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Exp.0『主人公の不幸』

「これくらい片づければ、街もモンスターに襲われないかな」


 キョウヤは、短剣を振り下ろし、額の汗を拭った。

 夕日を背に、鍛錬(たんれん)と言う名の警備を終了したのだ。

 日課である。


 木陰に置いてある麻袋を回収し、帰路(きろ)についた。


 俺の()みかは……? というと自身がモンスターみたいだが、俺の小屋は街にある。

 住みかと言うに、似つかわしい場所である。


 街に入ると、硬いタイルの地面が続く。

 さっきまで柔らかな土の上を走っていたので、感覚が少しだけ鈍った。

 


 それと同時に「出た、キョウヤだ!」

 ……。


「あいつ、どんなに頑張っても『レベル1』だぜ」


「どんだけ、強くなろうと必死なんだ、無理無理!」


 街で『キョウヤ』と名の付く者は、俺一人。 超有名人であった。


 もちろん悪い意味でだ。


 青年であるのに『レベル1』であるからだ。


 俺は、どんなに頑張っても、認められることはない。

 それどころか罵倒される日々だった。


 街を歩くと、住民は俺を見てひそひそと話す。


「あいつだっけ? レベル1なのに学年主席だって、絶対にチートだろ。ズルしてんだぜきっと」


「おい、ズルしてますって、カンニングしてますって! 体を売って成績を稼いでますって言えよ!」


「おい! おい! 聞こえてんだろキョウヤぁああああ」


 ゲラゲラと笑う同年代の生徒たち。

 

 俺はうつむくだけ。


 小屋に着くと誰か来ていた。


「……ただいま どうした?」


 顔を見ると、親と剣術学校の先生、街役場の人であるとすぐに分かった。


「急にどうしたんだ。俺は元気にしているけど」


 いつものように麻袋を玄関に置き、部屋に入ろうとした。


「チート人間!」


 ――!


「え?」


 時間が止まった気がした。

 と、思ったら成績表=能力表が叩きつけられた。


「どうして、いつまでも『1』なんだ!」


 父は、壁を殴った。


「急に、どうしたんだよ。おい……」


 その瞬間!


 バァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!


 空は真っ赤に染まった。


 轟音と共に、火球が天井をかすめたのだ。


 火属性(フレア)魔法『火球』!


 急いで、小屋の外に出ると、魔導士が一人。


「何をしてんだ!」


 丸眼鏡をあげて、ヘラりと笑う魔導士。


 ――バシュ!


 俺は一本の矢を退(しりぞ)けた。

 (かす)かに毒の臭い。


 射ったのは父であった。


「この街から出ていけ恥さらし、お前みたいな無能は必要ない」


「劣等生、学校の不名誉!」


 紫色の電撃が飛んできた

 ――――――ビバババババババババババババババ!


「ぐあぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」


 ――――――ビバババババババババババババババ!


 背後からの電撃(ショック)魔法が、俺に直撃。


「お前みたいな雑魚は、この街にはいらない!」


 ――――――頭上!


 武闘家が、殴りかかってきた。


 俺は、すかさず避ける。

 ――――――地面は陥没。



「そんなことは、無いだろ。学年主席だし、依頼なら誰よりも多くこなしているだろ……」



 俺はギリリと足を鳴らし、冷静に、冷静に……警戒した。

 練習以外で、対人をしたことが無いからだ。


 弓使いの父、剣術の先生、派遣魔導士、派遣武闘家 VS 俺。



「黙れ! チート!」



「キョウヤ、はっきりと言ってやる! ……お前は剣士として!」


「誰かを守ることはできない」


 ――――――――――――――――。


「つまり! 生きている価値はないのだ…………」



 フッ――!



 見逃さなかった。微かに感じる風の流れと殺気。

 俺は半身になることで小刀を交わした。


 毒が塗られてある。


「死ね! キョウヤァアアアアア!」


 斬りかかってくる先生。


電撃(ショック)魔法……」


 俺は短剣で受けきった。


「死ね。キョウヤ!」


 先生の剣を()わすと、先生は建物の壁に激突。


 どうする……。

 戦っても意味がない! 


 バゴンッ!

 武闘家の蹴りを、腕一本で耐えた。


 と思ったら、電撃魔法が乱れ撃たれ……――――――!

 それを、全て交わし!


 置いてあるベンチに回し蹴り。


 魔導士を下敷きにした。


 突っ込んでくる武闘家の股下を素早く潜り抜け、足を引っかけ回避。


 しかし最後に立ちはだかったのは、父。


 俺の頬を、矢がかすめた。

 毒……。


 このままでは殺される!


 俺は街から逃げた。





 ――――――LEVEL SERVICES――――――





 どんなに頑張っても(むく)われることはなくて、いつだって見える数字だけで判断されて、俺の中身を知ってくれる人などいない。


 野蛮な世界に放り出され、災難はさらに降り積もった。


「う、噓だろ、ちょっと待てよ」


 俺は、最悪な裏切りを最後に受けた。


 スカウトを受けて、このギルドに入った……なのに。


 奴隷になる、なんで……。


――――――LEVEL SERVICES――――――


「良かったよ♪」「面白かった」「続きが読みたい!」

そう思われた、あなた様へ


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また、 ブックマーク をしていただけるとレベルが1上がりそうです。

どうか、よろしくお願い申し上げます。


では、またお会いしましょう。ありがとうございました。




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