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第111話 助っ人


 数時間前~

 

 ルークがバレンタインの街へ向かおうしていた時、ギルドで一通り話を聞いたフーリアとショナ、ユウリの3人はルークの帰りをずっと待って居た。

 アナさんに会えたのならすぐにギルドへ来るはず……3人はそう思っていました。


 アナが居なくてもすぐにバレンタインの街へ向かいたいはずだから結局すぐにギルドへ戻ってくる。そのはずなのに1時間くらい経ってもルークが帰ってこない。

 フーリアはトントンッと地面を踏み鳴らす。


 何かあったのかと心配する一方でルークなら多少の問題でも何とかなる……フーリアにとっては図々しい女狐だけど、人を超えた力を貸してくれる特殊な生き物も居るから。

 アレが居れば魔王教団に襲われたとしてもむしろ返り討ちにするだろう。


「ルーク遅いね」

「……そうね。まったく迷惑かけないで欲しいわ」

「あはは、素直じゃないなぁ」

「何が?」

「さぁ……?バレンタインの街を襲ったのはアーミアさんで魔王教団と繋がってるかもって言ってたし」

 

 素直な所を見せる事に慣れていないのは認めるけど、だからってきつく当たった事なんてない……よね?


「フーリアもルークの気持ちをいい加減分かってあげて」

「……分かってるけど?」

「まだ掛かりそうね」

「何が?」

「その顔だよ!」


 フーリアはどうしてそんなことを言われているのか分からず困惑する。

 

 こんなに不安にさせて、戻ってきたら文句言ってやる。

 そう考えているとギルドの扉が開く、ようやく来た。フーリアは扉の方を見つめて近づいていく。

 しかし、扉が開いたのにそこに人はいなかった。


「は?何、イタズラ?」


 怒りのあまり、扉を思いっきり閉めたその時――。


「コォーンッ!!?」

「ん?」


 扉の下の方から何やら動物の声がする。視線を下に落とすとそこには扉と壁の間から尻尾がはみ出ていた。

 それ見たフーリアはやってしまった……誰かのペットだったら怒られるなんて考えていた。

 扉を開けるとそこには見たことのある狐が涙目になってフーリアを睨んでいた。


「あ……あんたならいいわ」

「くぅうん!!!!!」


 まるで言葉が分かているように怒り、フーリアの頭に飛びついてきた。

 顔を引っかかれる。


「何すんのよッ!!」

「あれ?ルークは!?」

「フーリア!それルミナだよね?」

「見ればわかるでしょ」

「う、うん?でも尻尾の数と頭の輪っかが無いよ?」

「は?ん~」


 フーリアは嫌いな狐の事をあまり良く見た事がありませんでした……そのため毛並みが白いのは覚えてるけど、大体こんなもんじゃないの?と首を傾げる。


「こんなもんじゃないのあの狐って」

「ま、まあそれ以外はルミナだと思う……多分」


 ショナは不安そうに言う。

 よく見てみると最初の印象と違う何なら偽物かと思っているような見た目をしている。

 魔物っぽい見た目じゃなくなり、普通の白い狐。


「なるほど……ねぇ女狐?」

「……」

「ちょっと女狐!!」

「……」

「……ルミナ……?」

「クゥンッ!!!!」

「……」


 どうやらあの女狐で間違えないみたいとフーリアは確信した。

 突然引っかかれてルミナを手から放してしまう。

 そしてルミナはギルドの外へ出て行った。


「ちょ、待ちなさいよ!!」

 

 逃げていくルミナを追う。外はまだ明るいけどそろそろ日が沈みそうだ。

 するとすぐ近くの馬車の待機場で止まったのでフーリアはルミナを捕まえた。


「もう逃がさないわよ!ルークはどこ!!」

「クゥゥン!!!」

「喋りなさい」

「クゥン……」


 ルミナの可愛らしい鳴き声も今のフーリアにとっては不愉快な雑音でしかなかった。

 無茶を言うフーリアをショナは必死に止めた。

 

「フーリア、それは無茶だよぉ~」


 ルークがどこへ行ったのか知ってそうだけどそれを聞き出せないんじゃ意味が無い。


「この辺りで魔力の残滓が残ってるわ」

「ユウリそれは本当!?」

「うん、知らない魔導士のとルミナの」

「つまり私達が来る前にルミナはここに居たのね」

 

 ルミナが魔力を使うってことは何かあったはず。

 辺りを見回して誰か情報を持っている人が居ない確認する。

 そしてある違和感に気づいた……あまり人が居ない。


 馬車の待機場の奥で何やら揉めている人達が居た。


「おい、馬車はまだかよ!?」

「す、すみません。馬が居なくて……」

「馬車を操る奴が何で馬を飼ってねーんだよ!!」

「そ、その……サジタリオン様が急がないといけないから貸してくれって……」

「……サジタリオン様が?」

「どうやらバレンタインの街へ向かうみたいで2人の少年と1人の少女を連れて行ったんだ」

魔導騎士(エーテルナイト)様達か?まあサジタリオン様なら仕方ないか……」


 先ほどまで騒いでいた人達はその言葉を聞いて掃けて行った。

 その隙を見て馬車の運転手に駆け寄る。


「ちょっと!その少女の特徴は!?」

「な、何だね君達は!?」

「いーいから!!特徴は!!」

「あ、赤い髪でサジタリオン様と会話をしてた……話し方はオドオドしていたかな」


 赤い髪だけじゃ何とも言えないけど話し方がオドオドしているのはルークだと3人は確信した。

 

「ルミナ!ルークはそのサジタリオンに連れていかれたの!?」

「クゥン!!」


 男3人にルーク1人が攫われた……それが事実ならフーリアは気が気でなかった。

 それも魔導騎士(エーテルナイト)に……。


「はあああああああぁぁぁぁぁぁ!?ショナ!ユウリ!!私達もバレンタインの街へ向かうよ!!」

「お、落ち着いて!馬車も無いのに……」

「走る!!」

「無茶を言わないで!ジャスミンの街からアルストロメリアの街へ向かう距離の何倍あると……」

「じゃあどうすんのよ!!」

「そ、それは……」


 私達だけじゃすぐにバレンタインの街へ向かうのは難しい……。

 

 分かってる分かってるけど……ルークが攫われたのなら何としても急がないと!!

 フーリアがそんなことを考えていた時だった。


「おこまりのようね。あなたたち」

「誰!?」


 後ろから可愛らしい声が聞こえる。

 振り返るとそこにはギルドの受付嬢……と赤ん坊。


「てを かすわよ スイレン のこたち!」


 その言葉を発しているのは赤ん坊の方だった!?


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