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第148話 スイレンの剣士


 魔王教団へ行ったエステリア学校の生徒の中にはリゼルと同じ薬を飲まされた子が居るみたいだ。

 ライカ……見た目は確かに女の子なのに仕草やその様相を見るとどこか男性の影が映る。まるでその男性の影が身体を操っているみたい。


「この力があれば魔導騎士(エーテルナイト)を殺せる!!」


 しかし余程、魔導騎士(エーテルナイト)に恨みがあるのかライカ自身の人格も残っているみたい……。

 

 何があったのか分からないけど、あんな奴らの協力している人達なら誰だろうと敵だ!!

 

 あの薬の恐ろしさは嫌という程に知っているからこそ、見逃すつもりはない。

 ルシアスはあまり使い物にならないのでここからはチームスイレンの出番だ。

 

「ショナ、フーリア……いつも通りにお願い」

「任せて!」

「ふん、薬なんかに頼る奴に負けないわッ!」


 フーリアはそんな風に言うが決して油断しているわけじゃない。

 人数の有利な状況を利用して上手く立ち回る。剣術自体はショナとフーリアが圧倒的に上。


 さらにライカの使っている剣は聖剣や魔剣クラスじゃなくて、アーティファクト。

 聖剣か魔剣に選ばれなくて魔力も持たない人に聖剣と魔剣に匹敵する力を与える現代の武器であるけど、二対一を覆すことはできない。


 どんな剣なのか見ただけでは分からないので一度ショナが攻撃して様子を見る。

 ショナとライカの剣が触れる……。


 ショナは雷を使ってライカの身体へ電流を流す。

 並大抵の剣士ならこれでイチコロなんだけど、ライカは雷の電流をもろともしていない。


 というか足を伝って電流が地面に流れているみたい……?


「この感じ……まさか!!」


 ふと何かに気づいたのかショナはライカから距離を取る。

 その慌てた様子にフーリアが驚く。


「ど、どうしたの!?何か分かったの?」

「あの人の剣は恐らくユウリの魔法と同じ大地を操る系だと思う!」

「大地……?」

「私の雷を地面に流されたの」

「良く分かったわね?」

「ユウリに散々やられたからね」


 身近に同じ属性の魔法を使う子が居るるからこそ一瞬で気づくことができたわけか。

 という事は……。


「私は相性最悪だからフーリアにお願いしないといけないかも!」

「そう言う事ね。私が全部終わらせるわ」

「負担掛けちゃうけどサポートはするから」

「……邪魔にならないでよね!」

「ふふ、任せてよ。剣術ならフーリアにだって負けないんだからっ!」


 しっかり全線で剣士の2人が一緒にカバーし合いながら戦ってくれる。

 おまけに凄く雰囲気が良い。

 3人は私ばかりに頼っているというけれど、案外私が居なくても大丈夫な気がしてくる。


 ちょっと寂しいけど、今はそんな余計な事を考えずに戦いに集中する。

 

「風よ切り裂け!!」

「今の()の硬さを舐めるなッ!!」

「言っておくけど私はあなたの事を舐めていないわよ」

「ん?」


 フーリアがそう言うとライカの背後にショナが周っていた。

 雷の剣の性質上、雷を地面に流されらたら一切ダメージを与えられない。それでも人の身であるのなら剣の刃くらいは通る。


 雷を使わないと若干動きが鈍いけど、それでも手数で押し切る。

 ライカはフーリアの剣を受け止めながら同時にショナの剣も避けて、さらに魔法で勢いを殺す。


 ライカのさらに頑丈な身体は威力が無くなった剣の刃を通さない。

 ショナは息を切らしながらも剣を止めない。


「無駄だ!お前なんかの剣で僕の身体は傷付かない!!」


 戦況はこちらが有利に見えるけど……確かにライカの身体は傷一つ付いていない。

 凄まじいほどの耐久力、それは魔法で補っているんだろう。


 ここに来て魔導騎士(エーテルナイト)と魔法か剣のどちらかしか使えない人との差が生まれる。

 

「ユウリも同じ属性の魔法を使うよね?なんで大地の力を使う人はこんなに耐久力があるの?」

「大地から魔力とは違う力を貰ってるからかな?」

「力……?」

「生命力って言うのかな?私達大地の魔導士は、大地に魔力を与える事で大地から生命力を分けてもらうんだよ」

「それであの耐久力があるのね……」


 一方的にショナの剣を受けていても傷一つないのは瞬時に生命力を貰って治癒している。

 聖剣の力を使えない斬撃じゃ大地のアーティファクトを攻略できない!!


「ってわけでもないかもね」

「え……?」


 ショナは息を切らしながらもずっと延々とライカの身体を斬る。

 ライカの服こそ破れているけど、チラッと見せる肌に傷はない。


「無駄よ!もう諦めたら?」

「へへ……」

「何笑っているのよ?」

「口調……エステリア学校の生徒だった時の女生徒ライカに戻ってるよ」

「な、何を言って――あれ……ここは、いや知ってる……けど、うっ!!」


 確かに言われてみて気づいたけど口調が戻っている。

 表情も若い子みたいな特有の焦り方で隠せていない。


「まさか……ずっと力を削いでいた?」

「だね、さっきも言ったけど魔力を生命力へ変換するのが大地の魔導士、という事は剣士は……」

「剣の力を封じてその力をずっと消費させ続けていたのね」

「耐久力はあるけど消費する魔力が半端じゃないんだよね!それなら精霊の力も同じ位大量に消費するんじゃないかなってねっ!」


 ……どうしてライカの人格が戻ったのか分からない。

 そもそも彼女は自分でも気づかない間に口調が戻っていた……。


 もしかしたらまだ完全に薬が効いていないのかもしれない!!


「ユウリ……面倒かもしれないけど、あの子を助けるよ」

「え?そんなことできるの?」

「分からないけど……命を無駄に散らせたくないの!!」

「……きっとショナも同じことを考えるかな……わかった。できる事なら何でもやるよ!」

「ありがとう!」


 フーリアとショナがライカの力を削ってくれた!

 次は私とユウリが戦う番だ!!

 

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