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第206話 修行の権利


 レインが私達と話をしたかった理由は修行の見学をしたいというモノだった。


 見学なんてそんなことをして楽しいのかな。

 

 この国最高峰の魔導騎士(エーテルナイト)が揃っていて、その教えを受けられるのだから気になるのは当然か。

 

 ここまでの話からその教えよりも私達に興味があるみたいだけどね。

 

「見学といっても、私もハーベスト学校の生徒として参加だけど」

「学校で合同の授業ですか?」

「ああ、というか4つの学校があの方達に学びたいということで合同だけどな」

「それ……私達が参加して良いんですか?」

「サジタリオン様が教えたい人達が居るという事で、今回の合同を設けたんだ」

「えぇ……何人居るんですか?」

「何千人はいるぞ」

「まさかそれほどの数の生徒に教えられるんですか!?」

「ルーフェ様ならともかく、紅蓮様は物理的に難しいからそれはないな」


 魔法が得意なルーフェなら千人を捌けるということか。

 

 どれだけ頭がいいの?さすがの聖徳太子も千人の声を一度に聞き取れないでしょ。

 魔法が得意なルーフェなら千人を教えられる辺りおそらく魔法の類を利用しているはずだ。

 

 だけど今回は剣士も居る。


 魔法が得意な人が剣術を教えてくれるとは思えない。


 そうなると教えることなんて無理じゃないかな。

 

 剣士の人も習いたいだろうし、それじゃあどうするんだろ?


「当然だが(ふるい)にかけるそうだ」

「え」

「明日からそのための試験が始まる。君たちは外国の子だけど、認められているのなら教わる資格がある」

「ですがそれは試験を突破した場合のみですか?」

「当たり前だ。あの方達の教えなんてなかなかないんだぞ?」


 となるとこの試験で落ちたら長い冬休みの期間はずっと暇ってこと!?


 そうならないためにも試験に合格しなきゃいけない。


 レインが言うには今回、2人が教えてくれるのは珍しいという。

 どうして今頃になって弟子を取るようなことをするのだろうか。

 

「それは……知らないな」

「そう……ですか」


 なんだか目を逸らしているように見えるが、教えるつもりが無いのなら無理に聞くこともできない。

 それなら次に気になる事を聞いておく。

 

「何人まで絞られるんですかね?」

「ざっと40人くらいだと聞いている」

「1つの学校につき10人ですか」

「そう、そして……もし君たちがその枠を取れたとすれば6枠埋まる。外国から来ているからな。他の生徒達から奇異な目で見られるかもしれないが、そこは頑張ってくれ」

「はぁ……」


 教えを受けられてもその後も大変みたい。

 

 レインは全てを伝え終えると別荘を去ってく。

 

 それにしてもレインの話は明日の試験直前に魔導騎士(エーテルナイト)から教えてもらうはず……。


 そこで知らされる情報をここで話していいのだろうか。


「私は帰るが、先ほどはすまなかったな」

 

 どうやらレインは先程の私への態度をまだ気にして先に教えてくれたみたい。

 

 疑うと少し怖い人だけれど、根がいい人なのは最初見たときに分かっていた。王族としての勤めなんだろうね。


 相手を疑って自分達に対タイするのか確認するまで油断しないとはむしろ王族として当然だろう。

 

 別荘の玄関まで見送りだけする。


「そうだ。君」

「はい?」

「私は君に興味が湧いたと言ったね。それは嘘じゃないから是非、今度二人きりで話そう」

「はぁ」

 

 と、レインはとてつもなく満面の笑みでそんなことを言い出す。

 

 この世界の基準でも相当かっこいい部類の容姿をしたレインの笑顔は女性の気を引くだろう。

 

 前世の記憶がある私ですら、少しドキッ!とした。


 しかしそれは一瞬の私とショナだけで、フーリアとユウリはあまり興味がない様子だった。

 

 逆にフーリアは汚いものを見下すような瞳で睨み付けている。

 相手は王子様だからやめてほしいんだけどね。


 そこへ何故かサツキが割って入る。

 

「そうですか。そのときは是非俺もその場に混ぜていただきたい」

「サツキ殿も?私は彼女と二人きりで話したいんですが」

「……」

「まあいい。それも試験に合格したらの話、その時はよろしくね」


 レインはそういうとウインクして去っていった。

 

 しかしながらそんなあざといのには興奮しない。

 

 ショナはキャッキャッしていたけど、案外……乙女なのかもねこの子は。


「なんだかかっこいい王子様だね!」


 ショナが声色を高くしてそんなことを言いだす。

 

 それに対してフーリアとサツキが――

 

「そうかしら?あれは獣よ!獣!!」

「王子と呼ばれておごっているだけだろ」

「……フーリアとサツキは容赦ないね」


 おごっているかどうかはともかく、多分だけど実力はあるはず。エステリア学校にいるクレストよりもずっと強い。

 

 逆にこっちの王子が弱すぎるのか。


「明日から試験か」

「今日はもう遅いし寝た方が良さそうですね」

「だね、殿下も遅くまで話をしてくれたし、疲れた」

「疲れたの?大丈夫?」

「あ、あぁいや、余裕だ」

「そう?」


 サツキはなんだか強がっているように見えるんだけど、本当に大丈夫だろうか?

 

 明日の試験に対してやはり不安を感じていると考えるべきね。


「ふふ、ルークはそれでいいのよ」

「え、何?私の考えてること分かってるの?」


 フーリアは口角を上げながらそんなことを言いだす。なんだか納得がいかないけど、まあいいや。

 

 どのような試験があるのかは現状では分からない。未だにサジタリオンは帰ってこないし。

 

 果たしてどんな試験内容なのか、私は少し楽しみだ。

 明日から試験が始まる……エステリア学校へ入学する時みたいにワクワクと不安が維持混じる。

 

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