第1章 6話 フォルティナ
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フォルティナに出会って2日後、フォルティナの故郷であるエルフ国。別名、バンディナ王国。
森の中に位置し結界が外壁に張り巡らされており、エルフたちにしか見えないという代物である。
「本当にぼくが来て良かったのでしょうか...」
イーバンは人族嫌いなエルフが人族である自分を受け入れてもらえるとは思っていなかった。
「大丈夫よ。わ《・》た《・》し《・》がいるだから!」
フォルティナは自信満々に言っている。
そして、さっきまで森の中にいたと思っていたのだが、
急に巨大な門が見えた。
門番はフォルティナを見た瞬間、泣きながら帰還したしたことを喜んでいた。
(フォルはいったい何者なのだろう)
そして、すぐに馬車が用意され王城まで行くことになった。
イーバンは歩くと言っていたが、フォルは頑なに隣に座りたいと駄々を捏ねて、イーバンはしぶしぶ馬車に乗った。
馬車の中だは、フォルはずっとイーバンの腕に抱き着いており、イーバンはまるでアリスのようだと思ってしまった。
ーーーー数刻----
「さぁ、着きましたよ」
フォルはイーバンにそう言うとすぐに馬車から降りイーバンの手を引っ張った。
そして、そのまま王城の中へと入っていった。
フォルは勢い良く扉を開け
「パパ!!!」
そう言うと、一目散に父親らしき人に飛びついて行った。
「え。フォルティナなのか!?」
父親は驚きが隠せないようだった。
「うん!そーだよ!!ただいま!!!」
フォルは父親にそう言うと、父親を始め周りにいた多くのエルフたちが号泣したのだ。
「本当によかった....よかった」
父親と抱き合っていたフォルも泣いていた。
----数分後ーーーー
急に目つきが変わって全員がイーバンを睨み始めた。
「なぜ、人族がここにいる」
暖かい空気が急に冷め切った。
「パパやめて!イーバンはね、わたしを山賊から助けてもらったし、それに隷属の首輪も解除して死にそうな状態のわたしに回復魔法もかけてくれての。だから、他の人族とは違うの!!」
フォルは今まであった事情を父親に話した。
「そうだったのか。すまない、少年。娘の命の恩人に今みたいな無礼な態度を取ってしまい申し訳ない」
そう言うと、父親はその場で土下座をした。
「あの、頭を上げてください!!助けたくらいで大袈裟ですよ」
イーバンはすぐに頭を上げさせた。
そして、イーバンは父親に奥の部屋へと案内された。
「本当にこの度はありがとう!何かお礼をさせてれ!!」
父親はキラキラした目で言ってきた。
「いえ、自分は下賤の身。娘さんを送ったあと、すぐにこの国を出る予定ですのでお礼なんて結構ですよ」
イーバンの言ったことにフォルは驚き、
「なんでいなくなるの...。一緒に居るって約束したじゃん!!!」
フォルは相当怒っていた。既に涙も流している。
(なんで泣いているの?)
イーバンは不思議に思った。
(しかし何故、王城に父親がいるのだろう)
「あの、フォルは王族の人なの?」
「うん!わたしのパパはこの国の王様。わたしはいわゆる皇女に当たるかな」
イーバンはフォルが皇女だと聞いた途端、膝をつき謝罪を述べた。
「皇女でしたか。すいませんでした。下賎の身分である自分なんかが一緒にいてしまって……」
普通、市民と王族は一緒の場所にすら立てない。ましては下賎は論外なのである。
「やめてよ!わたしたちエルフは身分差とかはほぼないの。人族は身分で全てを決めたがるじゃない?それが嫌いなのよ。だから、そういう事はやめて!」
「分かったよ、フォル」
イーバンは渋々受け入れると、フォルは笑顔を向けた。
この後、イーバンには自室が与えられ明日にもう一度フォルとフォルの父親と母親と話をすることになった。
「今日は疲れたなぁ…」
独り言を言うと、『コンコンッ』とドアがなった。
中に入ってきたのは、フォルであった。
「どうしたの?フォル」
モジモジしているフォルにイーバンは尋ねた。
「その、寝れなくてだから…その、一緒に寝て欲しくて」
「え!?でも、ぼくたちそういう関係じゃないし…」
イーバンは驚いていた。
「いやいやいや!違うよ!!ただ、一緒に寝るだけ!!」
フォルは必死に弁解する。
「なら、全然いいけど。いいの?ぼくみたいな下賎と寝て?」
「イーバンがいいの!!」
(ーーーー可愛すぎる)
この夜2人は添い寝をしたのである。
そのあとの悲劇を知らずに…。