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第230話 試練内容


 魔王教団の殲滅がこの修行の最後の試練と紅蓮は訴える。

 

 それは不可能だろう……だってあいつらは他の国にも根を張っている……というルエリアでの目撃が最初だし。

 ショナの話だとハーベスト帝国では一年前から少しずつ根は侵食してきていたみたいだけど、ルエリアはもっと前の可能性が高い。

 私の師匠がそうだったからね。

 

 外国に居る魔王教団を倒すのはほぼ不可能だろう。それこそ教団の教祖を倒さない限り……。まさかそんなことをお願いされるんじゃないよね……?


「殲滅と言っても全滅させるわけじゃない。殲滅するのはハーベストのとある山に住む魔王教団の幹部を倒して欲しい」

「魔王教団の幹部……?だ、誰ですか?」

「アポカリプス……エキナ=バイオレットに指示して調べさせた」


 そうか、エキナはこの帝都に来るように言われていた。

 魔王教団の事を調べるためだったみたいだけど、その居場所の1つを突き止めたという事ね。

 

 紅蓮がルーフェを見て、「そうだよな?」と小さく呟く。それにルーフェは「その通りだよ~」と呑気に応える。

 どこまでも気楽そうな表情……この試練は私達が行くものだから。

 

 しかしここでアポカリプスの名前を出すという事はルーフェがあの時に言っていた通りやっぱり死んではいないのね。

 あの魔法を使ったのがルーフェならもう少し早く見つけられてもおかしくないはずだけれど……。


「山……そんなのにも手を出しているんですね」

「エキナの話では山の中に巨大な建造物があったとか……」

「そんな山に巨大な……?山はどこら辺にあるんですか?」

「この国の東にある村のさらに東……アマノの国に面した山だ」


 アマノの国……。

 

 サツキから聞いた話だととても日本に似た国だとか、一度は行ってみたいと思っていたんだけど、ここでそれが叶う……?

 観光なんて可愛いモノじゃなくて魔王教団の殲滅だし、あまり穏やかなものじゃないけどね。

 それに私達はともかく、他の生徒達は不安そうな表情をしている。

 私達はもう既に色々な場所へ旅をしていて、遠くへ行くのは慣れてしまった。しかしおそらくずっとダリアの街に居たであろう学生は違う。

 力を付けたとしても最初の一歩は誰でも怖いはず。


 私達も学生なんだけど、色々あって旅をする時間がある。


「ダリアの学校に通っている生徒諸君は街に残って、他の試練を与える」

「え……それって」

「そうだショナ。お前達には山へ向かう試練を遂げてもらう」

「む、無理ですよ~!私達6人だけはさすがに……」


 力は付いた……けれど、アポカリプスを相手にするのはまだ少し足りないだろう。おそらく学生と言う括りではトップレベルかもしれないけど、まだS級の冒険者ほどじゃないはず。

 そんなまだまだ力の足りない私達だけで幹部に勝てるとは思えないというのは紅蓮も分かっている。

 どうやら私達の道案内としてルーフェとサジタリオンが付いてくれるという。


 確かにその二人が居てくれるのならありがたいんだけど……。それなら正直……ルーフェと紅蓮が2人で殲滅へ向かえば十分解決できると思うんだよね。

 この2人の実力は今まで見てきた誰よりも高い。殲滅が目的ならもっと確実にしかも被害を出さずに勝てるんじゃないかな。

 アポカリプスだって瞬殺だったし……まあ生きているんだけど。


「片方はこの街に残らないといけない。魔王教団はアポカリプスだけじゃないからな」

「え……?」

「前にアルストロメリアから情報を貰い、星の欠片が魔王教団の手を借りている事は知っている」


 そういえばそんなことが前にあったような……。

 私達の見てきたあの戦いや、ジャスミンの街で何があったのかは私達の認識を同じ位はあるのかもしれない。

 それなら話が速い。


 おそらく既にこの国では星の欠片に対して何らかの策を用意しているはず、そしてその最中、魔王教団の動向を知る事が出来た。

 その結果ダリアにはまだ魔王教団と思われる人物が残っている可能性が高いという。どうやら残った学生達はその魔王教団の人と戦わなくちゃいけないみたい。どっちも危険な事に変わりは無いけど、私達の方がほんの少しだけ面倒くさいよね。


 それも冒険慣れしているから……そんな人選の意味も込められていそうだ。人数もちょうど半分というわけじゃないけど、分けられている。

 サジタリオンも居るのならこっちの方が安全の場合もあるだろう。そもそもアポカリプスではルーフェには敵わないのは先の戦いで分かっている。

 

 敵がアポカリプスだけなら私達は魔王教団の団員を相手にするだけでいい。

 そう考えると大変だけど、あまり苦戦はしないだろう……場合によってはここより安全かもしれない。ダリアに居る魔王教団がどんな奴なのか分からないわけだしね。


「という事ですぐに向かうぞ」

「ボクは遠出は嫌なんだけど、可愛い弟子達のためだ!最終試練を皆で乗り越えようじゃないかー!」


 ルーフェ1人でも何とかなりそうな試練だけどね。

 

 確かこの人は私達に国へ来ないかとスカウトしてきていたし、得た力を見るためにこの試練を用意した可能性もある。

 認められてもルエリアを去る選択肢は私達には無いけどね。学校あるし……。


 皆、急な試練であまり乗り気じゃないけど、そうも言っていられない。

 これが彼らに課せられた試練だというのなら、それに従おう。後やっぱり一番気になっているのが私達にどれほどの力が付いたのか確認したいしね。


 私達は長い修行の最後の試練である魔王教団殲滅の試練をこれから向かうのだった!

 

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