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竜門の十哲~最強の10人は再び集う~  作者: 柊 楓
第1章 19歳-チル村編-
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第2話 『無系統』のすゝめ

「どの系統の魔法にも適性がなく、それを行使できない者」


一般人、さらにいえば魔法に造詣(ぞうけい)が深い研究者でさえ「無系統=魔法が使えない」。そう理解してきた。魔力を可視化する研究はかなり難しく、いくつもの間違いが生まれてしまうのも仕方の無いことなのだろう。ただ、勘違いで産みの親に見捨てられてしまった者にとって、何としても正したい間違いだった。


私は産まれる前の「魔力量測定」にて、相当高い記録を出したらしい。「魔力量測定」はその名の通り、体を媒介に溜められる魔力の最大量を調べることだ。高ければ高いほど良いと思ってもらえればそれでいい。

「それなのに『無系統』とは、宝の持ち腐れだ」

とは産みの父親の言だ。


父親の家系は代々魔剣士を輩出してきた、所謂名家だ。質の高い剣技に、バフや錯乱、あるいはもう一つの攻撃手段として使われる魔法は、剣士のアドバンテージであった距離を潰し、「魔剣士」を弱点のない『最強』の役職と言わしめた。


代々『最強』を育ててきた名家から、「ただの剣士」などという落ちこぼれは出したくなかったのだろう。その家風にふさわしくない者を養子に出すなんて、最近じゃよくある話だ。


当然私も、一生魔法が使えないものだと思っていた。


あれははっきりと記憶に残っている。帝国の兵士に追い詰められ、咄嗟に伸ばした手から魔法が出た瞬間。12歳の男子が招集された3日後のこと。


生まれて初めて、魔法が使えたのだ。


驚いているこめかみを、剣の腹で殴られてすぐに気絶してしまったのだが。


後にいろいろ試したところ、『無系統』が決して魔法を使えない訳では無いとわかった。


『無系統』とはすなわち、「得意な魔法属性がない」ことである。得意じゃないだけ。魔法の発動が他の人より難しいだけだった。


今では、血のにじむような努力の結果でほとんどの魔力を他人より上手く扱える。晴れて私は「魔剣士」になれたのだ。


最近では「無系統の魔剣士」の私が【プラチナ】級冒険者になったことで、再研究が行われているらしい。とても嬉しいことだ。





そうこう考えているうちに、いつの間にか空が藍に染まっている。


冬の日没は早い。出来れば日が暮れぬうちに村をみつけて宿で一晩越したいが、見つけられなければてきとうな木の上で寝るしかあるまい。


ここ2日連続で木の上キャンプ。


カチカチな幹の上では絶対に気持ちよく寝れない。モンスターの急襲に常に警戒しているため体力も魔力もあまり回復できない上、ここら一体は虫が多い。


獣があまりいないため、被捕食者が増え続きているのだろう。ここまで獣を見ないことも珍しい。


夜の冷たい風が体を包む。


出来れば村につきたいなと強く願う。


11月の冷気は絶えず襲いかかり、私の体力を奪いにくる。寒さを我慢して、飛行(フライ)のスピードを上げた。


もう少し厚手の服を買っておけば良かった。食料や水は変化・生成魔法・無限空間(インフィニティ)に収納してある分で足りるが、暖を取れる物が少ない。魔法で火を起こしてもいいが、ろくに魔力を回復できない状況で、あまり魔力を使いたくはない。


こういう時パーティなら手分けして探せるのだろうが、前述の通りなので私は不平を言わない。


「...べっくしん!!」

不平は、言わない。

【キャラ紹介】


ジン・クラウド


帝国歴260年

コルト公国(現在のジグルド帝国領)の魔剣士の名家クラウド家の三男として産まれる。


19歳に至るまで、家族との別れを3度繰り返し、人付き合いを奥手としてしまう。


父親譲りの長身に切れ長の目、母親譲りのスラリとした体型に整った顔立ちは同業者の女性に人気。ただし、基本無言のためパーティなどで同席した女性には最速1分で逃げられた経験あり。


灰色にくすんだ髪と青みがかった眼は、彼が純コルト人であることを示す。


【プラチナ】級単独型冒険者、2つ名「孤高」

冒険者組合の評価は「他人との連携が苦手な最強の魔剣士」

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