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第198話 超絶空間凍結魔法


 シリウスとの賭けは勝負の結果は引き分けになってしまった。


 その勝負を付けるために最後の賭けを行う。

 それは私がシリウスに炎魔法を放つというもの。


 私の炎は癒しの炎。

 

 任意で燃やしたり、癒したりできるバレンタイン家に伝わる魔法。

 敵であるシリウスに私は癒しを与えた。


 そうすることで彼女に芽生えた第二の人格を退けられる!!


 そして今、シリウスは私の炎を受けて頭を強く押さえつけていた。


「これは……お前、何をした!?ただの炎じゃないだろ!!」

「癒しの炎です。この炎は一度、魔王教団の薬の影響を退けました。これでアナタは治るはずです!!」

「そういうこと……か。自信があったのは、ヴェルダンディ―(わたし)を癒す手段を持っていたわけだね」


 癒しの炎を受けて苦しんでいるという事は薬に影響を与えているはず。現に口調が少し柔らかくて接しやすい雰囲気を纏っていた。

 

 このまま炎で癒せばヴェルダンディーを治せる!!


 しかしシリウスはそれを知ると酷く抵抗する。

 

 私の炎を払うかのように剣を振るう。

 もちろん炎を斬ることはできない。



 このまま炎に包まれれば治せるという瞬間、星の欠片の冒険者達が突然暴れ出す。


「何をしている!?」


 フローレは暴れ出した冒険者達を止めようとする。

 

 しかし、一人では防ぎきることができない。そこへ花園の冒険者と私以外のスイレンの皆も加勢に入る。


「ヴェルダンディー様を治せるチャンスなんだ……俺達も続くぞぉぉぉぉおおおおおおおお!!」

「邪魔は……させない!」

「ちょっとルーク!早く治してよね!!」

 

 花園の冒険者達は最初の頃のようなボロボロのギルドの中で暇をしている時とは違う。全員が熱い思いを秘めているように見える。

 

 元々情熱的で仲間想いな事は分かっていた。

 ユウリに魔法を教えてくれたり、私達の事も気に掛けてくれた。

 そんな彼らは大切なヴェルダンディーを救うために動き出すしてくれる。


 しかし、人数差が酷い。

 

 元々人気が無くなっていた花園のギルドの団員は20人にも満たない。

 一方で星の欠片は200人以上居る。


 お互いのギルドの総員の数は少ないように思うかもしれないが、ここはハーベスト帝国でも最北端の街。

 

 つまりド田舎だ。


 そんな所で200名ものギルド団員を集める事が出来ているのは凄い方だろう。

 

 このままだと押し負けるのも時間の問題か。

 この戦いは私がヴェルダンディーを早く治せばそれで解決する。


「くぅぅぅううう負けぬ……私は……私はヴェル……シリウスッ!!」


 まだシリウスの人格が表に出ている状態か。

 後少しだと思うんだけどその先が長い。

 

 このまま星の欠片の手が届かないとは限らない。そうなったら私は無謀身のまま……。

 そんなことを考えて居た時だった。


 ギルド花園の支部フローレ……そのギルドマスタースノードロップが私の前に立つ。


「そう言う事なら早く言ってください……」

「マスタースノードロップ……!!」

「ここは私が食い止めます……が、制御が効かないので死なないように全員――」


 スノードロップは有り余る膨大な魔力を解放する。

 その瞬間、辺りは凍り付く。ただでさえ寒い空間がより冷える。


 冷える……?


 私は寒さを感じにくい体質を持っている。

 

 その私の身体に寒さを与える程の魔力……!!


「子供達よ。暴れるのはおやめなさい……永遠の氷檻エターナルブリザード


 息も凍るような冷たい魔法が両方のギルドを襲う。

 2つのギルドは全体が凍り付いてしまい、それに人々が巻き込まれる。誰もかれもが凍りよって動きを封じられてしまう。


 一瞬の出来事だった。


 場は凍り付き、人々の荒ぶる声は氷の中に閉じ込められる。

 

 超級魔法のさらに上に位置する禁忌の魔法。……超絶空間凍結魔法「エターナルブリザード」……詠唱が無かったから被害はこの程度で済んでいたけれど、詠唱ありだとどうなっていたことか……。

 

 少なくともこの街は全て凍り付くはず。


 マスタージャスミンも街全体へ動きを封じる魔法を使っていたし、やっぱりギルドマスターと名乗るだけはある。

 炎にも似たような魔法があるけど、私にこのスピードで展開することは不可能。次元が違う。


「うぐぅぅぅううくそおおおおおぉぉぉぉぉ……!」


 一方でシリウスはそろそろ私の炎で治りそうな所まで来ていた!!

 

 頭を押さえて苦しみながら、彼女は最後の抵抗を見せる。

 

 剣をやり投げの様に持ち、私の方へ投げつけてきた!!


 炎の魔法の維持とリゼルの時に意識して人を癒せば治せることを知らなかったので、今回はシリウスの身体を癒すことに集中していた。

 

 そのせいでその攻撃を回避できない!!

 

 本気で癒そうとするとどうしてもそんな隙ができてしまう。


 やばい――その時だった。


 私の正面に魔法の障壁が張られる。

 その魔法の障壁は剣を防ぐ。


 カランカランカランッ――


 剣が地面に落ちる音と共にシリウスも地面に倒れる。

 

 どうやら私の癒しの魔法が最後まで効いたみたい!


 どうかヴェルダンディが自分を取り戻している事をただ、ただ願うばかりね。

 

 それにしても今の障壁は一体誰が……?

 

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