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第145話 襲撃の魔王教団


 誕生日を祝ってもらい意外な……いや友達でも異常なプレゼントをもらった日の翌日。

 

 休日はまだ1日あるので、今日はギルドへ用事があるから早く支度しないと……光が差し込むカーテンの方を見つめて考える。

 

 しかしすぐにいつもとは少し違う感覚が自分の身体の上にあるのに気づく。

 いつもなら少し硬めのベッドで目を覚ます所を私は今、4人部屋のリビングの床で目を覚ました。


 お腹の上にはルミナが堂々と乗っていた。

 

 そのため腰や肩が痛くてたまらない。

 昨日、私が誕生日だという事を教えなかった事でショナは怒っていた。それを鎮めるためにあの後はずっと起きて遊んでいた。


 娯楽などは少ないものの、話しているだけで時間が過ぎていき気づけば眠っていたようだ。他の3人はまだ眠っている。3人の寝顔を確認してから顔を洗うために洗面所へ向かう。

 

 ほっぺがいつもより赤い気がする。

 

 床で眠っていた時にどこかで圧迫していた?いやでもお腹の上にルミナが乗っていて動ける状態じゃなかったはずだけど……。


 顔を洗うと水が流れる音を聞いて他の3人も目を覚まし始める。

 寝起きは皆、同じように可愛らしく目を擦りながら各々顔を洗いにこっちへ来る。

 私は一足先に服を着替えて支度する。


 昨日の長い話の中で今日もまたギルドへ顔を出そうという事になった。

 部屋へ戻って服を着替え、出て行くと顔を洗ってシャキッとした3人の少女達が立っている。


「準備万端だね」

「まあね」

「……」


 そんな私の様子を見てフーリアは何故か顔を赤くしていた。


 どうしたんだろう……?


 そんなことを考えていると不意に――。


「私がプレゼントした……奴もう履いてるのね」

「え……まあせっかくなので」

「ふーん」

 

 親友と思っている人からのプレゼントを無下にはできない。

 フーリアが新しい下着を付けている事に気づいたのは胸を潰すためのサラシを巻いていなかったからだろう。


 それだけ違いがあるという事か、視線を落とすと確かにちょっと膨らみが……なんか意識すると恥ずかしくなるのでやめよう。


「ちなみにその下着は魔法で小さく見えるようにできるよ」

「ありがたいけど、それって需要あるの?」


 そう口にしたけど、自分でありがたいと思うのなら需要はあるか……。

 

 そ誘拐なんかも大きい方が狙われる気がするし、色々考えてみると色んな方向へ需要があるみたいね。

 

「さぁ?でもそれを使えばサラシで胸を潰さなくていいでしょ!」

「まあ……でも学校では使えないね。魔導騎士(エーテルナイト)が多くなっちゃったから魔法を使うとバレちゃうし」

「……な、なん……くっ!!」

 

 フーリアは床に手を付いて落ち込んでいる。

 そんな大袈裟な反応を見て戸惑ってしまう……。実は私のために役に立つものを選んでくれたのかな。


 それか自分の胸が小さいから私もそう見えるようにしたかったとか……。


「変なこと考えたでしょ?」

「……いえ、全然……」

 

 これをフーリアに言ってしまえば最後、私は殺されるだろう。

 馬鹿な事は考えず、話を誤魔化すために部屋を出る。


 ギルドに着くと、冒険者になりたての頃はあまり居なかったのに最近はずっとギルドに顔を出しているギルマスに会う。

 

 暇なのかな?


 とりあえず挨拶だけしておこう。

 

「ギルマスおはようございます」

「今日は来たのか!」

「はい、ギルマスはずっと居ますね?暇なんですか?」

「そんなわけないだろう!子供の身体だからか私に無理をさせまいと休むように言ってくるんだ」


 中身は100歳を超えるおばあちゃんだけど、見た目は小学生くらいだから。

 それならちょうどよかった。昨日ベガから聞いた話をギルマスにも伝えよう。魔王教団のマレフィックという男について何か知っているかもしれないし。


「魔王教団に魔導騎士(エーテルナイト)が協力……それはまた面倒な……」


 革新派の魔導騎士(エーテルナイト)が敵に回っていると考えるとゾッとする気持ちはわかる。

 王様よりも権力を持った人達の過激派だしね。

 

「しかし、妙だな」

「妙ですか?」

「ふむ、魔王教団はだいぶ捕まえたが魔導騎士(エーテルナイト)と繋がっているという話は今まで聞かなかった」

「口が堅いのか一部しか魔導騎士(エーテルナイト)の存在を知らない?」

「それか……」

「ギルマス?」


 ギルマスは他に何か知っているみたいだったけどそれ以上は口にしなかった。

 

 憶測を私達冒険者に伝えて混乱させたくないという考えだろう。

 憶測の域を出ないのなら聞いて損する場合だってある。


 そのことを考えてギルマスは捜査を続けるという。


 マレフィックの話は一旦ここで切り上げて別の話に切り替える。

 

「それはそうとお前達、今日は依頼を受けてくれるのか?」

「はい、そのつもりです」

「そうか、この前は巨大ワニの死骸が無かったから上級として認めるわけにはいかなかったが、近々試験をしようと思っている」

「本当ですか!?」

「大変な試験になるが受けるのならお前達も候補だから覚えておくように」


「「「「はい!!」」」」


 試験なんてあるのを初めて知ったけど、そう言う事ならまた頑張らないとね。

 そのためには依頼をこなして認められないと!


 そんなことを考えているとギルドの扉を慌ただしく開く冒険者が血相を変えて入ってくる。


「はぁ……はぁ……ギルマス(ばっちゃん)大変だ!」

「どうしたそんな慌ただしくして……」

「巨大ワニが居た沼地を魔王教団が占拠してるらしいんだ!!」

「……どうしてそんなことを!?」

 

 今日はのんびり依頼を受けようと思っていたんだけど、どうやらそうもいかない事態みたいだね。

 

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