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第139話 女神との戦い


「遺跡!?なんでこんな所に……」


 先程まで沼の中に沈んでいた巨大ワニが覆いかぶさっていた事で気づかなかったんだけど、それを退かした事で遺跡のようなモノが姿を現した。

 しかしその遺跡の形には見覚えがある。


「……鳥居?」

「何それ?」

 

 3人は知らないみたいだけどこの遺跡は手前に鳥居、そして奥に祠が見える。

 遺跡と判断したのは周りの岩に文字が掛かれていたから、さらに祠の前には刀を模した岩の像が立っている。


「あれ……?ルークは鳥居を知ってるのか?」


 遺跡をずっと見ていたら背後から聞いたことのある声が近づいてきた。

 サツキだ。そしてその姿を見たフーリアは当然の如く私を何故か庇うように立つ。


「なんであんたがここに……まさかさっきの魔導騎士(エーテルナイト)は!!」

「違う違う!!アレは革新派!俺達の敵だって!!!!」

「ふーん」


 敵ということは無いと思うけど、しかしどうしてこんな所にたまたま居るにしては不自然な場所だよね。

 一応疑うような目でサツキの事を見つめているとそれに気づいたサツキは観念して話してくれた。


「たまたま街で見かけて、外へ行ったから付いてきてしまった」

「えぇ……」

「お、俺もそんなつもりはなかったんだが……何かあったら助けられるようにと思って!!」

「じゃあなんでマレフィックの時は出て来てくれなかったの?」

「あ、あぁ……アイツとはあまり顔を合わせたくない……」

「どうして?」

「アイツは革新派でも名の通った人物で実力は俺を超えている上に一番好戦的だから……おそらくあの場へ出て行けば戦闘は免れなかった」


 結果的に戦闘はすることなく穏便に済んだ……そのことを考えるサツキの判断は間違っていなかったのかもしれない。

 

 その話が本当なら仕方ないけど、付いてきたというのはちょっと怖いというか。


「ストーカーね」

「ち、違うからな!」

「慌ててるのが何とも……」

「だから……本当に、俺は心配で……」


 何故か私の方を見てそんなことを言いだす。心配されるほど弱くはない……巨大ワニくらいなら私達で何とかなる。


 そんなことを考えているとサツキは話を変える。

 

「そ、そう言えばルークは鳥居を知ってるんだな?」

「え、ええ……まあ」


 それって多分前世のだよね……。

 ここでは話せないかな……。

 

「え?ルークはルエリアのバレンタイン出身でしょ?」

「あ、あぁ……そうか……なんでもない」

「……何それまた何か隠してるの?……ムカつく」


 私がその秘密を話すことは無いと確信していたフーリアはいら立ちを見せる。

 これを話すと転生してきたことを説明しなきゃいけないのでそれはもう少し……先……にしたい……。


 フーリアに睨まれ続けていると精神がおかしくなりそうなので祠へ意識を向ける。

 そこにはこれまた懐かしい文字が書かれていた。


「なんでこんな所に……」

「ルークもやっぱり読めるんだな」

「ま、まあ……」


 ただ当然の如く、3人は日本語なんて見ても分からない。すると祠に書いてあることをサツキが音読する。

 

 ――


 昔々の話、ルーク=バレンタインという世界最強と謳われた剣術を使う魔導騎士(エーテルナイト)が居ました。

 ルークは眠りから覚めた悪い女神を倒すためにこの地へやってきた。


 悪い女神はルークの姿を見て言いました。


()()会いましたね」

「ん?悪いがオレはお前を知らない」

「ふふふ、それは寂しいですね。しかしまだ足りませんね……」

「何を言って……」

「私はあなたの事を手に入れるためにここへやって来ました」

「なんだと?」


 悪い女神が復活した目的はルークを手に入れる事でした。

 それまでの間、悪い女神はまるでルークを誘き出すかのように世界で暴れている……自然を燃やし家を破壊し人を亡き者にする。


 2人の激しい戦いは始まった。

 ルークが剣を振るえば地面は焼け爛れ、女神が魔法を使えば大気が揺れる。

 

「さすが世界最強の剣士にまでなったお方……私のために強くなってくれたなんて嬉しい」

「お前のためじゃないが……お前を倒すために強くなったというのならあながち間違えじゃないかもしれないな」

「そういう冷静で淡々としている感じも好きよ」

「どうしてオレを狙う?」

「私に捕まってくれたら教えてあげる」

「断るッ!!焼き尽くせッ!炎帝刀|〇〇〇〇〇(文字が潰れていて読めない)!!!!」


 黄金色に輝く炎が刀に収束していきます。

 それを見た悪い女神は不敵に笑う。

 悪い女神が手を空へ掲げると魔法陣と共に一匹の炎の鳥が現れました。


「これは不死鳥……いくら殺しても死にませんよ」

「なら灰にしてやるッ!!」

「あはっ!カッコいい~!!」


 不死鳥がルークに襲い掛かる。不死鳥は炎となりルークの身体を覆った。


「なっ……!?」

「騙されたぁ~!ダメじゃない邪神の言う事を信じちゃ」

「お前……!!」

「こわ~い、女の嘘は許すのが良い男なのに」


 不死鳥の炎から逃れられず、身体焼けて行くのを感じて何もできないルーク。

 悪い女神は人間が耐えられる限界まで炎で焼き尽くす。

 

 それを分かっていても逃れられない炎の塊に苦戦するルーク。

 大きな山も無い平地から3人の仲間達がルークを助けに来ました。


「何してるんですかルーク様!!」


 その姿を炎越しに見つけたルークは叫びます。

 

「お前ら……どうして……いやここへ来るなッ!!」

「1人で行くとは思っていましたから……今までの経験上……ね」


 赤色の髪の女性がルークの事を愛おしそうに見つめて言いました。

 それを見た悪い女神は先程までとはうって変わって表情が強張る。


「お前は……ちょうどよかったまずは女狐!お前を殺してあげるわ!!」


 悪い女神が言うとルークに纏っていた炎が赤髪の女性へ移ります。


「まさか……!邪神、止めろ!!」

「やめてほしければ観念して私の方へいらっしゃい」

「くっ……」


 もはやこれまでという所、赤髪の女性はルークの足を引っ張るまいと驚きの行動を取りました。


「これ……不死()なんですよね?」

「ええ、絶対に死なない不死の鳥よ」

「だけど鳥ってことは食べられますよね?」

「……何を言っているのアナタ」

「せっかく炎で燃えているのなら好都合……です!はぁぁぁぁぁぁぁああああああ!!」


 その瞬間、女性は息を大きく吸って炎を吸い上げ始めました。


「ちょ……何してるの!?バカなの?私が水魔法で助けるから止めなさい!!」

「いや……あいつはやると決めたらやるからな……ルーク!とっととその邪神を倒せッ!!」

 

 当然それを見ていた仲間達は止めるよう彼女に訴えかけますがそれを聞こうともせず、吸い込み続けました。


 しかし炎の身体を持つ鳥は実態も無ければ無限に炎を吐き出すのでなかなか消えません。

 

「やめてくれ……!お前が死ぬくらいなら……!!!!」

「私は……大切なあなたのためならば喜んでこの身を捧げます……!!」

「やめてくれ……!俺もお前が……大切なんだ……死んでほしくない!!!!」

「――ッ!本当ですか!?」

「ああ!だから――」

「じゃあ死ぬ気が無くなりました!ですが、死んでもこの炎は私がモノにします!!」


 炎を吸い込む勢いが増し、赤髪の女性の膨大な魔力が不死鳥の炎を圧縮する。そして炎は赤髪の女性に飲み込まれました。


「ふぅ……喉が焼けそう……」

「君の身体はどうなってるんだ?」

「えへへ、でもこれで私は生きていますから!これが終わったらプロポーズ待って居ますねっ!」

「それは俺の知る限りフラグなんだが……」

「フラグ……?」


 しかしこれで勢いづいたルーク達は悪い女神を倒すために4人で力を合わせました。

 

「いや……こっちの話だ。やるぞ皆ッ!!」


「「「「「おおおおおおおおおおおっ!!!!!!!!!!!」」」」」


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