第1章 2話 剣姫
なぜこんなことになったのだろうか。イーバンは考えた。
「あのー、アクエリアス様。離れていただけると助かるのですが......」
「ア・リ・ス!そう呼んでって言ってるじゃん。あと王都につくまでこのままのつもりだから」
アリスはイーバンに抱き着いたまま言った。
「で、でも...その僕は下賤ですし。アクエリアス様は貴族
様ですからお礼のつもりで嫌でもに抱き着いてるなら立場のためにもやめてください」
「嫌じゃない!!むしろ、その....逆っていうか..」
「え?何て言いましたか?」
後半の声が小さすぎて聞こなかった。しかも無性に顔が赤いような.....。
「何でもない!!!!」
アリスはなぜ怒っているのだろう。そんなことを思
っていると、王都についた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「ただいま帰還しました、ゲイオス様」
「よくぞ戻った、アクエリアスよ」
アリスが頭を下げている者の名はゲイオス・ゴン・ウィーン。このウィーン大帝国の王様だ。
「アクエリアスよ、その者は?」
「わたくしが魔物に殺されそうになったとき、助けてくれた者です」
「イ、イ、イーバンと申します」
何で王様がいるんだよ。緊張して口ごもってしまった。
「そんなに緊張しなくてもよい。ワシはお主がどんな身分だろうと対応を変えるつもりはない。お主はこの国の剣姫を救ったのだからな。この国を代表して礼を言う、ありがとう」
ゲイオスは深々と頭を下げお礼を言った。
「そ、そんな。たまたま通っただけなので、そ、その頭を上げてください」
「イーバン、私からも改めてお礼を言わせてくれ。ありがとう」
ゲイオスに続きアリスも頭を下げてお礼を言ってきた。
「いえ、たまたまでしたので、たまたま」
イーバンは少し照れくさくなり、顔を下げた。
「もう1つ、ゲイオス様には伝えなくてはいけないことがあります」
「なに要だ?」
アリスは緊張しているのか、顔を赤くしていた。
「どうしたのだ、アクエリアスよ」
アリスは決心したのだろうか真剣な顔になった
「わたくし、ロクデオン・フォン・アクエリアスはここのイーデン様と婚約を結びたく思います!」
イーバンは固まった。
「やはり、そうじゃったか!さっきからイーバンのことをジロジロ見ておったからの。ワシも賛成じゃ!幸せになられよ」
「はい!幸せな家庭を築き上げます!!」
「ちょ、ちょっと!なんで勝手に話が進まってるんですか!」
横のアリスを見てみると、ヨダレを垂らしながらウヒウヒ言ってるじゃんか!何を想像してんだ。
「だって、惚れたんだもん...。あなたがどんな身分であろう
と私のこの気持ちは一生揺るがない自信がある」
「で、でも.....」
僕こんなこと言われたの初めてだし....。確かに美人だ。絶世の美女であるのは間違えない。でも、僕の身分ではゃ....。
「僕と婚約するとアクエリアス様への見る目が変わってしまいます。それでもいいんですか?」
「そんなの関係ない。あなたと一緒ならどんな目で見られてもどうでもいい!!」
こんなに思ってくれているのか。僕はなんでこんなに悩んでいたのだろう。情けないよ。
「わかりました、これから末永くよろしくお願いします。ア、リス...」
「はい!!旦那様!!!!!」
アリスは輝いた表情で言った。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
僕は今アリスが住んでいる屋敷にいるのだが、あまりのもデカすぎる。
そんなことよりも、アリスの様子がさっきからおかしい。僕をずっと見て嬉しそうに笑みを浮かべている。
「どうしたの?ア、、リス」
また、やってしまった。アリスって言うの緊張すんだよな。
「んんんんーーーーー!!!またアリスって言ってくれた!好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き!!!!!!!」
「グフッ!」
アリスがいきなり飛んできた。腹の溝にクリティカルヒットしてしまった。
「旦那様は今日からここに住むのよね?いつでもし放題。ぐふふふふッ~~」
なんかいけない事を聞いたような...。
「ううん、自分で部屋を借りて住むつもりだよ」
「絶対ダメ!!!四六時中ずっと一緒にいないと嫌だ」
アリスがやけに怒ってるな。
「分かったよ。ずっと一緒だよ」
「うん!!好き好き好き!!!!!」
アリスはデレデレ子なのか?王都をあとにしてから異常なのだが...そんなことを思っていると
「ドンドンドンッ」
荒くドアがたたかれた音が響いた。