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レベル1の落第生が異世界でレベル上げ代行サービス  作者: りっきー局長
第4章 フォーリオス帝国(ピアノ街)編
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Exp.42『沈黙の装い』



「誰の命令だ?」


「それは……言えない」


 俺の問いに対して警備部隊は、(かたく)なな態度を取っている。


「……なぜここに俺たちがいると分かった?」


「……」


銅の杖(ブロンドスケール)ですか」


 アンシアは、警備部隊の男性に、真剣な顔もちで正面きった。


 すると、うぅ~と(うな)って言葉に詰まる警備部隊の2人。


「とにかく、来てもらわないと困る!」


「いつまでかかっている……」


 ――!


 暗闇から見知った声がした。


「すみません。この者たちが……理由を言えと……」


 暗闇から出てきたのは、フェローチェだった。

 ポーカーフェイスの冷めた男。

 暗闇から現れたものだから、いつもの数倍怖い。


 俺のことを一瞥(いちべつ)すると、ギルド施設を警戒し――。


「こんなところに、呪いの音の被害者がいるとは……」


 レイリックに目が留まったようだ。


 そして、ギルド施設の中にズカズカと入り込み、ため息である。


「どうして、患者を連れてこなかったのですか……」


「すみません、それは」


 リトミコが恐る恐る答えた。


「すみませんでは、すみませんよ……」


 ――――――――――――。


「気持ちよく眠っていたから特に呪いの音の被害にあっている、とは考えなかったんだ」


 ――!


「逆によく、この勇者レイリックが、呪いの音の被害を受けていることが分かりましたね。知り合いですか?」


 ――!


 フェローチェの表情が少々引きつったように見えた。


「睡眠中にも、特徴的な効果があるのか?」


「――そうだな……こいつの顔に似ている奴が、病院から逃亡して見間違った……」


 畳みかけたのだが、スルリと交わされた。


 アンシアは、さらに問い詰めようとしていたが、俺は止めた。

 証拠がないので、みっともない水掛け論は避けたい。


「そうなのか。では、他に聞きたいことがあるけどいいか?」


「なんだ……」


「どうして、俺たちがここにいると分かったんだ?」


 警備部隊が答えることができないなら、その上司に聞くしかないだろう。


「………………」


「時間がない。こいつら2人を運べ……」


「待って、ください! この旅人2人が何をしたというのですか」


 リトミコが、最後の抵抗を見せてくれた。


「あなたには、関係ないです……」


「関係なくないです! これからクエストを請け負ってくれる旅人なんです。客を取らないでくださいよ」


「治安維持が優先ですので……」


「でもですね!」


「いや、このギルドの受付さんとは無関係だ」


 リトミコは俺たちを守るために必死だったのだろうが、俺はフェローチェの流れに乗ることにした。

 

「だから、ここでの戦闘や尋問的なものは避けたい」

 

「ですよね。治安維持が大切ですよね。ごめんなさい」


 そうしてリトミコは、静かになった。


 俺にとって好都合の状況になった。

 敵の懐に潜り込むチャンスである。


「さて、行きますよ……」


 フェローチェの掛け声で、俺とアンシアは、手錠で繋がれた。


 手錠に明らかな術式が隠れて! 


転送魔法(ワープユニット)……」


 フェローチェは、静かに唱えた。



 ――――!


 ――コロンッ!


 地面には、銅の杖(ブロンドスケール)が静かに一本転がった。


 ――――――LEVEL SERVICE――――――




 



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