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五:家の建設開始

「今日から宜しくお願いします」


「おう、任せてくれ」


 僕とお父さんは領都の親方さんの家に瞬間移動し、もう集まっていた職人さん達に(こうべ)を深々と下げる。


 今日から家の建築が始まるので、お迎えにあがったんだ。そしてご挨拶をすませると、建設予定地までとんぼ返りした。


 職人さんたちを運ぶと、残っている親方さんと資材を瞬間移動で運ぶ。


「ほう! もう地均(じなら)ししてあんのかい!」


「魔法を使えばすぐなので、差し出がましいかとは思いましたけど済ませておきました」


「後、これでもそこそこ建築をしてきたからな。手伝えることならなんでも手伝う。遠慮なく言ってくれ」


「いやいや、助かるってもんだ! 整地もうちの奴らがすると、二日はかかる。それがもう終わってるなんざ、ありがえってもんよ!」


 ◇◇◆


「おめえさんら、本当に素人か?」


 朝の休憩に入ると、親方さんにそんな言葉をかけられた。


「冒険者家業をしてたから、いくらかお手伝いした経験はあります。でも素人ですよ」


「ああ、本業は冒険者だ。その子が言ったように、家は建てるのを手伝った事しかない」


 僕とお父さんの返事に親方さんに職人さんたちは目を白黒させて驚いている。


 親方さんは大きく息を吐くと、職人さんたちを見渡しながら声を張り上げた。


「おう! おめぇら! 払いも良い上に朝と昼の休憩に、昼飯まで食わしてくれる! 手伝いは俺たちより腕が良いときてる! 職人の意地を見せて、最高の家を作るぞ!」


「おお! もちろんでさ!」


「ガッテンですよ!」


 なんだか気合が入ってるなあ……。良い家を建てて下さるみたいだから良いかな。


 僕はにこにこしながらお母さんとお姉ちゃんが差し入れしてくれた焼き菓子とお茶を頂きながらそれを眺めた。お父さんもにこにこしてる。


 畑に目をやると、お姉ちゃん主体で畑仕事をしている二人が目に入る。


 種を小さな……鉢? に植えてるみたい。んー、お姉ちゃんが新たに仕入れた栽培方法を試してるのかな? 


 ◇◇◆


「一日でかなり進みましたね」


 夕方、キリの良い所で大工仕事を終えた素直な感想はこの一言に尽きる。屋根の途中までできたら上出来かと思ってたんだけど、屋根が出来る所までが終わったんだ。


「おう! 皆が奮起して取り組んだからな」


「冬までにできたら良いんで、無理しないで下さいね」


「そうなのだわさ」


 お母さんとお姉ちゃんも驚いている。


「旨いメシと、休憩の差入の礼。それに何より、素人の手伝い二人に負ける訳にゃいかん!」


「本職さんにそこまで言ってもらえると、手伝いさせてもらってる甲斐があるぜ」


 お父さんは親方さんの褒め言葉に満足げだ。


 親方さんと職人さんたちを領都まで送ると、お父さんと以前にも潜ったお肉のたくさん出る若い迷宮へ潜る。


 明日は火曜日で、お爺ちゃん店主さんとの卸しの約束の日だからね。卸す物を用意しなくちゃ。


 行きは瞬間移動で迷宮の前までぱっと移動。二時間くらいで一階は殲滅終了。うん、程よい運動だ。


「帰りは適当に獲物を狩りながら歩いて帰るか」


「そうだね。ちょっと魔物が増えてるみたいだし、そうしようか」


 お母さんとお姉ちゃんには、迷宮へ行くから帰りは遅くなると伝えてある。だから予定より遅くなっても、そこまで心配されないだろう。


 そうしてお父さんと村への道を徒歩で進む。途中、魔物もでる事なく半分ほどの距離を歩いただろうか。


「! 魔物か?」


「うううん、瘴気を感じないよ。動物……? も、違うかな?」


 少し先の、背丈のある下生えの茂み。そこに何かいる気配を感じる。


 魔物でも動物でもなさそうで、かえって慎重に距離を詰める。そして茂みを掻き分け、がさっと言う音と共に悲鳴があがった。


「……女の子?」


「あれ? 君、同じ村の女の子だよね? もう暗いのに、こんな所でどうしたの?」


「ひ、人、だった……。良かった……っ」


 茂みには、同じ村の女の子が隠れるようにして蹲っていた。そして僕たちを認めると、あからさまにほっとしている。


 ◇◇◆


「……ん、これで足は平気?」


「ありがとう。うん、もう痛くないわ」


 女の子、フィーネは薬草摘みをしていて足を痛めてしまったそうだ。痛む足で村を目指して歩いていて、僕達の立てる物音を魔物や獣かと思って隠れたんだって。


「もう真っ暗だしな。俺たちの家に瞬間移動して、そこから家まで送るよ」


 歩いていた理由については、魔法が下手で発動する時としない時、どの程度発動するかもバラバラなのだそうだ。今日は全く発動しないらしい。

 そのため、無理をして歩いていていたそうだ。


「二人とも、掴まってね」


 お父さんの言った通りにするため、僕は二人に掴まるようお願いする。そして、二人が掴まると、家まで瞬間移動してからフィーネを家まで送り届けた。


 これが僕とフィーネの出合いだった。

お読み下さって有難うございます。

お楽しみ頂けましたら幸いです。


面白かった、良かったなどお気楽に、下の

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