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第240話 成果


 ルーフェの通った道をたどりながら山をトントンと駆け抜けていく。

 

 ルーフェは魔力を隠すのもうまくて、足取りを掴むのが難しい……けれど私はもう何度も彼女と対決をしているのでほんのちょっとの魔力でも感知できるようになった。

 

 だからこそユウリの魔力が一斉感じない事が不安で仕方ないんだけど……。


「たくっ……鬱陶しいな君達は!!」


 そんなことを考えて居るともう既に聞き慣れたルーフェの声が聞こえてきた。耳に届くまでの距離まで近づいてきていたみたい。

 

 だけど聞こえてくる言葉にはルーフェのいつもの鬱陶しいほどの余裕が無いようだ。

 

 ルーフェならどれだけ人数の暴力に押されたとしても一騎当千の力を持っているんだから余裕のはず……。


 しかし目の前の光景はただの有象無象の通せんぼに苦戦していた。


「こいつら……!」

「ルーフェ貴様の力は知っている!!俺達は今まで通ってきた奴らとは別格……新たな異世界の人の魂を身体に居れ、魔導騎士(エーテルナイト)と成った!!」


 巨人かと見間違えてしまう程の大きな身体を持つ2人の門番が後ろの建物を守るように立ち尽くす。


 こいつらもあの薬を飲んだ人達みたいね。

 

 有象無象と思っていたけれど、油断できない。今更ながらここが魔王教団の人達が沢山いる事を思い出す。


 山の頂上へ向かうにはこいつらを倒して目の前の建物に入るしかない。整備されていない道を駆け抜ける事もできるけれど、妙な気配を感じる。

 

 おそらく、事前に魔物を配置していた可能性が高い。


 ここは協力するべきよね。

 

「ルーフェさん!!」

「ん?あ!君達!!生きていたか!!!」

「手伝います!」

「手伝うというかそいつらは君達に任せていいかな?」

「どうして……?」

「説明は後!ボクはやるべきことがある」

 

 そう言いながらルーフェは座禅を組んで集中力を高めている。

 

 本当に何かしなければいけないことがあるのだろうか?


 私には疲れたから眠っているようにしか見えないんだけど……。

 

 考えている暇はない。


 目の前の建物の二階から1人の女性が飛び降りてその大柄な門番2人に合流する。

 

 敵は3人、大柄な男が2人とゴリラ見たいな女性。

 

 大柄な男はともかく、女性の方は何か違和感を感じる……ただ鍛えたとは思えない肉体……まるで無理矢理筋肉を外付けしたような異様な姿をしている。

 

 そんなゴリラ女は私達を止めるべく立ちふさがる。


「ここから先はアカツキ様の領域……ガキ2匹ですら入ることは許されねぇ!!邪魔するようなら俺様の拳がお前らを叩き潰すぜ?」


 ゴリラ女の話し方は男性みたい。


 薬の影響で女性の魔王教団の人の身体に男性の魂が宿ったんだろう。


 じゃあこの異様な筋肉量は……?

 

 あの薬まだ何か秘密でもあるのかな。

 

 炎の魔法で先手を撃つ。

 

 しかし私の魔法を受けてもビクともせず、逆にこちらへ攻撃してくる。威力はそこまでだけど、こっちも同じくらいダメージを入れられない。

 

 どうやら油断できない相手みたい……このあとのアカツキ戦を考えて消耗したくないんだけど……。


「やるぞルーク!」

「わかった!」


 私達は本気で彼らに挑む。

 

 先程よりも炎の火力を上げて放つと大柄の男は苦痛の声を上げるがその炎の中で魔法を使い私に攻撃を仕掛けてくる。

 

 それを避けてからまた炎の魔法で追い討ち……しかし、それはゴリラ女に阻まれる。

 

 私の攻撃を受け止めたゴリラ女は笑みを浮かべる。

 

 だがそこへサツキが水を高速回転させた刀で斬りかかる!!

 

 切れ味抜群の刀がゴリラ女を襲う。

 

 回避不可能な体勢で刀を手のひらで受け止めようとする……が真剣白羽取りようにうまくいかず、そのまま胸を浅く切られる。


「うがぁぁぁぁぁぁ!」


 まずは一人、サツキのパワーはまた一段と増していた。

 

 当然仲間がやられて黙っていない残りの男はゴリラ女を倒したサツキへ向かっていく、怒りの突進というわけね。

 

 サツキは目を閉じてそのまま動かない。なにかあるのかと考えたが、恐らく彼は……。


 私を信用している!!


「炎帝桜吹雪!!」


 桜の花びらを模した炎がサツキの身体ごと魔王教団を飲み込む。


「ぐあああああああああああっ!!」

「この女……仲間を燃やしただと!?イカれてんのか!!」


 そんな二人の叫び声を黙って聞いていたサツキは刀に水を纏わせないままの状態で二人の男を切り伏せる。

 

 見事な峰打ち……力の差がなければこれほどのことはできないだろう。

 

 毎回あの薬を飲んだ人達には苦戦を強いられていたから、一歩成長している。そんな実感がわいた。


 すると様子を見ていたルーフェは座禅を組むのをやめて立ち上がる。


「よくやってくれた」

「なにやっていたんですか!」

「ボクが魔法で押し負けたのを覚えてる?」


 あのアカツキに川の水を操作されたときの事を言っているみたい。

 

 最強魔導士であるルーフェの魔力を越えるなんてあんなのどうやって倒せばいいんだと思っていたんだけど……ルーフェは何やら思い当り事があるという。


「ルークちゃんボクの修行を覚えてるかな?」

「つい最近のことを忘れるはずありません」


 それは長い道のりだった……。

 

 大地の魔力の使い方を覚えることで急速に魔力を回復したり、そのまま使ったり、私は特別に直接的な魔法相殺の技能を教わった。

 

 さらに実践では負ければ胸を揉まれ、足を触られ、耳に息を吹き掛けられて足が敏感だとみんなの前でバラされた。


 ちなみにユウリはお腹が敏感……あれって修行なのか……?


 本当に色んな意味で大変だった……。


「君、変なことも思い出してるでしょ?ルークちゃんってそういうところあるよね」

「な、なにが……」

「ちょっとスケベだよね」

「……」


 ぐうの音も出ない!!


 中身が元々男だったので無意味だとわかっていても他の子達のそういう姿を見せられてなにも感じない訳じゃなかった。


 こっちが触られたのは不愉快だったけど……。


「そんな話はいいんだ。大地の魔力が死んでいることには気づいていたね?」

「あ、そっちですか!はい……っ!」

「……たぶんアカツキがやったんだろう……おかげでボクの力が削がれてね」

「まずいじゃないですか!」

「大丈夫もう戻したから」

「え……」


 枯れて真っ黒だった大地の魔力が金色の輝きを放っているのが見えた。

 

 この山……ルエリアの小さな街が1つすっぽりはいるような広さなんだけど……まさかこれほどのサイズのものに魔力を与えたというの!?

 

 いやそんな一瞬で出来るわけがない……まさかここへ来る道中走りながらずっとそれをしていたのか。

 

 魔力を放出しながら進んでいたのはこれをやるためだったみたい。

 

 その上で敵や魔物を倒していた……ルーフェはただ苦戦していたわけじゃない。

 

 これで大地の魔力は戻り、ルーフェが100%の力で戦える……。

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