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レベル1の落第生が異世界でレベル上げ代行サービス  作者: りっきー局長
第4章 フォーリオス帝国(ピアノ街)編
46/57

Exp.43『二面性』



 転送魔法(ワープユニット)にかけられて……それから。

 

 ――!


「アンシア!」


 ――――――ガチャリ!

 ――!


 俺の両手、両足は、鎖で繋がれていた!

 ガチャガチャと外そうとするが、金属音が響くだけ。


 鍵は、二重ロックされており、アンシアと繋がれたはずの手錠は床に落ちていた。


「アンシア!」


 もう一度呼ぶが返事はない。

 どこにもいない!


 独房の空間には、1人ということを理解した。


 ……。


 さらには、声がよく通ることから、広い空間の一部に閉じ込められていると分かった。

 しかもその空間は、よりにもよって地下であろう。

 ひんやりとしていた。


 ――――ガチャリ、ガチャ。

 ――――――――――――――ガチャガチャン!


「外れろ!」


「動揺しているようですね……」


 ――!


「アンシアさんはいませんよ……」


 のそりと姿を現したのは、薄だいだい色の長髪に、白肌、青い目。

 そして、ポーカーフェイス。


 ――フェローチェ!


「アンシアはどこだ!」


「……」


「答えろ!」


 俺が眼光を(とが)らせたところで、何の効果もなかった。

 フェローチェは、すまし顔をしているだけ。

 いつものことか。


「大丈夫ですよ。アンシアさんは、我がリーリー・ピアノ術式学校で、ご丁寧に取り扱っていますから……」


「信用できるわけなっ!」


 ――!


「キョウヤ、君は一体何者なんだ……」


 フェローチェは、独房の鉄格子をすり抜けて上から(おど)すように問いかけた。


 ――――――ガチャリ!

 反撃をしたいのだが、両手足の鎖で動けない。


「――さぁ、なんだろな。まったく。でもさ、お前は。いつでも無感情」


 ―――――――!


「お前こそ何者で、目的はっ!」

  

 ――ぐふぁっっ……!


 フェローチェの蹴りを腹部に食らった!


 久々にもらった物理攻撃はじわじわと効いてくる。


「今日はやけに感情的なんだな……」


 ――ぐふぁっっ……!


「――チッ! 話しにならない!」


 フェローチェは、怒りの表情を見事に表したのだった。


「ッ! ところで、本当にフェローチェなの――か?」


「……」


 ――ぐふぁっっ……! ゴホゴホ、ゴホ……。

 ついには吐血した……。


「――君は危険人物として(うわさ)になっているんだよ。我々の間でな……」


「われわれ……だと?」


 ――ぐふぁっっ……!


「君を殺したい集団だよ……」


「君は、レベル1。とっくに死んでいるはずなのに、なぜ!」


 ――ぐふぁっっ……!


「それどころか君は、深淵(せいいき)(のぞ)こうとまでしている。それは許されない!」


 ――ごふぁっっ……!


 ――!


 次は顔面の殴打。


「ドゥゲール王国の出身とか……なにかか?」


 フェローチェの目は汚らしいものを見るように引きつって!


殴打魔法(ナックル)!」


 ―――――――ガシャリ! ――バン! 


 見えない鉄拳(てっけん)とでもいえようか? 魔法攻撃で俺は、鎖に繋がれたまま吹き飛び壁に激突。


超殴打魔法(ハンマー)!」


 ―――――――ドガンッ!


 ――Exp Set Up Level Cover REVIVE ON――


 ―――――――くっっぅ!


「なぜ、君は死なないんだ!」


 俺の体の中では、経験値がうごめき、再びレベル1に戻す。

 あの時のように……。


「――チッ。まぁいい。ここで殺すことはしない」


「だから、それまで眠れ! ()()()・シンフォニー!」


「……レベッ」


 それは、狂気としか感じない旋律!


 ――うっっ!

 紫色のオーラが、真っ先に俺の口元を塞いできた。


 

 息が吸えない……!



 ――――――――――――――。



 戦意喪失というのは……意識が朦朧(もうろう)として……。


 もう、苦しすぎて、もがき苦し……抵抗さえも……。


「サイコ・シンフォニー!」


「回復まほ……の発どうおと……これ……か――」

 

 ……――――――。





 ――――――LEVEL SERVICE――――――







 そして、俺の目は覚めるのだった。


 4日後……。


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