六:小さな変化
「やあ、フィーネ」
「こんにちわ、ディーノ」
家族で畑を作ったり、日によっては家を建てる手伝いをする日々。ちょっとした変化が訪れた。
怪我をしていたフィーネを助けてから、時々彼女がそこを訪れるようになったんだ。
「もう機織りはいいの?」
この村の女の人たちは、十四か五にもなると、機織りを仕事にして生活している。とても有名な織物で、もう数少ない、女の人主体の織物組合が残っているくらいなんだって。
フィーネは筋が良いらしく、将来、有望な織物職人になるだろうと期待されているみたい。
春夏は女の人も畑をするんだけど、彼女はずっと機織りをしているんだって。
「今日はどうしたの?」
「うん、あのね?」
田舎の村では、教育なんてものはない。だから数はかぞえられても、計算ができない。何とか名前は読めても、名前すら書けないのは普通。
フィーネは僕が読み書きが出来ると分かると、習いに通って来ているんだ。ただ、それは機織りのない日に限られている。今日は、機織りがあったはずだよね?
「織り終わって、早く終わったんだね」
「そうなの。それでね、ディーノが家の事が終わったら、また、計算を教えてほしくて来たの。
仕事が終わったら、計算を教えてくれないかしら?」
「良いよ。もうすく終わると思うから、ちょっと待ってて」
まだ家を建てるお手伝いの途中だから、フィーネには待っていてもらう。フィーネは、畑へ向かうみたい。姉さんとおしゃべりするようだね。
姉さんと母さんとも、いつの間にか仲良くなっているから。これも、フィーネが来るようになって、ちょっと変わった事なんだ。
◇
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