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第173話 他種族たちが住む国


「どうして君が白百合の盾を……?」

「ルークお姉ちゃんて私の本当のお姉ちゃんってことー!?」


 リリィとユリカは私が白百合の盾を使ったことを驚いていた。

 ユリカに関してはなんだか目をキラキラと輝かせて私の事を見つめている。

 

 というかそもそも、これ……固有魔法だったんだ……。


 全然知らなかったんだけど、どうして自分がこの固有魔法を使えるのか分からない。

 バレンタインの炎の魔法を使えるのはまだバレンタインの血を引いている可能性があるから分かるんだけど……。確かに白百合の盾まで来るともう訳が分からない。

 

 あり得るのはバレンタインの血とユリカの血がどこかで混ざっていて私に発現したか。


 いや、そんな天文学的な確率が起こるだろうか?

 

 とりあえず使える理由は特に思い当らないので分からない事を伝える。

 

「さ、さぁ……」


 自分でもどうしてこの固有魔法を使えるのか分からない、ただ()()だけでなんとなく使い方が分かったからで……。

 

 そんな訳の分からない状況の中、ユウリが私の耳を触りながら応える。


「この呪いのせいだよ~」

「呪い……馬車で話されていたルークさんのその獣人化ですね」

「うん、これで……魔……あー剣が使えるようになったんだよね」

「剣……?ルークさんは魔導士ですよね?」


 私はこっちでは魔導士として活動していたから剣を使える事を知らないのか。

 逆にこっちでは剣が使えるようになったと言わなきゃいけないんだ。

 

 自分でやっておいてなんだけどとっても面倒くさい。


 ユウリはそれを分かっていていち早くボロを出さないように伝えてくれた。

 

 まったく、痒い所に手が届くんだから!


「剣が使える事とユリカの魔法を扱えることとはまた別では?」

「あの姿……どこかで見たこと無い?」

「……マスターリゼルを倒した時の炎のお狐様?」

「そう!あの力がより鮮明に表に出てきたんだよ!!」

「なんと!それではまさかあの時のはまだ全力ではなかった!?」

「そう!」

「アマノの国では複数の尻尾を持つお狐様が化けたりすると聞いたことがあります。まさかそう言う事ですか!?」

「そ……そうです!!」

「なんと!」


 ユウリは賢いはずだけど、アドリブでやってくれたんだろう。

 ちょっと無理がある気もするけどリリィが納得しているのならそれでいい。


 それにしてもアマノにもこういう獣人が居るのかな……私は自分の今の姿を鏡で見た事がある。

 これが自分だからあまり何も感じないけど、第三者であれば……見てみたい!!

 

 そんなことを考えて居るとユリカは首を傾げて問いかけてくる。

 

「どういうこと~?ユリカ話を聞いてても分からなかったよ~?」


 私達もどう解釈したのか分からない。

 ユウリは適当な事言ってるけど何故か噛み合っている。

 

 ……納得してくれるのならそれに越したことは無い。

 なまじ知恵があるとこういうミスを引き起こすのか、それともリリィが単純なのか。


 なんにせよ、余計な疑いをもたれることが無くてよかった。


「凄い力ですね~」

「でもルークはあんまり嬉しくないみたいだけど」

「どうして?こんな力があるのに!」

「この耳と尻尾が目立ちすぎるからね」

「なるほど……あの時のお狐ちゃんですね?」

「うん、今回は離れなくて困ってるの」

「……それなら詳しい人を紹介できるかもしれません」


 まさかの目的とは違うけれどハーベスト帝国にルミナとの同化を解く方法があるのだという。

 私達はギルドへ寄ることも忘れてその話に耳を傾ける。


「はい!ハーベスト帝国のギルドマスターにはある特徴があるんですよ」

「特徴?」

「それは皆さんが亜人であることです」

「皆亜人なの!?」

「はい!驚きですよね!!ルエリアのマスターさんだと考えられないでしょ?」

「え……そ、そうね」


 あのギルマスも一応人外だと思うんだけど……。

 元からそうだったわけじゃないからね。


 ここハーベスト帝国のギルドに所属するマスターは皆、最初から亜人だという。


 マスタージャスミンもその一人で、彼女はサキュバスらしい。

 人の動きを封じた魔法はサキュバスの淫魔の魔法で……身体の動きを硬くしたり、誘惑して動きを制限していたという。

 

 響きがちょっとアレだけど、魅了することで動きを封じる魔法と覚えればいい。


「それぞれのギルドには沢山の亜人のマスターさんが居ます!」

「まさか……」

「はい!中には妖魔と人のハーフのマスターさんも居ます!」

「その人を紹介してくれるということですか」


 正直すごくありがたい。

 だけど、私達の目的は中央都市……。寄り道をするのは皆に申し訳ない……。


「一応聞くけど中央都市ですか?」

「いえ、北の方です中央都市よりは近いですが、中央都市へ向かわれるのなら遠回りにはなります」

「そう……ですか」

 

 それなら行く必要はないか。

 皆の時間を使ってまでこの力を取り外そうとは思わない。

 

 それどころか、この見た目さえ気にしなければ私にはメリットでしかないわけだし……。

 しかしそれにフーリアは食いついてしまう。

 

「行くわ!北のギルドへ!!」

「なっ……そんな時間ないでしょ?冬休みを使ってまで……」

「前の襲撃で冬休みは後倒しになった。そのせいで卒業式とも被るから在校生の冬休みは長いし」

「でも……」

「いいじゃない、寄り道くらい」


 そんなフーリアの言葉に皆が頷く。

 なんだか気を遣わせているみたいで申し訳ないんだけど……。


「どうせまた申し訳ないとか考えて居るんでしょう?大人みたいなこと言ってないで、行くったら行く!」


 結構強引だ……でもまあこういうのも嫌じゃない……かな。

 なんだかんだフーリアも皆も私の事を考えてくれているってことだから。

 

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