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第215話 4体目の聖獣


 どこへ連れていかれるのかと思ったらまさかのこの街の地下。

 

 確かそこには聖獣がいるはず、レインから正式な許可を貰えるのなら手間が省けるのだけれど、どうしてそんな話を持ってきたんだろう。


「地下への護衛として君たちを雇うというのはどうだろうか?」

「雇う?」

「ギルドに依頼を出そう。国のために尽くしてくれている花園だけど、王家が良くないことをすれば咎めるほどだ。君達も安心できるんじゃないかな?」

「地下に護衛?危険な場所なんですか?」

「虫や小さな害獣は居るかもしれないけど、危険という程じゃない」

「そんな所へ行くのなら護衛は後ろの方たちだけで十分でしょうに」

「言ったろ?あくまで雇うだけだ。私は君達に恩を売っておきたい……今はその子が剣を使えるようになるのが重要だろ」

「地下にその解決策が有るんですか?」

「確証はないが……それが出来たらその借りは君に返してもらいたい」


 この人はその地下へ行けば何か方法が分かるかもしれないという確信を持っているようだ。


 ということはやっぱり聖獣関係だろう。同じ聖獣であるルミナが契約無しに剣を使えるようにしたんだ。

 

 もしかしたらここに居る聖獣もそう言った能力を持った特殊な個体なのかもしれない。話を聞けるのならこれほどありがたい申し出は無い。


 問題は何を要求されるか……か。

 

「どうして私に?」

「その話はここでは出来ない。依頼を受けてくれるのなら地下へ向かう道中に話そう」

「不安なんですが」

「今の君には関係の無いことだから安心していいよ。だけど」

「だけど?」

「放置したらいつか君や君の仲間たちにも被害が及ぶようなものになるだろう」


 脅しにも取れるようなその言葉。


 どう捉えるのが正解だろうか?


 本当に何らかの災害に見舞われて被害を被る可能性か依頼を受けないとお前たちを殺すと言う言い回しか。

 

 しかし後者であればギルドが黙っていない。

 なら本当に善意の可能性はあるんだけど、やっぱり気になるのは助ける理由だよね。


 フーリアの為ならある程度のことは覚悟できている。

 

 これで彼女が救われるのなら私は――


「分かりました。とりあえず地下へ向かいましょう」

「ちょっとルーク!!何されるか分からないんだよ!?」

「それはそうだけど、酷いことはしないって約束してくれたから、それにフーリアだって行き詰まってるじゃない?私はフーリアの助けになりたいから!!」

「ルーク……」


 そういうとフーリアは黙ってしまった。

 

 彼女の表情からは怒り、悲しみ、恐怖、喜び……色々な感情を見てとることが出来るほどに歪んでいた。

 それだけ追い詰められている証だ。

 

 ずっと見て貰えない、冷たい態度を取ってくるけど、幼い頃に育ったただ一人の友達なんだから!!

 

 そんな会話を一方的に聞いていたレインは呆れていた。

 

「君ら私をなんだと思ってるんだ?」

「すみません、しかし決心は付きました」

「どうせ言っても信じられないだろうけど、そこまで深刻なことは頼まないから、あくまで保険……万が一のねそれに私にだって女性の好みはあるし」

「それはそれでムカつくんですが?」

「あはは、それじゃあ行こうかダリアの地下へ」


 レインに依頼を出してもらってそれを受けると私達はギルドを出て、街の中を歩き回る。

 

 花園のギルドが東の少し離れた所にあるので移動にも時間がかかる。

 

 ものすごく広い都市なんだけど、どうやら中央へ向かっているみたい。地図を見れば分かるんだけど、この街の中央には巨大な闘技場がある。

 

 どうやらそこへ向かっているみたい。


 案の定、闘技場の前まで辿り着くとレインはそこで急に立ち止まる。


「ここに地下へ行くための通路がある」

「どうして闘技場の地下に?」


 素朴な疑問だけど、そう思うのも仕方がない。闘技場なんて人が沢山来る場所だ。確かギルド間の闘技大会があるとリリィが言っていた。

 

 そんな面白そうな催しに関心を持つ人は多いはず。

 

 その問いかけに対してレインはすぐには解答せずに当たりを見回す。無視をしているというよりは誰にも見られたくないみたい。

 

 いつもの護衛も闘技場の外へ置いてきたので既にこの場にはこの3人しかいない。

 

 護衛の人達はレインと私達だけにすることを嫌がっていたけれど、レインの命令によって渋々従った。


 辺りに誰もいないことを確認するとその問いかけのを応えてくれる。


「地下通路はこの地下にいるある生き物のよって作られた」

「……聖獣ですか?」

「なんで知ってんだよ……。まあいいや、今も尚その聖獣様が地下で眠っているんだ」

「眠っている?封印でもされているんですか?」

「いや、文字通りだ。多分この時間は寝ているはず」

「は?」

「見ればわかる。さあ俺に付いてこい」

「はぁ……まあわかりました」


 どうやら聖獣との意思疎通が取れるみたいね。

 

 レインの反応からしても深刻な状況ではないのは確かだ。

 しかし……気になる事がある。


「どこに通路があるんです?」


 私達の今いる場所はただの通路……レインはその場に止まっている。


 様子からしてこの辺りにあるみたいなんだけど……それらしきものは見えない。

 

「私にはそこら中に見えるが?」


 そんなそこら中に通路があったら誰でも聖獣に会いたい放題じゃないか。何を言っているんだこの人は。

 

 そんなことを考えていた瞬間、足元が魔法陣によって埋めつくされる。


「これは!?」

「闘技場の地下へ行けるのは王族とそれらが認めた者のみ。ルートは闘技場全てどこからでもアクセスできる」


 だから通路がそこら中にあると言っていたのか。

 眩い光に包まれて私達は地下へとワープした。

 

 光に慣れて目を開くとそこには巨大なライオンが居た。


 大きなライオンは孤高の姿でこちらを見つめるとただ一言を発する。

 

「ようやく来たか。我が主ルーク様」

 

 

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