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第188話 4人目


 星の欠片の冒険者はこの依頼に3人しか参加していなかったはず、……残念ながら一人は死んだ。だからこれで残り2人だと思っていたらもう一人どこに隠れていたのか、突然現れた。

 

 最初の出発は同時だったんだけど、その時にこんな人は居なかった。

 つまり隠れて付いてきたということになる。だけどそんな気配は感じなかったはず。

 

 星の欠片の2人が戦っている中、その新たに現れた人がずっと戦いの光景を眺めている。


 この2人の監督みたいな感じでただずっと見ている……どうして戦いに参加しないんだろう……?


「あっ……アイツからだ……」

「どうしたマツバ?」

「アイツから、俺が追っていた魔力を感じる」

「え……」


 まさか、マツバが追っていた魔力が星の欠片の姿が見えていた3人ではなくて、4人目の姿を隠していた人物だったとは……。

 

 星の欠片の3人は迷わず、この道を進んでいた。もしかしたらあの死んだ男の前にはこの怪しい奴がずっと先導していたんじゃないかな?

 

 魔力を常に感じたのは何かしらの魔法を使って先導していたのかもしれない。そうでなかったら吹雪避けにあの冒険者を使う意味が分からない。

 吹雪避けの前に立って居たら意味が無いからね。


 光の魔法で道順を教えていたのなら、迷わずすぐここまで進んだのも納得できる。

 

「お久しぶりですね」


 4人目の人物は顔を隠しているモノの、声は女性のモノ。それにしてもなんだか聞いたことのある声なんだよね……。

 

「どういう意味だ?というかお前は一体……」

「そうですね……ふふふ」

「何が可笑しい?」

「私の目的を聞いて君達がこの後どうするのか、その行動が気になって気になって……つい、笑みがこぼれてしまった」


 おそらくこの人は私達よりも近くであの膨大な水の攻撃を目の当たりにしていたはず、なのにこの余裕……。

 一体何を企んでいるのか。


 気になってその話に夢中になっていた時だった。


「ネプチューン様!!また来ますっ!!!!」

「おや……」


 ネプチューン……!!


 って確か、私達の学校を襲った魔王教の幹部だよね。

 

 どうしてこんな所に……!!

 

 話の途中だというのにそんなことは魔物には関係ない。背中に背負う花がまるで光合成をするかのように開き始めるとそこへ魔力が注がれる。

 

 周りにある溶岩から魔力を吸っているみたい……。


 このクレーターのような大穴の中には溶岩が溢れている。

 足場の方が広いけど、外の円を囲むように溶岩で満たされていた。

 

 大自然の魔力を使った一撃……おそらくさっきの水の攻撃がくる!!


「皆!俺の後ろへ!!」

「サツキ!どうするの!?」

「水なら俺の聖剣が……!!」


 水を操ることのできる聖剣の力で防ごうとしてくれる。だけど失敗したら最悪ここに居る全員があの男のように吹き飛ばされて……。

 

 さすがにそれはごめんだ!!


「私も魔法で防ぐわ!」

「それなら私も……」

「ユウリは魔力を温存して!最後の決め手になるかもしれないから!」

「わ、分かった……」


 既にユウリの体重は平均的な16歳の女の子と一緒。本来ならそれが普通だけど、魔体症があるから無駄に魔力を使わせることができない。

 

 ここへ来るまでの道のりで大分時間を使ったせいでユウリの体系は戻っていた。

 

 そのため、一番の高火力を一瞬でぶっ放せるユウリは温存する必要がある。

 

 ここは私とサツキで防ぐしかない。


「白百合の盾!!」


 水の攻撃なら炎で受け止めるのは難しいし、ここは「白百合の盾」を使うべきだろう。

 

 大きな亀が背負っているのと同じ百合の花の形をした魔力の塊が私達を守る。

 さらにサツキは水神刀を構える。


 大きな亀の背負った百合の花から凄まじい水の攻撃が襲い掛かってくる。

 

 まずは私の「白百合の盾」が攻撃を防ぐ、ぶつかった瞬間に凄く重い衝撃が伝わってくる。

 

 なんて魔力……!!


 大自然の膨大な魔力を使った重すぎる一撃は私の「白百合の盾」を壊すのにそう時間は掛からなかった。

 明らかな修練不足、もっとこの魔法を深く知っておけばまだ粘れたかもしれない。


 しかし、私にはその不足を補うための仲間が居る!!


「サツキごめんなさい!!」

「十分だよ。勢いは相当弱まった」


 そういうとサツキは水神刀を突きの構えで前に出す。


「散らせ!ワダツミ!!」


 刀にそう指示をすると水神刀に触れた水は周りへ拡散する。

 

 少し離れた場所にある溶岩までその水が届くと、ジュウウウゥゥゥゥ――

 

 溶岩の一部が冷えて固まる音が聞こえる。

 熱い溶岩を一瞬で岩に変えてそのまま貫く勢いを持っていた。あの水の火力がえげつない。

 

 まあそれを抑えるサツキも相当だけど……。

 

 しかしサツキは思ったよりも苦戦していた。


「ぐっ!!」

「ちょ、サツキ大丈夫!?」

「めちゃくちゃ重い一撃だ……だけど俺は、ここに居る大切な友達を死なせない!!うおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!」


 普段冷静であまり叫ばないサツキが叫ぶ。

 

 水神刀はまるでそれに応えるかのように大きな亀の水を吸収した。

 散らすんじゃなくて、吸収してしまうなんてさすが水の神の刀というべきね。

 

 そしてサツキは水神刀に吸収させたその水を逆に大きな亀へお返しする。


「水神刀秘儀、海……」

「そうだ、言い忘れていた」


 サツキが大きな亀を仕留めるという瞬間、まるで見計らったかのようにネプチューンは呟く。


「私の目的はこの魔物……いや、聖獣を殺すことだ」


 聖獣……!!


 その言葉を聞いてサツキは攻撃の手を止めた。

 そうもしこれが聖獣なら私達は殺せない、いや……殺しちゃいけない!!


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