表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/6

一:久しぶり

 僕の村は、僕が子供の頃にドラゴンに滅ぼされた。


 両親が僕だけでも助かるようにと、井戸に投げ込まれて九死に一生を得た。だが、僕は井戸から這い上がれず死ぬんだと諦めていた。


 そんな時、先代英雄が村に着いて助け出された。


 先代英雄である養父は、養父の知るすべてを僕に教え育ててくれた。

 いつか両親の、村の仇を取りたくなったら仇を取れるように。冒険者として生きて行けるようにと。


 そんな養父のおかげで、僕は村を滅ぼしたドラゴンを、パーティの仲間たちと見事討ち果たせた。


 元来のんびり屋の僕はこれで十分。ドラゴンスレイヤーとなり、ひっきりなしに来る指名依頼なんていらない。


 旅に出た後、養父も亡くなっている。なら、どこか故郷に似た村でのんびり暮らせればいいよ。

 だって、そういう性分なんだから。


 ◇ ◇


 ◇ ◇ ◇


「あーーーっ!! いた!!」


「うわ、本当にいる!!」


「ディーノ!!」


 のどかな辺境の、片田舎の村に似合わない絶叫が響き渡る。驚き振り返ると、そこには懐かしい面々が揃っていた。みんなが叫ぶのなんて珍しいな。


「やあ、みんな。久しぶり。元気そうだね」


 僕、ディーノは元パーティメンバー達に、にこりと微笑んで挨拶をする。挨拶はどこへ行っても、誰にでもするものだ。そしてそれは笑顔であれば、なお良い。


「ディーノ! 探したのよ」


 この女性はお母さんみたいな人で、魔法使いのサラ。


「まったくだ。俺たちも田舎でのんびり暮らすって言ってたろ?」


 こっちの男性は、お父さんみたいな人で、魔法剣士のダグラス。


「何はともあれ、元気そうで良かったの」


 この女性は姉さんみたいな人で、ヒーラーのツェリ。


 僕達はパーティでありながら、家族のような関係を築いていた。ちゃんとお別れは済ませたんだけど、こんな田舎まで会いに来るなんて。忙しいだろうに、嬉しいな。


「やっと家族がそろったわね。これからはゆっくり、みんなで暮らしましょう」


 サラが僕を抱きしめる。続いてツェリも僕をサラごと抱きしめる。


「かわいい弟を、もう一人っきりにはしないの」


「ああ、みんなで暮らそう。家族なんだからな」


 ダグラスは大きな手で、僕の頭を優しくぽんぽん撫でてくれる。


 そっか。ドラゴンを討伐し終わっても、僕達は家族だったんだ……


「うん。みんないなくて淋しかったよ。これからまた宜しくね」



 こうして、大陸に一組か二組しかいないドラゴンスレイヤーのパーティメンバーが勢ぞろいした。田舎暮らしに不似合いな、一級品の武器防具をまとった村人の誕生だ。

 空には微かな煙の臭い。僕達の未来を暗示させるものだったようだ。

お読み下さって有難うございます。

お楽しみ頂けましたら幸いです。


面白かった、良かったなどお気楽に、下の

☆☆☆☆☆

にて★1から★5で評価して下さいね!


続きが気になった方は、ブックマークして下さるとすっごく嬉しいです!


感想や応援メッセージもお待ちしてます!


◆◆こちらはまったり、不定期更新となります。◆◆

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ