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それでも勇者は帰りたい  作者: かつお節EX
第1章 転移と魔導
9/19

模擬戦トーナメント

「え、8級魔導師向けの模擬戦闘トーナメントですか。」

突然の提案に大河は驚いて聞き返した。


「はい、ここのところ大河様には伸び悩みが見られる御様子。私とばかり戦っていては戦闘経験にも偏りが生まれてしまいます。今ならば武器の扱いに関しては8級魔導師に並ぶと見て良いでしょう。一カ月の鍛錬にしてはよく伸びた方だと思いますよ。」


指導が始まって早1ヶ月。魔導の伸びが見られない大河はカリキュラムの変更を余儀なくされていた。半月が経過した時点で既に、体術と武技の習得に重きをおく時間配分で鍛錬をしていたのである。


「そんな物があるんですね。でも、なんだかコテンパンに()()()()未来しか見えませんよ。」大河は少しいじけて見せた。しかし実のところ結構イケる気がしている。


「ええ、その通りだと思います。」しかし、大河の本音とは裏腹に、先ほどの言葉は肯定されてしまった。


「え、あのー、ちなみに私はどういった理由で負けると思われているんでしょうか。」己の力に多少の自負があった大河は、その発言の根拠を聞かずには居られなかった。


「どうやらお忘れのようですが、魔導師とはその名の通り魔導を行使する者のことです。これは体術や武技を用いた戦闘であっても変わりません。魔導を碌に使えない身で勝機を見出せるほど、エルドリア王国の魔導師は軟弱ではありませんよ。」


そう、この国における『魔導師』とはいわば軍人である。基本的に彼らは素手でも相当強い。その上魔導を使うと言うのだからますます侮れない相手となるのは至極当然である。そしてこの国が長年、人の世で強い影響力を持つことができた理由の一つが、まさにこの充実した魔導戦力の存在である。


ちなみに8級魔導師とは、半年以上の見習い期間を終えて実戦投入される魔導師の最低ランクである。見習い期間を終える基準の一つとして、基礎魔導の一つである『身体補助』を習得している必要がある。


『身体補助』を使うと、筋肉への負荷の低減や、体表面の強度上昇が出来る。多少の打撃や斬撃に対処できるほか、力んでも通常より疲れないため、戦闘に恐怖心がある人でも思い切った動きができる。軍人の卵達にはもってこいの魔導というわけだ。


「ご自分と同程度の武技や体術を扱う相手が、魔導を用いることでどこまで強敵になるのか体験する良い機会ですね。死力を尽くして抗ってみるのも良いでしょう。ちなみに大河様が勇者であることは未だ国家機密です。


そのため、意欲のある魔導師見習いが後学のために参加したことになっております。くれぐれも勇者の力を発動させて騒ぎにならぬようお願い致しますね。」


「でも、トーナメントだったら初戦敗退した場合一回しか模擬戦しない訳ですよね。」


「そこはご安心ください。トーナメント表の1,2回戦敗者については裏で自由に模擬戦ができることになっております。こちらは最低でも2回の参加が義務付けられておりますが、大河様は一試合がすぐ終わると思いますので4回ほど参加すべきでしょう。」


なんだかこれから集団リンチにでも合うような気分になった大河は、スイロンに非難の眼差しを向けつつ聞いた。

「そのトーナメントはいつ始まるんですか?」


「明日の昼から始まる予定です。今日は鍛錬の代わりに会場設営と武器の運搬を手伝うと致しましょうか。」


「、、、前から思ってたんですけど、私って国賓なんですよね?」







一話ごとの分量を多くすべきか検討中です

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