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レベル1の落第生が異世界でレベル上げ代行サービス  作者: りっきー局長
第1.5章 トリアトン帝国(ティレンテ市街)編
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Exp.10『汚染』




 俺たちはコウゴウ草原を抜け出して、太陽が(かたむ)き始めたころ、アルフェ村で状況を理解した。


 老人はスラムという名であり、コウゴウ草原近くのティレンテ市街の住人であること。

 

  ティレンテ市街(しがい)がゴブリンによって(おびや)かされていて、助けを求めるために走っていると、コウゴウ草原でゴブリンに(おそ)われたこと。



 全てを(ふま)まえた俺たちは、スラムに案内されてティレンテ市街に到着。



 ティレンテ市街の建物は、ところどころ緑色に汚れており、地面もべちゃべちゃしている。


「おい、なんだこの生臭(なまぐさ)獣臭(けものしゅう)は!」


俺は、(そで)で鼻と口を(おお)い、アンシアも同じような行動をとった。。


「ゴブリンですよ。わしは、もう()れましたよ」


「す、すごいな」


 ……まずは空気を清浄(せいじょう)しないと。


 レベル30。俺は空気結界(けっかい)で一時的に空気を()ませた。



 街を歩くと(ふん)()しゃ物が鎮座(ちんざ)し、静まり返り、2、3人(ほど)しかすれ違わなかった。


 スラムを含めて、住人の皮膚色は悪く、貧弱である。


 ゴブリンの()き散らす感染症ぽいな……。


 (あご)に手を当て推測する俺の様子を見て、アンシアはひらめいた顔で期待の目を向けてきた……。

 しかしやっぱりきつい臭いであり、すぐに顔をうずめた。

 アンシアの(つや)やかな金茶髪が、濁って変色して見えるのは、気のせいか?


「ここが、街の役所じゃ」


 ……なるほどな。


 役所も他と変わらず、(よご)れて(くず)れかけている。


 アンシアは、力が抜けてみたいで横でクターとしている。

 絶対に()べたに座るなよ! 頼むぞアンシア。


 すると、スラムはゆっくりと口を開いた。


「ダメそうでしょ。帰ってもいいですよ……ありがとうな」


 (さび)びれた顔は、疲れきり、途方に暮れていた。


「……いや、話を聞こうか」


 小さくつぶやいた。




――――――LEVEL SERVICE――――――




 俺たちは、役所の5階。

 応接間に招待(しょうたい)され、四角いテーブルを囲い、椅子に腰かけた。


 ここは、とても奇麗な部屋であり、街の様子を窓から眺めることができる。

 建物の影には、ゴブリンが数匹うろちょろし、遊んでいるようにも警備しているようにも見える。


管轄(かんかつ)している国には相談したのか?」


「トリアトン帝国が、今は……無理だと。2か月は放置されておる」


「ギルドのクエスト依頼は?」


「どの冒険者も街に入った途端(とたん)に汚れ仕事は嫌だと……」


 ……そうか。


「異変はいつから、ですか?」


「そうじゃの。ラテーラ火山の地殻変動……じゃろうか。あ~」


「それが起きてから、街は(くる)ってしまってなぁ。確か水が(にご)り始めてしまったあたりですな、ゴブリンが姿を現したのは……あ~」


「地殻変動……か」


「なにか、分かりますですか、キョウヤさん」


「さらには、ティレンテ市街では地震が……多くて、昨日だって一日に10回ほどで」


 ――地震!


 ……だったら、アルフェ村だって揺れを感じるはずの距離だろう……。


「……地下、水路が(あや)しいな」


 もしかすると、地震の影響は、自然的ではなく、なにかが……?


「キョウヤさん、私は、住人に回復魔法(ヒール)をするといいですか?」


「そうだな……。だけど一時的な解決方法に過ぎないから」


「重傷者は何人だ」


「把握できていません……」


「そうか……」


 回復魔法(ヒール)をするよりも、根本をどうにかしないとな。


 多分、この街の水路とゴブリンの生息域(せいそくいき)が、地殻変動によってつながってしまった。


 そして、この街は、食料が安定しているので、ゴブリンは市街に流れ、住人を襲ってこの地域をぶん()ろうとしている。


「少しばかりだが、分かったよ」


「本当ですか」


「ああ」


「とにかく、時間がない」





――――――LEVEL SERVICE――――――



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