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それでも勇者は帰りたい  作者: かつお節EX
第1章 転移と魔導
8/19

魔導

面倒なところは読み飛ばしてもらって構いません。

最後の方に大河が魔導を苦手としている理由が載ってます。

ここで、この世界における魔導のあり方について説明したい。


よくある考え方として、「各個人にはそれぞれ魔力の総量が決まっていて、それが尽きるまでは魔法を行使できる」みたいものがある。この世界においてもこの考え方を元に魔導を研究する者は存在する。


しかし実際の所、この考え方は少し異なる。こちらの世界にも魔素というものが存在しており、この魔素の消費量に応じて魔導の規模や効果が強くなるという傾向はある。


しかしこの魔素、基本的に個人の資質に応じて蓄積量が異なるということは無い。さらに言うなれば、優秀な魔導師が体内に存在する魔素を用いて魔導を行使することは稀である。


どういうことか。実の所、人が蓄積できる魔素の量は高が知れている。したがって大規模な魔導を行使するには不足なのだ。そういうわけで優秀な魔導師は、大気や地中など周囲の環境から魔素をかき集める。


そして、集めた魔素をなんらかの現象に変換する事で魔導の行使を実現するのだ。このため、単位時間あたりに集めて変換できる魔素の量、言うなれば魔素の収集・変換速度こそが魔導師としての力に差を生むのである。


さらにもう一つ、重要な考え方がある。

それは魔導師の魔素変換効率である。一つ例を挙げよう。照明に使用するものには電球、蛍光灯、LEDなどが存在する。これらは同じ電力を消費したからといって同様の明るさになるわけではない。


電球の場合消費した電力の多くは熱エネルギーになってしまいロスが多い。一方のLED照明は熱エネルギーとしてのロスが電球と比べて極めて少ない。このためLEDは、電球よりも少ない電力消費で照明として機能するのである。


魔導も同様で、如何に魔素の変換効率を上げられるかが、重要になる。これについては本人の鍛錬と、魔導への理解の深さがものを言う。


最後にもう一つだけ。

電池と電球を回路として繋ぐと電球は光る。この電球をモーターに変えればモーターが回る。電熱線に変えれば電熱線が熱くなる。このように電気エネルギーが別のエネルギーに変換される。


魔導の種類とは、自分と言う名の魔導回路にどのような変換機能を付加するかによって変わるものである。そして電球とモーターの変換効率が異なるように、同じ魔導師でも行使する魔導によって変換効率が変わってしまう事があるのだ。魔導の得手不得手があるとしたらこれが原因だろう。


―――


さて、ここで少し話題を変えて、体内に蓄積される魔素に関するを説明しよう。先ほど優秀な魔導師は、周囲の環境から魔素を集めると説明した。したがって魔素が遍在することはご承知頂けたと思う。


このため、日々の飲食や呼吸などを通して無意識のうちに体外の魔素が取り込まれる。地域によって大気や地中に存在する魔素濃度は異なるので、摂取量には地域差があるが基本的にはそこまで顕著な差がない。


この世界の人間は、魔素の遍在する世界で生まれ育ってきた。したがって、肉体を構成する物質と魔素が結びつきやすい傾向にある。一方の大河は魔素のない世界からやって来たため、体に魔素が定着しづらいという特徴がある。


したがって日々の飲食や呼吸で魔素を取り入れてもほとんど定着せずに体外に放出されてしまうのだ。長期の滞在によって筋肉や骨、神経に至るまでこの世界由来の物質に置き換われば、大河と現地人の魔素蓄積量にはなんらの差異も無くなる。


しかし現状では、この魔素の定着を阻害する体こそが、彼の魔導習得を妨げる最大の原因であったのである。惜しむらくは、エルドリア王国の魔導指導のマニュアルが体内魔素の知覚から始まっていることにある。そしてこの問題に大河はおろか、スイロンすら気がついていないのである。


A「おかしい、このマニュアルは極めて良くできている。この通りの指導で魔素を感知出来ない者はいないはずなのだ。」

B「くそっ魔素はそこにあるはずなのにどうして感知できないんだ。」

A「何かがあったに違いない。」

B「何かってなんだよ」

A「存在するはずの魔素を知覚できなくする重大な何かがあるはずだ」

A.B「いったい、何が、、、」

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