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第205話 少年少女


 宿……もとい、別荘というだけあってとても広い。

 

 私たちは6人だけど、おそらくそれでも全ての部屋を使いきることはない。

 

 中に入って部屋を確認するが、もうそこら中に扉が付いている。廊下も綺麗で赤いカーペットの上を土足で踏み入れるのに抵抗を覚える。


 レインとの話の前に部屋を決めてくるといいと言われたので、ひとまずは部屋決めに専念しよう。

 

 案外これが大事なんだよね。

 今のうちに決めておかないと荷物の整理とかしたいしね。

 

 2階に広い廊下とその周りにたくさんの部屋がある空間へ案内される。そこを寝室にするようにという事らしい。


「今さらですが、案内感謝します」

「いえいえ、これもサジタリオン様のご命令ですので」


 王家の人が使う別荘だけあって執事もメイドも何人も控えていて、案内も迅速だ。さすがはサジタリオン……。

 

 アーミアに負けたこと以外は本当に何でもできる。そのお陰でレインの疑いも晴れたわけだしね。


「部屋はこの空間に6つ、右に3部屋、左に3部屋」


 私たちはちょうど6人なので充分だけど、どうやらフーリアはそうは思っていないらしい。


「男女で別れたいんだけど」

「別に俺は気にしないぞ?」

「私たちが気にするのっ!大体あなたルークのストーカーじゃない!!」

「違うからな……!!」


 そう言われると確かに不安を感じてきた。


 夜は何も気にせずに深い眠りに付きたいからね。ストーカーが部屋の近くに居ると考えるだけで不安になる。

 

 女子陣は少しだけ不安か……男子が隣の部屋は年頃の女の子には少しハードルが高い。


「じゃあ私がサツキとマツバ側の部屋でいいよ」

「は?ダメよルーク!!このお猿さんに襲われるよ!!」

「それは言い過ぎだよ?」


 一応ここまで一緒に旅をしてきた仲間なのにそんな言葉を使うのは酷い。

 

 嫌なら私がそれを引き受ける。前世では男だったんだからこんなの一切気にしないんだけど――ってフーリア達はまだ私が転生した人間だと知らないんだった。

 

 というかフーリアは私の貞操を気にしているのだろうか。

 正直どうもいいんだけど……。

 

 するとそこへサツキがきっぱりと言い張る。

 

「そんなことしないよ?」

「じゃあルークとそう言うことはしたくないと?」

「そ……そうは言ってないだろ!!」

「はぁ?てことは興味あるの?」

「いや、無いって言ったら彼女に悪いだろ。女性的な魅力はあるんだし」

「……ふーん」


 そう言われるとなんだか少し嬉しい気がしてきた……?いやこれはどちらかというと恥ずかしいという感情だろう。

 

 それにしても女性的な魅力があると言われて嬉しい?そんな感性持ったことがなかった。

 

 な、なんだか少し顔が熱い……気がする……?あ、熱さを感じないはずなのに。


「ちっ……」


 なぜかフーリアは私を見て舌打ちした。

 

 なんでそこはサツキに対してじゃないのかわからないんだけど。

 

 そして話し合いの末、通路左側の3部屋をショナ、ユウリ、マツバが使うことになり。

 右を私、フーリア、サツキが使うことになった。


 なんでこんな配当になったのか本当に疑問だけど、ショナ達は案外気にしていない様子だった。

 

 もしかしたら女子は気にするだろうという私の考えはこの子達には無駄だったのかもしれない。フーリアを覗いて。

 

 話を終えてから客間へ向かうとレインがおとなしく待っていた。


 フーリアに睨まれていた恐怖で忘れていた。怒っていないといいんだけど。


「来たか」

「す、すみません長引いてしまいました」

「いいさ、それにサジタリオンさんへの確認も取れたからな」

「サジタリオン様は今どこに?」

「城だ。まさか最強の魔導士と剣士に会いにきたとはね……」


 事情は概ね聞けたらしい。

 それなら私たちの部屋決めでモメた時間も無駄ではなかった。


「だから聞きたいことは大体先程の時間でわかった」

「それはよかった」

「だが、その子はいったい何者なんだ?」

「その子、ルークですか?」

「ルーク?その子の名前か?」

「そうです」


 またその名前に聞き覚えでもあるのだろうか。

 レインは少し考えるように顎に手を当てる。

 

 そして一度私を一瞥すると何を思ったのかこんなことを言い出す。


「一度、城に来い」

「はい?」


 これはどういう意味で捉えればいいのだろうか?

 

 なにか気に障るようなことでもいってしまったのだろうか、それとも城に来いって……そういうこと?


「ま、まさかレインはルークに興味が!?」

「興味か、確かにあるといえばある」

「なっ……」

「……君の考えているようなことじゃないぞ?」


 王子様に好かれるなんて乙女ゲームでもない限り私の身に起こるわけがない。実際、ルエリアの王子には好かれている感じが一斉無いし。

 

 そう言う事は起こるモノではないんだ。身をわきまえないと……いつか失敗するかもしれない。


 レインは先程の自分の発言が良くなかった事に気づいて訂正する。

 

「城までは流石にか……じゃあお前達の修行を見学でもさせてもらおう」

「見学……ですか」

「俺も王子だからな。君らの実力を見て引き入れる事も視野に入れているんだ」


 もしかして……私達がハーベストに来たのって……将来ハーベストに来る可能性を考えて……とか?

 

 サジタリオンは世界最強の魔導士と剣士と面識があるみたいだったし……そんなわけないか……だとしたらルエリアをサジタリオンは……………………。

 

 諦めている……?

 

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