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第210話 大魔力


 二次試験は膨大な魔力に耐えられるかどうかを見極めるモノだった。

 

 簡単な内容だけど、結構苦しくて、その場に立っているのがやっとのもの。


 フーリア達もギリギリ意識を保つのでギリギリだったみたい。

 

「試験で残っていたのは30人くらい~?今の子らは根性が足りないね」

「突然、魔力の圧で押さえつけるからだろ」

「こーんな優しい不意打ちで漏らす子なんて鍛えても仕方がないだろう~?」

「それもそうだな。しかしせっかく定員40名まで受け入れていたんだが……30人とはな」


 それぞれの学校で10名ずつを教えられればいいとレインは言っていた。だけどここに残ったのは30名。


 

 とりあえずは修行を受けられそうで良かった。

 

 一安心しているとルーフェと紅蓮は私達から少し離れた場所で何やらコソコソと話している。これから何をするのか話し合っているみたい。

 

 2人はなるべく小さな声で会議をしているけれど、この耳ならそれくらい捉えるのは造作もない。一体何を話しているのか聞いておくことによってこの後のことを有利に運ばせよう。

 

 そんなことを考えていた時だった。


 周りを見てみるとフーリアやショナが不安気な表情をしていた。まずはこっちを気にかける。


「どうしたの?」

「……」


 私がそう聞くが2人とも黙っていた。


 というか何やら下半身をモジモジさせている……そういえば私でも溜まっていたら漏らしてしまう程の魔力に当てられたわけで……まさか!!


 私は状況を察した。

 

 あの少女ほどあられも無い姿にはなっていないものの、多分ちょっと……。


「まさかこんなにも圧が凄いなんて……私はちょっとだけだから!」

「私達魔力なんて感じたこと無かったから!!……後私は全然よ……嘘じゃないから」

 

 この世界が剣士には魔法を扱えないというルールがあり、それは剣士には魔力を感知できないからだ。それに魔力がどんなものかを無理やり叩き込むほどの暴力的な魔力。

 

 確かにあのルーフェって人に魔力の底上げの方法を教えてもらえればもっと強くなれるはず。


 しかし、魔力を感知できるからあの圧力に屈する場合もある……。

 

 ここは嘘でも彼女達を落ち着かせて上げよう。

 

「ま、まあ私も少しだけ下着を濡らしちゃったから気にしないでいいんじゃない?」

「は?ルークまさか今付けてる下着って」

「え、あーフーリアから貰った。あっ……」


 新品、とはもう言えないくらいには履いているので気にする必要は無いと思うんだけど、いやそもそも下着ってそういうものだし。

 

 だけど贈り物を汚されて嬉しいわけないよね。


「ご、ごめん少しだけ汚したかも……」


 やばい、怒られる……。


 そう思っていたらフーリアは先程のルーフェのようなギラギラした怖い顔で私を見つめていた。

 

「ゴクンゥッ……」

「フーリア?」


 何故かフーリアは怒るどころか喉を鳴らして喜んでいるように見える。

 そんなに私が醜態を晒すことが嬉しいのかな。

 

「な、なんでもないわ。今日の掃除当番は、はっ!別荘に使用人がいるから無理か……」

「その心配してたの?もしショナの家のように当番を決めていても流石に下着は自分でやるから」

「……」


 自分が見られるのが余程恥ずかしかったのだろうか、それとも何か別に……。

 

 どちらにしてもルーフェの事を一瞬だけすごい魔導士だと尊敬してしまったんだけど……フーリアを汚しやがって!!許せない!!!!

 

 そんな事を考え居たら2人の話し合いが終わったのか近づいてくる。


 盗み聞きできなかった……。

 

「待たせたな。早速だが、お前らを鍛えてやる」

「それじゃあ魔法を希望の子はボクの所へおいで」


 一緒に教わるんじゃなくて魔導士と剣士で分けるみたい。

 

 そちらの方が効率いいのは確かだけど、フーリア達と別れてしまうのは少し不安だ。

 

 そんなことを言っても何か変わるわけでもなく、私とユウリとマツバは魔法が得意なのでルーフェに付いていく。

 

 フーリアたち剣士組はこのまま広場を使っての修行を行うという。


「さぁボク達は向こうで魔法の授業をしようじゃないかー!」


 胡散臭いマジシャンのようなにシルクハットをヒラリヒラリと靡かせるルーフェ。


 なんだかその様子を見ていると気が抜ける。

 

 剣士の修行の様子が見えない所まで来ると突然――ルーフェは……!!


「それじゃあここで皆っ!横になって一緒に寝よう!!」

「え?」

「どうしたんだい?ほら、ボクに続いて!!」


 そう言うとルーフェは芝生の上に寝そべった。

 

 それはもう綺麗な芝生のベッドへのインに私達は唖然とする。一人の男子生徒が横になっているルーフェの横に立つ。

 

 そして見下す。


「ボクを見下すなんていい根性をしているね」

「ふざけられているようなので、俺は強くなりたい。あなたの魔力の圧にだって耐えた。俺はあなたから教わる権利がある」

「そう、だから教えているんだ」

「これのどこが!!」

「まあまあ騙されたと思ってほら1回、寝てみなよ。せっかくの気持ちのいい太陽の光が遮られてしまっている。とっとと退きたまえ」


 男子生徒はプライドが高い子なんだろう。

 

 そんなルーフェの態度に腹を立てている様子。魔法を展開してルーフェを脅しはじめた。


「教えていただけないのであれば、ここで力を証明します」

「水魔法か。冬の暖かい天気には似合わないよ」

「教えていただけないのであればこれをあなたにぶつけます」

「なら猶更ボクの言う通りに――」

「サダルメリク!」


 男子生徒が魔法の名前を叫ぶ。

 

 大きな水の塊が空に出現する。

 目を閉じているので見えていないだろうけど、上空の魔力には気づいているはず、しかも結構大きい。

 

 これは流石にやりすぎだ。


 ユウリ達だって巻き込まれてしまう可能性がある。

 止めようとしたまさにその瞬間、ルーフェの頭上にし出現していた水の塊が何の前触れもなく消えた。

 

 そんなありえない光景を目にした後、ルーフェの隣に先程の男子生徒がいつの間にかうつ伏せで寝かされていた。

 

「さあボクの言う通りにするんだ……ねっ?」


 ルーフェの笑顔の裏には魔力とはまた違った圧があった。

 

 先程までも軽い少女に気圧されて私達は言う通りにする。

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