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理の中の魔法戦士  作者: 白黒 芽流徒
異世界と生活と目的
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1、この世の理?

 洞窟を出た。

唖然とした。

森だ。

雲海、洞窟、そして森林だ。

とりあえず進んだ。

手頃な右側の枝をポキポキと左に折りながら。グルグルと洞窟を中心に反時計回りにだんだんと洞窟から離れた。

これで洞窟にいつでも戻れる。

あの洞窟は安全だろうという判断だ。



森から出れた。

案外近くに出口があったものだ。

そう思いながらどうしようか迷った。

てっきりどこかの町へ出るかと思ったが、ガチの草原だった。

ここは日本なのか?疑ってしまう程広かった。

というか地平線以外に見えるのは山と森と荒れた土の道?だった。

日本にこんな場所がまだあったのかと驚きつつ、どっちの方向に進むか迷った。

見たところ、この道は一本道だ。ならばどちらかの方向に進むのが妥当な判断と思うが。

結局、俺が右利きだからという理由で右に進んだ。



しばらく歩くと道の前方から馬車がやってきた。

…馬車だって?

オイオイオイ!?

いくら百歩譲ってここがアフリカだとしても馬車は無いだろ馬車は!

うわ!なんか紫の地に金の装飾があって高そう!

どこのラノベ異世界だここは!?

 

…………ラノベ異世界?

もしやこれは異世界転移的なアレか?

転移というか歩いて来たのだが、異世界まで歩いて来てしまったのか?

やべ、人生の見通しが…

崩れて行った。









 とりあえず馬車はスルーして馬車とは反対方向に進んだ。

あんな馬車が来る方向だからあるのは悪い町では無いだろう。

そろそろ人と話してみたりしたいのだが…一向に町らしきものは見つからない。

 

「仕方ない、歩くか」


寂しいからか、独り言が出てきた。



 見えた。

町だ。

一面壁に囲まれ、防御体制バッチリのなかなかの大きさの都市。

奥の方には大きくて綺麗な白がベースで青い装飾がされている城がある。

壁にさっきの馬車の金の装飾の部分。家紋のようなものが描かれている。

さっきの馬車はここから出発したと見て間違いないな。

ちょうど腹が減ってきたし、日も暮れて来たからナイスなタイミングて、町が見つかった。 

あ、百円とか使えるかな…

使える訳無いな。空腹は我慢して、仕事を見つけよう。



オイ、この壁はなんだ。

ずっと続いているではないか。

なにやら入るには検問を通らなければならないらしい。


詰んだやん。

検問に並ぶ人々を見ていると、各各にカードを持っている。

どうやら身分証(ギルドカード、国の貴族認定証etc.)が必要らしい。

ますます詰んでるやん。それ以前にギルドカードとか貴族認定証とかの時点で異世界説が証明されてんじゃん。ちなみに、カードの文字は遠目に見たが全く分からなかった。

…………ワーーーー!

どうすんだよ!?そんな身分証持ってるわけねぇし!?

文字読めねぇ時点で日本じゃないこと確定だし!?

野宿して誰かの助けを待つか?

いつなったら来るの?その人。

この世界に知り合いいるの?いたとして助けを求められるの?

否、この異世界らしき世界で1stコンタクトを成功させるしか無いらしい。



 夜が更けました。

綺麗な三日月が空に浮いています。

ずっと眠ろうとしていますが眠れません。

森の端の木に腰を下ろし、月を眺める。

そして、今日の出来事を整理する。


大学の始業式に向かって扉を開ける

→一面の雲海の中で不思議な道を見つけ、直進。

→異世界と思われる森の中に到着。

→広大な草原を発見。及びに道、馬車、検問を見つける。

→身分証がなければ中の町には入れない。


理不尽だ。

今まで信じた理なぞくそくらえだ。

やれることといったら、寝る、考えるくらいのものだ。

検問の列の人に話を聞こうともしたが、何か変な目で見られておしまいだった。

それはそうだろう。

何たって今俺は大学の始業式用の服装だし、この世界の人は地球の一般人のような服は持っていない。誰も着てないから多分そうだ。

まぁ変ではないから俺もいつかアレを着るとしよう。

で、どうする。


「あの~、あなた様はもしや貴族様ですか?」


後ろから声をかけられた。

声の主は…いかにもふつーの女の子であった。

結構可愛いという補正付きだが。


「いや、俺はふつーの一般庶民だ」


異世界の初めてしゃべりかけられた人物が美少女だとは思いもしなかったが。


「それは、すみませんでした。なにぶん綺麗な格好をされていたので」


貴族だと思われてたから敬遠されていたのだろうか?

だとしたらこの子はチャンスだ!

異世界のこと等は言えないが嘘は言わずに信頼度UP。


「ちょっと事情があってね…」

「そうですか…ところであなたは何故こんなところにいるのですか?」


事情は聞かずに別の話題を振ってきた。

よかった。話が続きそうだ。


「あいにくと身分証を持っていなくて。検問に弾かれてしまったんだよ」

「、、、では私の家に来ます?」


…え?


「…え?いいの?」

「はい、というか私は宿で生活しているのですが」

「え、でも俺宿取れる金なんて持ってないよ?」


この世界の物を一切持っていない。


「いえ、ですから私の部屋で一緒に寝ます?」


…えと、この子が何故この行動を起こしたか分かんねぇんだけど。

単なる親切?ならうれしいんだが。


「そんなの申し訳ないから辞めとくよ」

「いえ、単なる親切ですのでお気になさらず」


うわ、ピッタリ過ぎるくらいに都合よく進んでいく。

乗っておくべきだろうか?


「今日会ったばかりの変な格好してる男を一人部屋に連れ込むって、普通しないでしょ」

「あ、あの、そういうのではなく、ただ心配になっただけで…」


可愛い。ちょっと顔が赤くなっている。

でもな、ちょっと警戒しちゃうよな。


「やめておくよ」

「…すみません、そうですよね。あなたもこんな人信頼できないでしょうし」


やっぱり異世界なんてとこにいきなり連れて来られて大分警戒しているらしい。


「ゴメンね」

「いいんです。私が無理を言っているだけですから」


…なんか申し訳ないな。親切してくれてるだけなのかもしれないのに。

今まで信じた理が崩れていく。

これからこの何も分からない異世界でどうやって生きていけばいいのだろうか。


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