができるこの技術は私達が修行で最初に教えられたもの。


 大地の魔力とはこの世界の万物に宿るもので至るところに存在する。

 

 それはどんな人間もずっと肌に直接感じているんだけど、それ故に感知が難しかった。

 

 常にそこら中を浮遊する魔力を感知出来てしまうと気が散ってしまうようになる。


 それはもう最初の頃は夜も眠れなくなるほどに……。


 それでもこれを扱えるようになると魔力切れを起こしてもほぼ無限に魔法を行使できる。

 

 大地の魔力を身体に取り入れることができないので完全な魔力切れの時に頭が貧血のようにクラクラすることがあって、そうなるとまともに魔法を扱うのは難しい。

 

 いい案配に魔力を残しておくことで身体を自由に動かし、魔法を使えるくらいの余力を残すことで少しの魔力の消費と大量の大地の魔力の消費で大魔法を使うことだってできる。

 

 無限にある大地の魔力を使えれば、保有する魔力量が少ない人でも大魔法を連打できるという圧倒的なメリット。


 それを引き出すための大地へ魔力を注いだルーフェは正しかった。


「はぁはぁ……」

「ルーフェ師匠!大丈夫ですか?」

「う……うん。そうだね。ルークちゃんの放漫な胸を――」

「それは無理ですが、アポカリプスと戦えるんですか?」

「いや、予定変更だよ。アポカリプスは君たちが倒せ」

「な……ルーフェさんは!?」

「ボクはアカツキ……あの女をやる」

「わ、私達だけで……」

「できるはずだ。紅蓮君はサツキ君の事を一番優秀な剣士だと言っていた。そして魔導士のトップは君だ」


 まさかそんなお墨付きをもらえるとは思っていなかったけど、ルーフェはアポカリプスよりも厄介というアカツキを相手にするつもりなのね。


 元星の欠片本部トップギルドマスターアカツキ。

 

 恐らくあれは今の私達では勝てないんだろう。


 かといってアポカリプスもきつい相手なのは変わらない、こういうとき皆がいてくれると助かるんだけど!!


 そういえば先ほどから慌ただしくて聞くのを忘れていたけど他のみんなはどこへ行ったんだろう?

 

「そうか君たち二人は仲良くアマノの国に辿り着いたんだよね?あの子達は川に流されて辿り着いたあの村で今でも戦っているはずだよ」

「村に居たんですか!?」

「川の流れの先はあの村だしね。何故か君たちは逆方向へ行ってしまったけれど」


 そういうことだったのか。

 

 ユウリやマツバの魔力を一切感じないわけだ。よかった……囚われている訳じゃないみたい。

 

 それを聞いて少しだけ安心した。

 

 後はアカツキとアポカリプスを倒すだけだ!!

 

「すみません……あの流れでも泳げると判断して近くに居たルークだけなら助けられたので……」

「いや、素晴らしい判断だよ。あの村の人々……皆様子が変で足止めを食らっているしね」

「ルーフェさんはどうして?」

「ボクはあの場を抜け出した。あの村人達数はここの山に居る魔王教団より多いけど、そこまで強くない連中ばかりだったからね。足止めを任せてアカツキを倒しに来たんだけど……」

「それじゃあ私達は邪魔でしたか?」

「そんなことはない。アカツキと戦うのに邪魔者が入ってくるとちょっときついかもだったし」


 アカツキはルーフェを苦戦させるほどの相手ということ……?

 

 一体何者なんだろう、どこか関係がある様子だったし、ただならぬ因縁があるはずだ。

 

 そんなことを考えながら建物の2階までかけ上がると当然。敵が居て、それをルーフェ一人で押さえる。

 

 わざわざ私達を温存してくれているのか、私達じゃ時間がかかるから自分でやっているのか。

 

 その真相は分からないけれど、凄く頼もしい。

 

 そして建物の2階には山の頂上へ向かうための扉があり、そこを開いて外へ出る。


 山の頂上は少し寒いのか雪が積もっている。

 

 冷たい冷気が扉を開ける事で建物の中へ入ってきた。

 

「ようやく来たのねルーフェ」

「やあやあアカツキ……久しぶりだね。まさか生きていたとは……魔法の腕は落ちていないんだろうね?」

「そっちは鬱陶しいほど元気ね。当たり前よ……私がアナタを超えた事を証明してあげるわ!!アポカリプス、そこの子供達を相手してあげなさい!!」


 アカツキのその言葉を聞いてアポカリプスは私達の前まで歩いてくる。


 アポカリプスの背後から見たことのある男性が近づいてきた。


「2体1じゃ不利だからな……手伝ってもらうぞカプリコーン」

「はい……マスターアポカリプス」


 カプリコーン……星の欠片を裏切ったと言っていたけれど、やっぱり嘘だったのね。


 ……いやでもなんだか様子がおかしい。目が虚ろでまるで操られているような様子。

 

 確かカプリコーンも魔導騎士(エーテルナイト)になる薬を飲んでいたはず、アレは異世界人の魂を身体に宿す物で飲めば人格が変わってしまう。


 カプリコーンは指示を聞いて、襲い掛かってくる。

 

 手のひらに魔力を集中させて、殴る魔法。

 

 一撃の破壊力が凄まじく、避けるか受け止めるかしないといけない。


 魔力を纏った手刀を炎の障壁で受け止めるとそこへサツキが刀で斬りかかるが、それを許さないようにアポカリプスが光の魔法を放つ。

 

 質量を持った光の弾をサツキが刀で受け止める。


「くっ……」

「させない……お前達はここで倒す」


 冷たい声でそう言うとアポカリプスはサツキを狙っている。

 

 カプリコーンは私が何とかするしかないみたい。


「カプリコーン!!いや、ヒュアだっけ……?アリスはどうしたの!!」

「……」

「アリスは大切な仲間じゃないの?ずっと一緒だったじゃない!!」

「……ッ!!」


 その言葉を聞いたカプリコーンは魔法を解く。


「カプ……ヒュア?」

「うっ……俺を……動けなく……しろ……!!」


 それはヒュアの必死の叫びだった。

 

 身体を抑えている間に私は炎を纏わせた渾身の拳を胴体に叩きこんだ。


 ヒュアの身体はぐったりと地面に落ちて意識を失った。

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