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【再掲】奇妙な五人組の物語  作者: 榎木 岳
第一章 『城下にて』
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第一話 『五人組』

 よく晴れた春のある日の昼下がり。いつもと変わらない美しい街並みの城下。きれいに舗装された石畳に生える一輪の花。行き交う人々は楽しく話ながら、または忙しく歩きながら、歩いていく。

 ひしめきあって建ち並ぶ家々の中に一際人を集めている場所があった。『楽器修理、販売』表に出ている看板にはそう記してあった。なぜ楽器店に人が集まるのか。この国では楽器がブームでも、数少ない楽器奏者がすぐに楽器を壊すというわけでもなかった。だが、店の前から聞こえる黄色い声で、その理由がわかった。

「クロくん今日もかっこいいわね」

「あらヒロガの方がかっこいいわよ」

「綺麗よね、シロさんとシルさん」

 この楽器店を美男美女が経営している故に、用がなくとも野次馬感覚で人々が店の前に人集りができるのだった。その店内では五人の男女が働いていた。

 笑顔で接客しているのがシル・フィオラティス。腰まで伸びる美しい銀髪を1つに結い上げ、前髪は赤いピンで止めてあった。五人の中で彼女が一際目立つのは銀髪だけでなく、かなりの長身でもあったからだ。

 シルの横でもくもくと掃除をしているのがシロイラ・アルドリレイズ。黒い髪をハーフアップにし、身長は小さいながらも、この国では黒髪は珍しく一際存在感はあった。首には白いイラ(襟巻きのようなもの)を巻いており、手には指先だけ穴の空いた手袋、ワイシャツジーンズエプロンにブーツという真冬の格好をしていた。

 カウンターで作業をしているのが、ヒロガ・フォレスティオ。茶髪にクロスさせたピン、片耳ピアスにネックレスといういかにも遊んでいるような男を連想させるような格好をしているのだが、本人は女性を苦手としており、冷や汗をかきながら対応していた。

 ヒロガの隣で楽器の修理をしているのが、クロイラ・アルドリレイズ。シロイラの双子の兄なだけあって顔もそっくりだ。クロイラもシロイラ同様、黒いイラに手袋ブーツと似た格好をしていた。

 最後にクロイラの横で居眠りをしているのが、ハルヴィン・ヴァケラオンドだ。金髪に翡翠色の瞳を持つ珍しい顔であるが、伸びた前髪で左目を隠しており、唯一見える右目も固く瞑っていた。

 この五人がこの楽器店を営んでいる、こんな場所になぜ美男美女が集まっているのかは謎だったが、実はこの五人の本当の正体は内乱から国を守るための兵士なのである。


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