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私は騎士団のチートな紅茶師です!  作者: 奏多
第二部 騎士団の喫茶店

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いつの間にかレベルアップ

 結婚というと、前世でも縁がなかった。

 前世の私は引っ込み思案じゃなかったのだけど、モテないのと仕事に必死すぎるのとで、友達との交流すら間遠になってしまう有様で。


 今世も、たぶん結婚は無理そうな気がしてならない。

 団長様のペット云々のことだけじゃない。魔女の一件を解決しない限り、無理じゃないだろうか?

 だけど団長様やメイア嬢みたいな、コミュ障でもなく容姿も美しい人達がどうにもならないのは、やっぱりもったいないなと思う。

 親戚の、世話焼きおばさんなったみたいな意見だけども。


「まぁでも仕方ないよね。アレが全て終わった時に……自分が生きてても国が焦土になってたら問題外だし。その可能性があるのに、どうこうなんてしてられないものね」


 精いっぱい、ゲームみたいなエンドにならないようにはがんばるけれど。保証はできないもんなぁ。

 なんて考えながらクッキーを作っていた私は、オーブンの中に生地を入れたところで、自分のステータスを確認する。

 ここ数日バタバタしていたけれど、魔物を倒したり、お茶を淹れたりしていたわけで。それなりにスキルも上昇しているはず。


「あ、HPちょっと上がった。攻撃力とかも、スズメの涙だけどあがって嬉しい……」


 とちょっとずつ変わった数字を見て行ったんだけど。


「ひっ……!」


 途中で叫びそうになって慌てて自分の口を塞いだ。

 ヤバイ。大声を出したら、さすがに今は誰もいないっていうのに、駆け付けられてしまう。とても平静に対応できる気がしないのに、人に来られちゃ困るのだ。


 すーはーと一度深呼吸して、もう一度自分のステータスを見る。


 ユラ・セーヴェル/紅茶師

 生命力(HP)/魔力(MP)……700/100000


 攻撃力………5  魔法攻撃力………… 600

 筋力…………5   魔法スキル練度…… 700

 速さ…………8   剣技スキル練度……   0

 物理防御……5   魔法適性…………10000

 魔法防御……500 精霊適性…………10000


 取得能力

 紅茶師……スキルレベル13

    ※技が追加されました

 魔女 ……スキルレベル15

    ※技が追加されました


「技が追加って」


 何、何が増えたの!? しかも紅茶師はまだしも魔女の技ってなに!

 まずは心に優しそうな、紅茶師の技から確認してみた。


 チャンネル:C・D・E・F・G


「増えすぎ!?」


 この間までチャンネルGだけだったのに、なんか一杯増えてるよ! てかこれ、紅茶師の技なんだね……。

 でも増えた理由が全くわからない。レベルに従っての上昇にしてはなんかおかしい。

 でも誰にも聞けないので、仕方なく魔女の方の技を確認することにした。

 ぺいっと詳細を表示させてみると。


 《精霊操作LV1》《精霊召喚LV5》

 《冥界の知識》《魔力操作》


 それを見て「あああああああ」と呻く。

 きっとダンジョンで冥界の精霊を操ったからだ! 召喚って、その前にクッキーを食べさせたりしたせいで技として発生したの?


 ちなみに《精霊操作LV1》は、《魔力を与えた精霊を操ることができる》となっているので、紅茶を与えないと使えない模様。いや、もしかすると直接魔力を与えられるのかもしれないけれど。


 《精霊召喚LV5》は必須アイテムに精霊のおやつと書かれている。クッキー必須の技らしい。


 《冥界の知識》とやらは《冥界の魔力を操作するために必要な知識》と書かれている。


「これ、もしかして……」


 魔物が即復活する魔術を解いたのは、冥界の精霊自身だ。だからそのせいではないだろう。とすると、思い当たるのは一つ。

 ダンジョンにあった変な石、触ったせい?


 丸い石のことを思い出す。持ったら消えてしまったけど、もしかしてあれのせいじゃないだろうか。

 《魔力操作》については、レベルが足りないと出る。じゃあなんで技習得してるの。


「……まぁ、仕方ない」


 なってしまったのは、もう取り返しがつかない。


「むしろ、ね」


 今後もクエストに異変があったりしたら、私は駆け付けてしまうだろう。その時に戦えたり出来る方がいいだろう。

 あと、魔女に関わるクエストに行くと、自然と強化されていくので止めようもないし……。

 そして一つ考えることがある。魔女として強い力を持った方が、様々なことを解決できるのではないだろうか。


 魔力を取り込んだおかげで、魔女のスキルがついたけれど、代わりに魔法を使えるようになったので、戦う術が見つかった。

 これからも色々とクエストがある。その時に自分が力を使えた方が、もし他に魔女がいてメインストーリーが進んでしまっているのだとしても、それを阻止できるようになるもの。

 とにかく後で、団長様に話しておこうと思う。


「よし焼けたっと」


 考え事をしている間に、クッキーが焼き上がってくれた。

 冷ますためにお皿に広げ、そのうちの一つをかじる。


「うん、ちゃんとおいしい」


「じゃあ、私も一つ味見させてくれるかな?」


「ぐっ、げふっ!」


 突然後ろから声をかけられてむせた。誰もいないと思ったのに!

 とにかく水。水を飲もうとしたら、カップに水を入れて差し出してくれた人がいた。

 ありがたく飲んでから見れば、フレイさんだ。


「そんなに驚くとは思わなかったよ」


「ふ、フレイさん。いつお戻りに?」


 気管に入りそうになったせいで、まだごほごほとせき込んでしまいながら尋ねる。フレイさんが心配そうに背中をさすってくれた。


「さっきだよ。考え事をしていたみたいで、声をかけても気づかなかったから、オーブンを扱ったり、熱いものから手を離すまで待っていたんだ」


 なるほど。配慮した結果、つまみ食い直後に声をかけることになったわけだ。


「大丈夫かい? もうちょっと遅く声をかければよかったね」


 ようやく咳が収まったけれど、フレイさんは頭をなでてそう言った。

 ものすごく自然にそんなことをされてしまって、ちょっと対応が遅れたけれど、あれ?


「あの、クッキー一個なんで、大丈夫です。味見されるのでしたら、座って待っていてくださいフレイさん」


「そうかい?」


 フレイさんはそれでも心配だったようで、私に言った。


「具合が悪くなったりしたら言うんだよ、ユラさん。私のせいで何かあったら、申し訳ないからね」


「大丈夫ですよ、むせたぐらいでそんな」


 手をぱたぱた振って言えば、フレイさんはようやくほっとしたような表情になった。

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